先週の225先物は前週末終値比200円安(下落率0.66%)の30,150円と反落。中国恒大集団の信用不安を巡って一喜一憂する展開となった。国内が祝日の間、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて神経質になっているなか、突如として恒大集団の債務問題への警戒感が強まり、20日のNYダウは一時900ドル超も下げるなど米国市場が急落した。
祝日明け21日の東京市場でもリスク回避のムードが強まり、225先物は前週末比720円安の29,630円と急落スタート、終日軟調に推移した。翌22日は、恒大集団が23日に期日到来の人民元建て債の利払いを実施すると伝わったことで急速に下げ幅を縮小する場面がみられたが、祝日やFOMCを前に手仕舞い売りが優勢となった。
FOMCでは、来年の利上げを支持する当局者が前回の18人中7人から9人に増えたほか、量的緩和策の縮小(テーパリング)を11月に決定し、来年半ばまでには完了させる可能性が示唆された。概ね想定内とはいえややタカ派色の強い内容となったが、市場には織り込み済みだったようで、ヘッジ売りの解消なども相まって米国株は大幅反発となった。
9月17日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆989億円の買い越し(前週は7,077億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、3億6,164万株の買い越しで、9月10日時点(2億3,126万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(9月17日時点)
TOPIXで海外勢買い越し継続、225では短期筋が売り越し
FOMCを前にして神経質な状況下、中国恒大集団の債務問題が急速にクローズアップされた。さらに祝日の間の空白リスクも意識されるなか、短期筋の仕掛け売りが入りやすかったようで、225先物ではCS、GS、UBSなどが海外勢の売り越しが散見された。
一方、TOPIX先物では前週に続きバークレイとBofA証券の買い越し基調が確認され、長期筋のTOPIX買い戻しの動きは続いているようだ。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比0.78pt高(上昇率3.88%)の20.86と上昇した。FOMCでの早期のテーパリング決定や金利見通しの引き上げなどが警戒されるなか、中国恒大集団の信用不安も台頭し、警戒感が急速に高まった。23日の祝日中にFOMC結果公表を控えていることもあり、22日は手仕舞い売りが嵩むなか、オプション取引でのプットの買いも増え、日経VIは25.15まで上昇した。
ただし、FOMCを無難に通過したことや、恒大集団の利払いを巡る懸念が一時後退したことで、週末には大きく低下した。また、市場では「プットを買っているのは含み益がある銀行などの機関投資家で、あくまで利益を確定する目的であり、相場下落に賭けた持ち高形成は限定的」との声も聞かれた。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、米中不透明感受けて短期筋の225型仕掛け売り嵩む
NT倍率(先物)は低下。国内が祝日の間、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に神経質ななか、中国恒大集団の債務問題への警戒感から米国株が急落。これを引き継いだ週明け21日、22日は短期筋が手掛けることの多い225先物主導での売りが嵩み、NT倍率は低下。
その後、FOMCが概ね想定内の結果となり、中国政府による恒大に対する伝達をきっかけに米中不透明感が一先ず後退すると、祝日明けの週末24日は一気に買い戻しが入った。ただ、原油先物価格の高騰や米長期金利の上昇を背景に現物株市場では景気敏感株中心の相場展開となり、先物でもTOPIX型優位の展開となった結果、NT倍率はむしろ低下する展開となった。
今週の225先物は堅調か。恒大集団を巡る懸念についてはひとまず後退した。中国人民銀行が22日、リバースレポを通じて短期資金1,200億元(約2兆円)を供給したこともあり、中国政府としても経済への大打撃は避けたいとみられ、ソフトランディングに至る可能性が高い。
ただし、23日期日のドル建て社債の利払いがまだされていないなどとも伝わっており、今後も懸念材料としてくすぶりそうだ。さらに、米国では債務上限の引き上げなどを巡る政治問題が残っており、外部環境の不透明感は完全には払しょくされていない。しかしそれでも、目先の不透明感が緩和されたうえ、前週末にあれだけの力強い相場反発を見せられれば、8月末以降の上昇相場に乗り遅れた投資家の持たざるリスクも一層意識される。
自民党総裁選の投開票が29日に迫るなか、次期政権への期待など国内要因に再び視線が向きやすいことも踏まえれば、目先は神経質ながらも買いに乗じる動きが増えてくると思われる。今週は中国購買担当者景気指数(PMI)の結果や自民党総裁選の結果などに注意を払いつつも、衆院選に向けた株高を意識した買いが優勢になると予想する。今週の225先物予想レンジは29,800-30,700円とする。
経済スケジュール(9月27日〜10月1日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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9月27日 | 月 | 国内 | 08:50 | 企業向けサービス価格指数(8月) |
14:00 | 景気一致指数(7月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(7月) | |||
海外 | 17:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(8月) | ||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(9月) | |||
21:30 | ブ・ローン残高(8月) | |||
21:30 | ブ・融資残高(8月) | |||
21:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(8月) | |||
21:30 | 米・耐久財受注(8月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁が講演 | ||||
米・シカゴ連銀総裁とブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)理事が全米企業エコノミスト協会(NABE)年次会合で講演 | ||||
米・2年債、5年債入札 | ||||
英・ベイリー英中央銀行総裁が講演 | ||||
9月28日 | 火 | 国内 | 08:50 | 日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(7月15・16日分) |
