先週の225先物は前週末終値比で550円安(下落率1.91%)の28,210円と大幅に続落。6月雇用統計は好悪材料が混在していたが、景気回復が確認されると同時に金融緩和の長期化も期待できるような株式市場には総じてポジティブな内容だった。
しかし、前週末に既に売り方の買い戻しが入っていたようで、週明けの225先物は想定外の軟調ぶりで結局190円安と反落。連休明け6日の米株式市場では6月ISM非製造業景況指数が予想を下回ったことで景気回復ペースの鈍化懸念が浮上。原油高によるコスト増も嫌気されダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。
こうした米株安のほか、日本国内では週末にかけて上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売り需要が8,000億円程発生する見込みで、これを警戒した動きもあり、7日からは先物売買高が倍増するなか先物主導での下げ相場となった。8日には実際にETFに絡む需給悪化が重しとなるなか、東京都に4回目の緊急事態宣言が発出される方針と伝わったこともあり、先物主導で売りがかさんだ。
7月2日時点の裁定残高は、ネットベースで6,075億円の買い越し(前週は6,577億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、2億77万株の買い越しで、6月25日時点(2億1,684万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(7月2日時点)
週末は両先物で海外勢が売り越す一方、国内勢は買い越し
後半に下げ渋ったとはいえ、一時急落した週末に海外勢が大きく売り越した。
225先物ではBofA証券、ドイツ証券、バークレイが、TOPIX先物ではモルガンSが6,000枚近く大幅に売り越したほか、CTAと思われるCSのほか、BofA証券、GS、JPモルガンなどが目立った。一方、野村、SMBC日興、三菱UFJなど国内勢による週末の買い越しが両先物で目立った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比1.90pt高(上昇率11.27%)の18.75ptと上昇した。新型コロナのデルタ変異株の拡大、東京都の4度目の緊急事態宣言、ETFに絡む需給悪化、米株安など複数の悪材料が重なった結果、株式市場は週後半にかけて急落。
不安心理の高まりから、日経VIは週末には一時警戒水準とされる20ptを大幅に上回る25.87ptまで急騰。ただ、午後からの相場の持ち直しで警戒感は後退し、終値では20ptを下回った。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、ETF分配金捻出売りや景気減速懸念が重し
NT倍率(先物)は低下した。週末にかけて上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りが8,000億円程発生するとの需給悪化に対する懸念が週前半から重しとなった。
また、傘下のファンドが出資する中国配車アプリの滴滴出行(ディディ)に対して、中国当局の指摘を受けたことが嫌気され、指数インパクトの大きいソフトバンクG<9984>が軟調となったことも重しに。週後半からは、ETFに絡む需給悪化が実際に重しとなるなか、東京都への4度目の緊急事態宣言や、東京五輪について一都三県での無観客開催が決まると景気減速懸念が強まった。週末には商品投資顧問(CTA)などの短期筋がこれらに乗じた先物主導の売りを仕掛け、値がさ株主導で下げるなかNT倍率は低下した。
今週の225先物は強含みか。まずETFの分配金捻出に伴う売りが一巡し、需給が軽くなる。また、週末に225先物は27,000円台前半まで急落した後1,000円近く値を戻している。現物の日経平均も一時200日移動平均線を割り込んだ後に急速に戻し、テクニカル的には底打ち感が強まった。
米株も週末には大幅反発で持ち直し、ダウ、ナスダック、S&P500の主要株価3指数は揃って終値ベースで過去最高値を更新。一方、国内では東京五輪に向けた新型コロナ感染状況の不透明感がくすぶるほか、菅政権の求心力低下も指摘されており、上値抑制要因も多い。ただ、衆院選に向けた求心力回復のための経済対策なども中期的には期待される。好悪材料が混在しており、依然上値は重いと思われるが、相対的には買い方に分があると考えられよう。
先物では、週末に大量に売り越していた海外勢の買い戻しがカギを握るが、特に相場の方向性を左右するCTAなどモメンタム系の短期筋の動きが重要。CSの買い越し基調が確認されれば戻りの勢いがつきそうで、同証券の手口に注目したい。
そのほか、現物株市場では3-5月期決算が終盤入りとなるが、製造業の行く末を占う安川電機の決算が非常に良かった。これを機に決算前に日本株を見直す機運が高まれば、先物の買い越しが進展する可能性もあろう。
今週の225先物予想レンジは28,000-29,000円とする。
経済スケジュール(7月12日〜7月17日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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7月12日 | 月 | 国内 | 08:50 | 国内企業物価指数(6月) |
08:50 | コア機械受注(5月) | |||
15:00 | 工作機械受注(6月) | |||
決算発表 コスモス薬 | ||||
東京都で4回目の緊急事態宣言発令 | ||||
海外 | 21:00 | 印・鉱工業生産(5月) | ||
21:00 | 印・CPI(6月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(7/5-7/11) | |||
中・資金調達総額(6月、15日までに) | ||||
中・マネーサプライ(6月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(6月、15日までに) | ||||
米・ミネアポリス連銀総裁が討論会に参加 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合、米財務長官も出席 | ||||
欧・欧外相理事会 | ||||
