225先物は前週末終値比140円高(上昇率0.49%)の28,520円と続伸。
週初は11月の米消費者物価指数(CPI)が39年ぶりの伸びを記録したが、市場予想と一致したことから安心感が台頭し買いが先行。
しかし、翌14日は英国で新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」の感染者で初の死亡が確認されたほか、岸田首相の自社株買い制限を巡る発言が投資家心理を悪化させ下落。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では量的緩和の縮小(テーパリング)ペースが従来比で2倍に引き上げられ、2022年の利上げ見通しは従来の1回から3回に増加。
タカ派色の強い内容となったが、概ね想定内であり、パウエル議長が利上げは「経済の回復ペース次第」と含みを持たせたことからネガティブな反応には繋がらなかった。
あく抜け感から米ハイテク株が大幅高となったこともあり、16日の225先物には買い戻しが強まり、心理的な節目の29,000円を回復。
しかし、英国で中央銀行が予想外の利上げに踏み切ったことで、世界的な金融緩和縮小への動きが改めて警戒された。こうした懸念を映し、週末は米ハイテク株の急落も嫌気し、225先物は急反落した。
12月10日時点の裁定残高は、ネットベースで1,663億円の買い越し(前週は1,422億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、7,857万株の買い越しで、12月3日時点(6,054万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(12月10日時点)
両先物で海外勢の売り買い手口散見される
指数はFOMC前後で一進一退が続き、結局、方向感が出なかった。このため、手口でも両先物ともに明確な方向感は確認されなかった。
売り方では225先物で週末にかけてUBS、GS、BofA証券が、TOPIX先物ではJPモルガンなどが目立った。一方、買い方では225先物で週後半にシティGとドイツが、TOPIX先物ではモルガンSの週初と週末の買い越しが、小幅ながらCSの買い越し基調が確認された。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比0.67pt安(下落率3.23%)の20.09と低下。
週を通して一進一退が続き、明確な方向感は見られなかったが、オミクロン変異株に対する米製薬各社のワクチンや治療薬の有効性を示唆する報道が相次いだことで警戒感が後退。
また、今年最後の注目イベントだった米FOMCを概ね想定内の結果で無難に通過したことが安心感をもたらした。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は横ばい、FOMC挟んで一進一退、方向感定まらず
NT倍率(先物)は横ばい。週前半は11月米消費者物価指数が予想と一致したことで安心感から金利が低下するなかハイテク株に買いが入った。
一方、英国で新型コロナウイルス「オミクロン型」感染による初の死亡者が確認されるとリスク回避の動きで失速。米連邦公開市場委員会(FOMC)では量的緩和の縮小ペースの加速が決まり、来年の利上げ見通しも従来の1回から3回に引き上げられたが、概ね想定内とされ安心感からハイテク株主導で買い先行、225型優位の展開に。
しかし、英国中央銀行が予想外の利上げに踏み切ると改めて世界的な緩和縮小への警戒感が高まり、前の日の上昇分を帳消し、225型主導で下げる展開に。結局指数に明確な方向感は見られず、NT倍率も一進一退で横ばいとなった。
今週の225先物は引き続き神経質な展開か。
米FOMCを無難に通過し、直後の相場はハイテク株を中心に大幅高となるなど、ポジティブな反応が先行し、年末株高ラリーへの期待が一時高まった。
しかし、英国中央銀行が利上げに踏み切ったこともあり、翌日にはハイテク株が上昇分をすべて吐き出すなどかなり荒い展開が続いた。また、重症化率は低いものの、オミクロン株感染の拡大を受けて欧米で行動規制の強化措置が相次いで打ち出され、週末には景気敏感株も大きく売られるなど、相場の物色動向も定まっていない。
今週から海外勢ではクリスマス休暇入りする投資家もおり、取引参加者も限られてくる。商いが細ってくるなかボラティリティーが高まりやすく、短期的な大きな振れ幅にはまだ警戒が必要だろう。
一方、米国での期待インフレ率は低下傾向にありインフレ懸念は後退してきている様子。
また、米10年物国債利回りは1.4%を割り込む直前の水準まで低下してきており、株式市場のサポート要因となろう。FOMC直後に急伸と急落を見せた米グロース株も、週末は押し目買いが散見されるなど買い意欲は消えていない様子。
先物手口でも、海外勢にはこれまでのような売り一辺倒の動きは確認されておらず、CSなど短期筋と思われる向きでも買い越しが確認されている。
ボラティリティーは高いながらも、下がったところは押し目買いの逆張り戦略が奏功しそうだ。イベントとしては、指数への影響力もある20日の米半導体マイクロン・テクノロジーの決算に注目だ。今週の225先物予想レンジは27,500-28,500円とする。
経済スケジュール(12月20日〜12月24日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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12月20日 | 月 | 国内 | 08:50 | 資金循環統計速報(7-9月) |
グローバルセキュリティエキスパートが東証マザーズに新規上場(公開価格:2800円) | ||||
JDSCが東証マザーズに新規上場(公開価格:1680円) | ||||
HYUGA PRIMARY CAREが東証マザーズに新規上場(公開価格:2600円) | ||||
海外 | 06:45 | NZ・貿易収支(11月) | ||
10:30 | 中・1年物貸出金利(12月) | |||
10:30 | 中・5年物貸出金利(12月) | |||
18:00 | 欧・経常収支(10月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
