先週の225先物は、前週末比480円高(上昇率2.25%)の21,800円と3週ぶりに上昇に転じた。週末に米中閣僚級協議を控えるなか、協議の動向をめぐる海外メディアの報道や要人発言に一喜一憂する展開となった。週初から、両国次官級協議が始まり、一日のなかで上下に大きく振らされる場面もあったが、方向感に欠ける地合いが続いた。
先行き不透明感から商いは盛り上がりに欠け、材料株に短期資金が集中するなど、手詰まり感も強い展開だったと言えよう。ただ、週末には、トランプ米大統領が劉鶴中国副首相と会談する意向を示すなど、協議進展を期待させるニュースが多く出てきたことから、為替市場でドル円相場が一時1ドル=108円台前半へと円安が進んだ。これにより、225先物は買いが盛り上がり、週末にかけて上げ幅を拡大。
10月4日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆1,508億円の売り越し(前週は1兆1,514億円の売り越し)と減少した。株数ベースでは、4億5,409万株の売り越しと9月27日時点(4億5,204万株の売り越し)比で増加している。
日経平均と裁定残(10月4日時点)
海外短期筋の売り買いが交錯
225先物の手口は、週末11日に大きく売り越したSBIが売り方トップになったほか、週前半に売りこなしたCS、シティG、JPモルガンの海外勢がこれに続き売り方上位に名を連ねた。一方、買い手口では、週半ばから週末にかけて買い越し基調となったGSが買い方トップに躍り出たほか、7日と9日に大きく買ったAアムロCも買い方上位に並んだ。国内勢では、週を通じてコンスタントに買いを入れた大和が買い方2位にランクインした。また、TOPIX先物の手口では、10日に大きく売り越したバークレイが売り方トップに入ったほか、9日に2,000枚以上売り越したソジェンがこれに続いた。海外ファンドの売りとみられるJPモルガンやCSも売り方上位に並んだ。一方、9日に日銀の上場投資信託(ETF)買いの注文を執行したとみられる大和が買い方トップになった。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末比0.96pt安(下落率5.24%)の17.34ptと3週ぶりに低下した。米中閣僚級による通商協議の再開を控える中、関連報道に振らされる展開が続いた。海外メディアの報道を受けて、協議が進展するとの見方から、8日には16.94ptまで低下した一方、協議後退に関する報道もあり、10日には18.61ptまで上昇するなど、ボラタイルな展開となった。週末には、トランプ米大統領が劉鶴副首相と会談するとの見方を示したことから、再び両国が歩み寄るとの見方が広がり、VIは低下基調に転じた。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は反発、日経平均は3週間ぶりに上昇に転じる
NT倍率(先物)は反発。前週の日経平均は3週間ぶりに上昇に転じた。週半ばにNT倍率は一時13.57倍に下落する場面もみられた。その後は切り返し、週末11日には、ドル円相場が円安に振れたことに加え、決算発表をうけたファーストリテイリング<9983>が上昇し日経平均をけん引、NT倍率は13.65倍に上昇した。
今週の225先物は戻りを試す展開が想定される。米中閣僚級による通商協議では、日本時間の12日未明、トランプ米大統領は「重要な第1段階の合意に達した」と表明した。中国による米農産物の購入拡大や知的財産権保護、通貨安誘導の抑止などで部分的に合意し、米国は15日に予定していた対中追加関税の引き上げを見送ることが決まった。
これを受けて、米国株が大幅に続伸したことから、三連休明けの東京市場は、リスクオンの動きが強まる場面も期待できよう。また、今週米国では主要企業の決算発表も相次ぐ。良好な結果が多く確認できれば、強い展開が維持される可能性が高く、225先物は9-10月にかけて抵抗ラインとなった22,000円処を本格的に上放れる展開も期待されよう。一方で、市場予想を下回る結果となったとしても、米国の利下げなどへの期待感が相場を下支えするとみられ、底堅さも意識されよう。予想レンジは21,750-22,250円とする。
経済スケジュール(10月14日〜10月18日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
10月14日 |
月 |
国内 |
株式市場は祝日のため休場(体育の日) |
|
海外 |
09:00 |
シンガポール・GDP(7-9月) |
||
15:30 |
印・卸売物価指数(9月) |
|||
18:00 |
欧・ユーロ圏鉱工業生産(8月) |
|||
20:25 |
ブ・週次景気動向調査 |
|||
21:00 |
印・CPI(9月) |
|||
27:00 |
ブ・貿易収支(週次)(10/7-10/13) |
|||
中・貿易収支(9月) |
||||
中・元建て新規貸出額(9月、15日までに) |
||||
中・マネーサプライ(9月、15日までに) |
||||
中・資金調達総額(9月、15日までに) |
||||
ノーベル経済学賞受賞者発表 |
||||
チリ・APEC財務相会合(15日まで) |
||||
リブラ・カウンシル初会合 |
||||
欧・欧外相会合 |
||||
シンガポール・通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)が金融政策を発表 |
||||
10月15日 |
火 |
国内 |
10:10 |
営業毎旬報告(10月10日現在、日本銀行) |
13:30 |
鉱工業生産(8月) |
|||
13:30 |
設備稼働率(8月) |
|||
13:30 |
第3次産業活動指数(8月) |
|||
黒田日銀総裁が支店長会議であいさつ |
||||
地域経済報告(さくらリポート、10月)公表(日本銀行) |
||||
国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) |