海外 | 10:30 | 中・工業企業利益(8月) | ||
10:30 | 豪・小売売上高(8月) | |||
21:30 | 米・卸売在庫(8月) | |||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(7月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(7月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(9月) | |||
米・シカゴ連銀総裁が会議冒頭でスピーチ | ||||
米・アトランタ連銀総裁がオンライン会議で講演 | ||||
米・セントルイス連銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
米・NABE年次会合最終日 | ||||
米・7年債入札 | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)フォーラム(29日まで)、ラガルド総裁が開会の辞 | ||||
北朝鮮・最高人民会議 | ||||
9月29日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) |
自民党総裁選投開票 | ||||
海外 | 16:05 | タイ・中央銀行が政策金利発表 | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(9月) | |||
21:00 | ブ・生産者物価指数(8月) | |||
21:30 | ブ・純債務対GDP比(8月) | |||
21:30 | ブ・基礎的財政収支(8月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(8月) | |||
米・アトランタ連銀総裁が講演 | ||||
米・米国-欧州連合(欧)貿易・技術協議会(TTC)初会合 | ||||
欧・ECBフォーラム(最終日)、日銀総裁、FRB議長、英中銀総裁、ECB総裁がパネル討論会に参加 | ||||
9月30日 | 木 | 国内 | 08:50 | 鉱工業生産指数(8月) |
08:50 | 小売売上高(8月) | |||
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(8月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
14:00 | 住宅着工件数(8月) | |||
15:30 | 全国証券大会 | |||
17:00 | 国債買い入れ予定(日本銀行)(10-12月) | |||
東京など19都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限 | ||||
海外 | 10:00 | 中・製造業PMI(9月) | ||
10:00 | 中・非製造業PMI(9月) | |||
10:00 | 中・総合PMI(9月) | |||
10:45 | 中・財新製造業PMI(9月) | |||
15:00 | 英・GDP改定値(4-6月) | |||
15:00 | 英・経常収支(4-6月) | |||
16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(8月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(8月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(9月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種(8月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(7月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(8月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(9月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・GDP確定値(4-6月) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(9月) | |||
27:00 | メキシコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
中・経常収支確定値(4-6月) | ||||
印・経常収支(4-6月) | ||||
米・2021会計年度末、10月1日からの政府機関閉鎖回避に向けた暫定予算案可決期限 | ||||
米・下院金融サービス委員会でFRBと財務省のパンデミック対応に関する公聴会 | ||||
10月1日 | 金 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(8月) |
08:30 | 失業率(8月) | |||
08:50 | 日銀短観(大企業製造業DI)(7-9月) | |||
08:50 | 日銀金融政策決定会合における主な意見(9月21、22日分) | |||
09:30 | 製造業PMI(9月) | |||
14:00 | 消費者態度指数(9月) | |||
14:00 | 自動車販売台数(9月) | |||
海外 | 14:00 | 印・製造業PMI(9月) | ||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(9月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(9月) | |||
21:30 | 米・個人所得(8月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(8月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(8月) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(9月) | |||
22:45 | 米・製造業PMI(9月) | |||
23:00 | 米・建設支出(8月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者マインド指数(9月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(9月) | |||
25:00 | 露・GDP(4-6月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(9月) | |||
米・自動車販売(9月、2日までに) | ||||
中・株式市場は祝日のため休場(国慶節、7日まで) | ||||
香港・株式市場は祝日のため休場(国慶節) |
- 提供:フィスコ社