24:00 | 米・景気先行指数(11月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(12月19日まで1カ月間) | |||
欧・欧環境相理事会 | ||||
決算発表 マイクロン、ナイキ | ||||
12月21日 | 火 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) |
臨時国会会期末 | ||||
月例経済報告(12月) | ||||
ライフドリンク カンパニーが東証2部に新規上場(公開価格:1535円) | ||||
湖北工業が東証2部に新規上場(公開価格:4000円) | ||||
ラバブルマーケティンググループが東証マザーズに新規上場(公開価格:1260円) | ||||
決算発表 ツルハHD | ||||
海外 | 22:30 | 加・小売売上高(10月) | ||
22:30 | 米・経常収支(7-9月) | |||
24:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(12月) | |||
12月22日 | 水 | 国内 | 08:50 | 日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(10月27・28日分) |
10:00 | 営業毎旬報告(12月20日現在、日本銀行) | |||
THECOOが東証マザーズに新規上場(公開価格:7200円) | ||||
サインドが東証マザーズに新規上場(公開価格:3250円) | ||||
網屋が東証マザーズに新規上場(公開価格:1970円) | ||||
Finatextホールディングスが東証マザーズに新規上場(公開価格:1290円) | ||||
サクシードが東証マザーズに新規上場(公開価格:1560円) | ||||
リニューアブル・ジャパンが東証マザーズに新規上場(公開価格:1800円) | ||||
海外 | 16:00 | 英・GDP(7-9月) | ||
16:00 | タイ・中央銀行が政策金利発表 | |||
20:00 | ブ・FGV消費者信頼感指数(12月) | |||
21:30 | ブ・経常収支(11月) | |||
21:30 | ブ・海外直接投資(11月) | |||
22:30 | 米・GDP確報値(7-9月) | |||
24:00 | 米・中古住宅販売件数(11月) | |||
24:00 | 米・消費者信頼感指数(12月) | |||
決算発表 ペイチェックス | ||||
12月23日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
13:10 | 黒田日銀総裁が経団連審議員会で講演 | |||
14:00 | 景気一致指数(10月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(10月) | |||
14:30 | 全国百貨店売上高(11月) | |||
14:30 | 東京地区百貨店売上高(11月) | |||
15:00 | 工作機械受注(11月) | |||
気候変動対応支援の資金供給オペ(日本銀行) | ||||
三和油化工業が東証ジャスダック・名証2部に新規上場(公開価格:3500円) | ||||
エクサウィザーズが東証マザーズに新規上場(公開価格:1150円) | ||||
ハイブリッドテクノロジーズが東証マザーズに新規上場(公開価格:500円) | ||||
クルーバーが東証ジャスダックに新規上場(公開価格:2160円) | ||||
海外 | 20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(12月22日まで1カ月間) | ||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(12月) | |||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA-15)(12月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:30 | 米・個人所得(11月) | |||
22:30 | 米・個人消費支出(11月) | |||
22:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(11月) | |||
22:30 | 米・耐久財受注(11月) | |||
24:00 | 米・新築住宅販売件数(11月) | |||
24:00 | 米・ミシガン大学消費者マインド指数(12月) | |||
米・債券市場は短縮取引 | ||||
露・プーチン大統領が年次記者会見 | ||||
12月24日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(11月) |
08:50 | 企業向けサービス価格指数(11月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) | |||
14:00 | 住宅着工件数(11月) | |||
新型コロナ感染症対応の金融支援特別オペ(日本銀行) | ||||
長栄が東証2部に新規上場(公開価格:1800円) | ||||
ニフティライフスタイルが東証マザーズに新規上場(公開価格:2000円) | ||||
サスメドが東証マザーズに新規上場(公開価格:1410円) | ||||
エフ・コードが東証マザーズに新規上場(公開価格:2020円) | ||||
Green Earth Instituteが東証マザーズに新規上場(公開価格:1160円) | ||||
CS-Cが東証マザーズに新規上場(公開価格:1010円) | ||||
タカヨシが東証マザーズに新規上場(公開価格:1560円) | ||||
決算発表 ニトリHD | ||||
海外 | 米・独・スイス・香港・株式市場は祝日のため休場(クリスマス) | |||
英・仏・株式市場は短縮取引 | ||||
米・債券市場は休場 |
- 提供:フィスコ社