||||
IT・テクノロジーの国際展示会「CEATEC(シーテック)2019」開催(18日まで) |
||||
決算発表 ドトール・日レスホールディングス、Gunosy |
||||
海外 |
10:30 |
中・消費者物価指数(9月) |
||
10:30 |
中・生産者物価指数(9月) |
|||
16:00 |
トルコ・失業率(7月) |
|||
17:30 |
英・失業率(9月) |
|||
17:30 |
英・ILO失業率(3カ月)(8月) |
|||
18:00 |
独・ZEW期待指数(10月) |
|||
21:30 |
米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(10月) |
|||
印・貿易収支(9月) |
||||
印・輸出(9月) |
||||
米・セントルイス連銀総裁が講演 |
||||
米・アトランタ連銀総裁が講演 |
||||
米・サンフランシスコ連銀総裁が講演 |
||||
米・2500億ドル相当の中国からの輸入品に対する追加関税発動(10月1日予定分) |
||||
米・2020年大統領選挙に向けた民主党候補者討論会 |
||||
国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)発表 |
||||
英・カーニーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が議会証言 |
||||
決算発表 シティグループ、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン ・サックス、J&J、ブラックロック |
||||
10月16日 |
水 |
国内 |
日本政府観光局が訪日外客数を発表(9月推計値) |
|
海外 |
06:45 |
NZ・消費者物価指数(7-9月) |
||
15:00 |
欧・新車販売台数(9月) |
|||
17:30 |
英・消費者物価コア指数(9月) |
|||
17:30 |
英・生産者物価産出コア指数(9月) |
|||
18:00 |
欧・貿易収支(8月) |
|||
18:00 |
欧・ユーロ圏CPI(9月) |
|||
20:00 |
ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(10月15日まで1カ月間) |
|||
20:00 |
ブ・FGVインフレ率(IGP-10)(10月) |
|||
20:00 |
米・MBA住宅ローン申請指数(先週) |
|||
21:30 |
米・小売売上高(9月) |
|||
21:30 |
加・消費者物価指数(9月) |
|||
23:00 |
米・企業在庫(8月) |
|||
23:00 |
米・NAHB住宅市場指数(10月) |
|||
29:00 |
米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(8月) |
|||
英・カーニー中銀総裁が国際通貨基金(IMF)のイベントに出席 |
||||
英・カーニー中銀総裁が講演 |
||||
韓・中央銀行が政策金利発表 |
||||
香港・林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が施政方針演説 |
||||
米・シカゴ連銀総裁が講演 |
||||
米・地区連銀経済報告(ベージュブック) |
||||
決算発表 IBM、ネットフリックス |
||||
10月17日 |
木 |
国内 |
11:30 |
東京販売用マンション(9月) |
海外 |
09:30 |
豪・失業率(9月) |
||
17:30 |
英・小売売上高指数(9月) |
|||
21:30 |
米・住宅着工件数(9月) |
|||
21:30 |
米・住宅建設許可件数(9月) |
|||
21:30 |
米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月) |
|||
21:30 |
米・新規失業保険申請件数(先週) |
|||
22:15 |
米・鉱工業生産指数(9月) |
|||
22:15 |
米・設備稼働率(9月) |
|||
欧・欧首脳会議(18日まで) |
||||
米・シカゴ連銀総裁が講演 |
||||
米・ニューヨーク連銀総裁が講演 |
||||
決算発表 TSMC、フィリップ・モリス、モルガンS |
||||
10月18日 |
金 |
国内 |
08:30 |
消費者物価コア指数(9月) |
08:50 |
対外対内証券投資(先週) |
|||
国債買い入れオペ(残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) |
||||
ワシントンホテルが東証2部に新規上場(公開価格:1310円) |
||||
浜木綿が東証ジャスダックに新規上場(公開価格:2120円) |
||||
日本半導体製造装置協会が9月販売高速報値を発表 |
||||
海外 |
11:00 |
中・固定資産投資(都市部)(9月) |
||
11:00 |
中・鉱工業生産指数(9月) |
|||
11:00 |
中・小売売上高(9月) |
|||
11:00 |
中・調査失業率(9月) |
|||
11:00 |
中・不動産投資(9月) |
|||
11:00 |
中・GDP(7-9月) |
|||
17:00 |
欧・経常収支(8月) |
|||
20:00 |
ブ・FGVインフレ率(IGP-M、2次プレビュー)(10月) |
|||
22:00 |
ブ・CNI産業信頼感(10月) |
|||
23:00 |
米・景気先行指数(9月) |
|||
米・世界銀行・IMF年次総会(20日まで) |
||||
米・対欧報復関税を発動 |
||||
決算発表 アメックス、コカ・コーラ |
||||
10月19日 |
土 |
海外 |
英・離脱延期法が定める欧との離脱案合意期限 |
- 提供:フィスコ社