先週の225先物は週間で290円高(上昇率1.06%)の27,700円と続伸。
週初は、米1月雇用統計での平均賃金の伸びの予想比上振れや7年ぶりの高値を付けたWTI原油先物価格を背景に米10年国債利回りが1.9%台まで上昇したことで、株式市場に売りが広がった。
10日に発表予定の米1月消費者物価指数(CPI)を前に、そのまま一段安が警戒されたが、その後、米長期金利が高止まりするなかでも、米国市場でハイテク・グロース(成長)株が大幅に上昇したことで安心感が台頭。
東京市場でも、週半ばまで米ハイテク株高を追い風に買い戻しが進展し、225先物は9日には27,500円を回復。
さらに、米国や英国で新型コロナウイルス感染抑制のための行動規制が撤廃されはじめたことや、米アトランタ連銀総裁がインフレ鈍化の見通しを示したことで警戒感が一段と後退。
米10年債入札が好調だったことで長期金利が低下したこともあり、10日も朝方は買いが先行し、225先物は一時27,860円まで上値を伸ばした。ただ、さすがに米CPIや国内3連休を前に騰勢は一服し、伸び悩んだ。しかし、それでも、27,700円とこの週の高値圏で終えた。
2月4日時点の裁定残高は、ネットベースで3,167億円の買い越し(前週は3,569億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、1億3,126万株の買い越しで、1月28日時点(1億4,959万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(2月4日時点)
TOPIX先物ではみずほ証券が大きく買い越し
225先物は目立った動きがほとんど見当たらなかったが、小幅ながら野村や大和など国内勢が売り越し基調だった一方、CSやシティGなど海外勢が買い越し基調だった。
TOPIX先物でも目立った動きは少なかったが、10日にバークレイズとGSによる1,000枚超の売り越しが観測された。
一方、買い方では、みずほ証券が週末にかけて大きく買い越した。そのほか、JPモルガン、シティGも週末にかけて買い越し基調で、JPモルガンは9日に1,600枚超買い越した。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で1.11pt安(下落率4.81%)の21.97と低下した。
米長期金利が上昇するなかでもハイテク・グロース株が買われたことで安心感が台頭。
米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め懸念はすでに相当程度織り込んだとの指摘もあり、全体的に不安感が後退する週となった。
なお、米VIX指数は9日に一時19.93と、20割れとなった。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、グロース復調もNT倍率の低下トレンド継続
NT倍率(先物)は低下。米10年国債利回りが1.9%台へと上昇し、高止まりする中でも米ハイテク・グロース株が上昇したことで安心感が台頭。
グロース株に復調の兆しが見られる一方、原油をはじめとした商品市況の先高観から景気敏感・バリュー(割安)株の買いも根強かった。
このため、先物市場でも225型とTOPIX型で大きな優劣はつきにくい展開に。
他方、先物手口では、前週につづき、225先物よりもTOPIX先物の方が買い越し傾向が多くみられ、結果として、NT倍率は低下傾向を続けた。
今週の225先物は神経質な展開か。先週とは一転して週初から波乱含みの展開が予想される。
先週、東京市場が取引を終えた10日以降、米国市場は週末にかけて連日の波乱となった。セントルイス連銀のブラード総裁が6月中までに合計1%の利上げを支持すると言及したことが伝わったことで、米10年国債利回りが2019年以来となる2%超えを実現。
その後、複数のFRB高官が大幅な利上げを支持しない考えを示したことで、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅として0.5%の実現性が薄れ警戒感が一時後退。
しかし、米政府が北京五輪中でもロシアのウクライナ侵攻の可能性を警告すると、地政学リスクが急速に高まった。
週末にかけて米主要株価3指数は揃って大幅に下落。ロシアはウクライナ侵攻を否定しているが、ニュースフロー次第では売りが膨らむ恐れがある。
また、16日にはFOMC議事録(1月開催分)が公表予定で、量的引き締め(QT)の開始時期やペースを巡る言及が注目される。内容次第ではグロース株の一段安となりかねない。
さらに、同日には米エヌビディアなどの注目決算もある。決算反応が売りとなれば、投資家心理は一層悪化するだろう。
商品投資顧問(CTA)など短期筋の仕掛け売りに注意が必要で、225先物は26,000円台前半まで下落する可能性がある。
一方、金利先物市場では金融引き締めの織り込みが一段と進展。地政学リスクがこれ以上悪化することなく、FOMC議事録も想定内の内容となれば、リバウンドの展開も考えられる。今週の225先物予想レンジは26,500-27,500円とする。
経済スケジュール(2月14日〜2月20日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
2月14日 | 月 | 国内 | 決算発表 JT、日ペイントHD、第一生命H、サントリ食、キリンHD、日本郵政、NIPPON EXPRESSホールディングス | |
決算発表 日本M&A、楽天G、東京海上H、SOMPO、東芝、かんぽ生命、コーセー、飯田GHD、電通G、T&DHD | ||||
決算発表 リクルトH、クボタ、マツキヨココカラ、パーソルHD、SMC、MS&AD、ゆうちょ銀、光通信、オープンハウスグループ | ||||
海外 | 15:30 | 印・卸売物価指数(1月) | ||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
21:00 | 印・消費者物価指数(1月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会に出席 | ||||
ウクライナ・ショルツ独首相が訪問、首脳会談 | ||||
2月15日 | 火 | 国内 | 08:50 | GDP速報値(10-12月) |
