先週の225先物は前週末の終値比で10円安(下落率0.03%)の28,880円と小幅に続落した。前週末に発表された5月の米雇用統計は、平均賃金の伸びが市場予想を上回るなどポジティブな面もあったが、非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったことや、労働参加率が依然低いことから、FRBの大規模金融緩和が当面は継続すると捉えられた。
米長期金利が1.5%台半ばまで低下するなか、週明けの225先物は300円高の29,230円でスタート。しかし、戻り待ちの売りに押され、あえなく失速すると、一時は29,000円割れの場面も見られた。FRBの金融緩和縮小に関する議論開始は時間の問題との認識は根強いようだ。その後は10日に控える5月の米CPIを前にした様子見ムードが継続。
また、週末のメジャーSQに向けたロールオーバーの動きがほとんどで、仕掛け的な動きが出ることもなく、225先物は方向感に欠ける動きが続いた。一方、国内でのワクチン接種の進展や、米長期金利が1.4%台にまで低下していたことが下値を支える要因となった。
6月4日時点の裁定残高は、ネットベースで3,203億円の売り越し(前週は2,611億円の売り越し)と増加した。株数ベースでは、1億1,890万株の売り越しで、5月28日時点(9,585万株の売り越し)から増加している。
日経平均と裁定残(6月4日時点)
ロールオーバー中心、週末はモルガンSが目立つ
10日まではメジャーSQに向けたロールオーバーが中心。週末11日は225先物では目立った動きがなかったが、TOPIX先物で、モルガンSの2,000枚近い売り越しが目立った。一方、BNPパリバが1,300枚近く買い越した。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末の終値比2.85pt安(下落率13.7%)の17.93ptと低下した。週後半の米CPIや週末のメジャーSQを前に様子見ムードが強く、こう着感の強い状態が続いた。
日経平均は75日移動平均線に上値を抑えられる一方、25日線がサポートする展開が2週間程続いている。両線に挟まれた動きが続いていることで、指数の騰落率の幅は限定的な日が多くなっており、米国でもS&P500種株価指数の騰落率が1%未満の日が多い。
イベントが多く神経質な展開が続いてはいるが、日米ともに株価指数のボラティリティーが小さくなっているなか、米VIX指数も日経平均VIも、警戒水準を示す20ptを下回った状態となっている。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は小幅に上昇、米CPI前に様子見継続も金利低下がサポート
NT倍率(先物)はもみ合いの末に小幅に上昇。前の週末に発表された5月の米雇用統計が米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策スタンスに早期の変化をもたらす程のものではないとの見方から、米長期金利の低下を支えに、週明けの東京市場ではハイテク株が強含みで始まった。
しかし、依然として戻り待ちの売り圧力は強く、週後半に控える5月米消費者物価指数(CPI)を前に29,000円を挟んだ一進一退が週を通じて続いた。個別でも、陸運や空運、百貨店などアフターコロナ関連への買いは見られた一方、それ以外はほとんど目立った物色が見られなかった。一貫して米長期金利の低下はサポート材料となったものの、NT倍率はもみ合いに終始した。
今週の225先物はもみ合いか。日米の金融政策イベントを前に今週も様子見ムードが強そうだ。
日銀金融政策決定会合が市場へ大きなインパクトをもたらすことは想定しにくいが、FOMCはやはり注目だろう。5月の米雇用統計や米CPIを受け、6月のFOMCは政策スタンスに変化なし、量的緩和縮小議論の開始は早くて7月のFOMC、もしくは8月のジャクソンホール会合との見方がコンセンサスだ。
しかし、何らかの形でテーパリングが話題に上がる可能性は高く、とりわけハト派色が強いパウエルFRB議長の会見が注目される。今会合は政策金利見通し(ドットチャート)も公表されるだけに、中央値に変化があるのかどうかもポイントとなる。
波乱なく通過できれば、あく抜け感から上昇する可能性もあるが、直近の海外勢によるTOPIX先物の売り越し継続をみている限り、日本株が再び動意づくのに過大な期待を持つのも難しい気がする。イベントを通過後もこう着相場が継続する可能性はありそうだ。今週の225先物予想レンジは28,500-29,500円とする。
経済スケジュール(6月14日〜6月20日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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6月14日 | 月 | 国内 | 10:00 | 営業毎旬報告(6月10日現在、日本銀行) |
13:30 | 設備稼働率(4月) | |||
13:30 | 鉱工業生産(4月) | |||
14:30 | 氷見野金融庁長官が「コロナ後の経済と金融」について講演 | |||
日産ゴーン元会長の国外逃亡を助けた罪で起訴されたマイケル・テイラー被告らの初公判 | ||||
海外 | 15:30 | 印・卸売物価(5月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(4月) | |||
21:00 | 印・消費者物価指数(5月) | |||
21:00 | ブ・経済活動(4月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演 | ||||
ベルギー・北大西洋条約機構(NATO)首脳会議 | ||||
中・株式市場は祝日のため休場(端午節) | ||||
香港・株式市場は祝日のため休場(端午節) | ||||
6月15日 | 火 | 国内 | 13:30 | 第3次産業活動指数(4月) |
海外 | 15:00 | 独・CPI(5月) | ||
15:00 | 英・失業率(5月) | |||
15:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(4月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(4月) | |||
20:30 | 印・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・生産者物価コア指数(5月) | |||
21:30 | 米・小売売上高(5月) | |||
21:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(6月) | |||
22:15 | 米・鉱工業生産指数(5月) | |||
22:15 | 米・設備稼働率(5月) | |||
23:00 | 米・NAHB住宅市場指数(6月) | |||
23:00 | 米・企業在庫(4月) | |||
25:00 | 露・GDP(1-3月) | |||
29:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(4月) | |||
米・連邦公開市場委員会(FOMC)(16日まで) | ||||
英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演 | ||||
ベルギー・米EU首脳会議 | ||||
決算発表 オラクル | ||||
6月16日 | 水 | 国内 | 08:50 | 貿易収支(5月) |
08:50 | 輸出(5月) | |||
08:50 | 輸入(5月) | |||
08:50 | コア機械受注(4月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) | |||
全研本社が東証マザーズに新規上場(公開価格:1350円) | ||||
通常国会会期末 | ||||
海外 | 07:45 | NZ・経常収支(1-3月) | ||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(5月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(5月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(5月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(5月) | |||
11:00 | 中・都市部固定資産投資(5月) | |||
15:00 | 英・消費者物価コア指数(5月) | |||
15:00 | 英・生産者物価産出指数(5月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(6月15日まで1カ月間) | |||
21:30 | 加・消費者物価指数(5月) | |||
21:30 | 米・輸入物価指数(5月) | |||
21:30 | 米・住宅着工件数(5月) | |||
21:30 | 米・住宅建設許可件数(5月) | |||
27:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表 | |||
米・FOMC終了後、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見 | ||||
スイス・米ロ首脳会談 | ||||
6月17日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
13:00 | 東京販売用マンション(5月) | |||
日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目) | ||||
海外 | 06:30 | ブ・ブラジル中央銀行が政策金利(SELICレート)発表 | ||
07:45 | NZ・GDP速報(1-3月) | |||
10:00 | 中・SWIFTグローバル支払いCNY(5月) | |||
10:30 | 豪・失業率(5月) | |||
10:30 | 中・新築住宅価格(5月) | |||
15:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(5月) | |||
16:20 | インドネシア・中央銀行が政策金利発表 | |||
16:30 | スイス・中央銀行が政策金利発表 | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(週次)(6月9日-6月15日) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏CPI(5月) | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(6月) | |||
23:00 | 米・景気先行指数(5月) | |||
台湾・中央銀行が政策金利発表 | ||||
米・証券取引委員会(SEC)がビットコイン上場投資信託(ETF)巡る判断 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
決算発表 アドビ | ||||
6月18日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(5月) |
日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表 | ||||
黒田日銀総裁が会見 | ||||
Enjinが東証マザーズに新規上場(公開価格:1380円) | ||||
海外 | 15:00 | 英・小売売上高指数(5月) | ||
17:00 | 欧・ユーロ圏経常収支(4月) | |||
欧・EU財務相理事会 | ||||
イラン・大統領選挙 | ||||
6月20日 | 日 | 国内 | 東京など10都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限 |
- 提供:フィスコ社