7月13日 | 火 | 国内 | 10:00 | 営業毎旬報告(7月10日現在、日本銀行) |
決算発表 東宝 | ||||
海外 | 15:00 | 独・CPI(6月) | ||
21:00 | ブ・経済活動(5月) | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(5月) | |||
21:30 | 米・消費者物価コア指数(6月) | |||
27:00 | 米・財政収支(6月) | |||
中・貿易収支(6月) | ||||
米・ミネアポリス、アトランタ、ボストン各地区連銀総裁が人種差別関連イベントで講演 | ||||
欧・欧財務相理事会 | ||||
国際エネルギー機関(IEA)月報 | ||||
決算発表 ペプシコ、JPモルガン、ゴールドマン | ||||
7月14日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) |
13:30 | 設備稼働率(5月) | |||
13:30 | 鉱工業生産(5月) | |||
海外 | 09:00 | シンガポール・GDP(4-6月) | ||
11:00 | NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
15:00 | 英・消費者物価コア指数(6月) | |||
15:00 | 英・生産者物価産出指数(6月) | |||
15:30 | 印・卸売物価(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(5月) | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
21:30 | 米・生産者物価コア指数(6月) | |||
23:00 | 加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が半期に1度の議会証言(下院金融委員会) | ||||
米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表 | ||||
米・ミネアポリス連銀総裁が討論会に参加 | ||||
決算発表 BofA、ウェルズ・ファーゴ、ブラックロック、シティグループ、デルタ航空 | ||||
7月15日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
13:30 | 第3次産業活動指数(5月) | |||
日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目) | ||||
決算発表 Fリテイリ | ||||
海外 | 10:30 | 中・新築住宅価格(6月) | ||
10:30 | 豪・失業率(6月) | |||
11:00 | 中・GDP(4-6月) | |||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(6月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(6月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(6月) | |||
11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(6月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(6月) | |||
15:00 | 英・失業率(6月) | |||
15:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(5月) | |||
20:30 | 印・貿易収支(6月) | |||
21:30 | 米・輸入物価指数(6月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(7月) | |||
21:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(7月) | |||
22:15 | 米・鉱工業生産指数(6月) | |||
22:15 | 米・設備稼働率(6月) | |||
韓・中央銀行が政策金利発表 | ||||
米・パウエルFRB議長が半期に1度の議会証言(上院銀行委員会) | ||||
米・米独首脳会談 | ||||
米・シカゴ連銀総裁がロッキーマウンテン・エコノミック・サミットに参加 | ||||
米・シカゴオートショー(19日まで) | ||||
石油輸出国機構(OPEC)月報 | ||||
決算発表 TSMC、モルガンS、アルコア | ||||
7月16日 | 金 | 国内 | 日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表 | |
黒田日銀総裁が会見 | ||||
ラキールが東証マザーズに新規上場(公開価格:1400円) | ||||
海外 | 07:45 | NZ・消費者物価指数(4-6月) | ||
15:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(5月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏CPI(6月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(7月15日まで1カ月間) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-10)(7月) | |||
21:30 | 米・小売売上高(6月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(7月) | |||
23:00 | 米・企業在庫(5月) | |||
29:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(5月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁がイベントで冒頭・閉会の挨拶 | ||||
決算発表 エリクソン | ||||
7月17日 | 土 | 国内 | 国際オリンピック委員会(IOC)理事会 |
- 提供:フィスコ社