08:50 | GDPデフレーター(10-12月) | |||
10:00 | 営業毎旬報告(2月10日現在、日本銀行) | |||
13:30 | 鉱工業生産(12月) | |||
13:30 | 設備稼働率(12月) | |||
決算発表 ブリヂストン、アサヒGH、ユニチャム | ||||
海外 | 16:00 | 英・失業率(1月) | ||
16:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(12月) | |||
19:00 | 独・ZEW期待指数(2月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(12月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏GDP改定値(10-12月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-10(2月) | |||
20:30 | 印・貿易収支(1月) | |||
22:30 | 米・生産者物価コア指数(1月) | |||
22:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(2月) | |||
30:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(12月) | |||
米・上院銀行委員会でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長再任承認巡り投票 | ||||
露・独ロ首脳会談 | ||||
決算発表 バイアコムCBS、エアビーアンドビー | ||||
2月16日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) |
13:30 | 第3次産業活動指数(12月) | |||
14:00 | 首都圏新築分譲マンション(1月) | |||
14:30 | 日本証券業協会の森田会長が定例会見 | |||
海外 | 10:30 | 中・消費者物価指数(1月) | ||
10:30 | 中・生産者物価指数(1月) | |||
16:00 | 英・消費者物価コア指数(1月) | |||
16:00 | 英・生産者物価産出指数(1月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(12月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
22:30 | 米・小売売上高(1月) | |||
22:30 | 米・輸入物価指数(1月) | |||
23:15 | 米・鉱工業生産指数(1月) | |||
23:15 | 米・設備稼働率(1月) | |||
24:00 | 米・企業在庫(12月) | |||
24:00 | 米・NAHB住宅市場指数(2月) | |||
28:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25-26日会合分) | |||
北大西洋条約機構(NATO)国防相会合(17日まで) | ||||
北朝鮮・故金正日総書記の生誕記念日 | ||||
決算発表 アナログ・デバイセズ、アプライド、AIG、ドアダッシュ、シスコシステムズ、エヌビディア | ||||
2月17日 | 木 | 国内 | 08:50 | 貿易収支(1月) |
08:50 | コア機械受注(12月) | |||
08:50 | 輸出(1月) | |||
08:50 | 輸入(1月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
月例経済報告(2月) | ||||
エッジテクノロジーが東証マザーズに新規上場(公開価格:350円) | ||||
決算発表 トレンド | ||||
海外 | 09:30 | 豪・失業率(1月) | ||
16:00 | フィリピン・中央銀行が政策金利発表 | |||
16:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(1月) | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:30 | 米・住宅着工件数(1月) | |||
22:30 | 米・住宅建設許可件数(1月) | |||
22:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(2月) | |||
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(18日まで) | ||||
米・クリーブランド連銀総裁が講演 | ||||
米・セントルイス連銀総裁が講演 | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)経済報告 | ||||
欧州連合(EU)・アフリカ連合サミット(18日まで) | ||||
決算発表 スタンダードチャータード、エアバス、コメルツ銀、ウォルマート | ||||
2月18日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(1月) |
海外 | 16:00 | 英・小売売上高指数(1月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏経常収支(12月) | |||
22:30 | 加・小売売上高(12月) | |||
24:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(2月) | |||
24:00 | 米・中古住宅販売件数(1月) | |||
24:00 | 米・景気先行指数(1月) | |||
米・シカゴ連銀総裁やウォラーFRB理事がUSマネタリー・ポリシー・フォーラムに参加 | ||||
ミュンヘン安全保障会議(20日まで) | ||||
決算発表 アリアンツ、ルノー、ナットウエスト | ||||
2月20日 | 日 | 海外 | ロシアとベラルーシ合同軍事演習最終日 |
- 提供:フィスコ社