日経平均は7/31の日銀会合後に荒れる可能性も
先週の225先物は前週末比40円安の22,680円と3週ぶりに下落した。米欧貿易戦争は休戦状態となり、米中貿易戦争は膠着状態となるなか、中国政府の景気対策で中国株が底入れしたことや、為替の円安傾向で4-6月期の国内企業業績への期待が高まったことが下値の堅さにつながった。
また、今週初の日銀の金融政策決定会合を前に、「長期金利誘導目標の柔軟化を検討」、「上場投資信託(ETF)の購入配分見直しを検討」などと報じられたことも思惑を呼んだ。長期金利目標の柔軟化観測が金利の上昇を招き、これが円高につながった。利ざやの改善期待から金融株がしっかりした一方で、輸出関連株は軟調に。ETFの購入配分変更では、TOPIX型を増やし、日経平均型を減らすとの観測から、日経平均の寄与度の高い値がさ株が売られ、225先物売り、TOPIX先物買いの動きもみられた。
7月20日時点の裁定残高は、ネットベースで8,012億円の買い越し(前週は7,204億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、5億2,879万株の買い越しと7月13日時点(4億9,285万株の買い越し)比で増加している。
日経225と裁定残(7月20日時点)
海外勢の売り買い目立つ
225先物の手口では、週を通じてコンスタントに売りをこなしたGSやモルガンSが売り方1位、2位となった。一方、週初に大きく買い越したAアムロCが買い方筆頭になったほか、メリル、ソジェン、JPモルガンが週を通じて買い越し基調となり、後に続く格好に。また、TOPIX先物では、週末にかけて大きく売り越したBNPパリバ、メリルが売り方1位、2位となり、週を通じてコンスタントに売りをこなしたソジェンなど海外勢の売りが目立つ一方、週を通じて買いをこなしたモルガンSや週末に大きく買い越したGSが買い方上位になった。総じて、海外勢の商いが目立った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は、前週末比0.37pt(下落率2.25%)安の16.01ptと小幅下落した。日銀による金融政策の修正観測報道を受けて、週初に日経VIは一時18.85ptと約2週間ぶりに高値水準に上昇したが、その後は日銀の金融政策決定会合を控え、狭い値幅でのもみ合いとなった。一方、先週まで続いていたCSの225先物買いが一巡したことが話題となっている。ヘッジファンド営業を強めていると複数のメディアなどに取り上げられたことや、日経レバとみられる野村の売りが続いたことから動きづらくなったのではないかと観測されている。ただ、CSの買いポジションは高水準であるため、引き続きポジション調整に転じてくるのか注目されよう。大きく売りに転じてくるならば、相場の波乱要因になる可能性があるだけに、日経VIの上昇につながる可能性があることに引き続き留意したい。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は下落、ETF購入配分の見直し検討との報道で
NT倍率(先物)は下落。週初には日銀が現在の金融緩和政策を修正する可能性があるとの一部報道から長期金利が上昇、金融株に物色が波及した。また、金融株のリバウンドからNT倍率の水準訂正が意識される形となり、NT倍率は12.9倍台を割り込んだ。さらに、週末にかけては、日銀がETF購入配分の見直しを検討すると一部で報じられた。TOPIX型を増やし、日経平均型を減らすとの観測から、NT倍率は一段と値を落とし、12.7倍台まで下落した。
今週は週初に開催される日銀の金融政策決定会合が焦点になりそうだ。先週の「上場投資信託(ETF)の購入配分の見直し検討」などとの報道を受けて、思惑的な売買が膨らんだ。7/31に結果発表される今回の会合で、日銀がマイナス金利を解除したり、年6兆円のETFの買い入れ枠の減額などに動けば、ネガティブに作用することになると思われるが、市場では「大幅な方針変更を実施することはない」との見方が大半だ。
ほかにも、目新しい発表があれば神経質に反応するだろう。海外勢が敏感に反応し、長期金利上昇に合わせて円高が進めば、日経平均の下押しにつながることも想定される。
日銀の公表文や黒田東彦総裁の記者会見に注目が集まりそうだ。
特に年6兆円のETFの買い入れ枠については、今回の会合でETF減額には踏み込まないものの、日経平均連動型のETFを減らし、TOPIX連動型にシフトする、との報道があり、今後は小型株に買いインパクトが出てくるとの思惑から、先週は小型株指数が3%と大型1.4%、中型2.0%をアウトパフォームとなっている。結果はどう出てくるのか要注目。
また、国内主要企業の決算発表がピークを迎えるだけに、一段と個別物色が活発化すると考えられる。好業績銘柄を中心に堅調な展開が予想されるなか、225先物にも好影響をもたらすことに期待しておきたい。今週の想定レンジは22,500-23,500円とする。
経済スケジュール(7月30日〜8月3日)
日付 | 曜日 | 国内 海外 | 時間 | 内容 |
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7月30日 | 月 | 国内 | 08:50 | 商業動態統計(6月) |
日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目) | ||||
海外 | 18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(7月)、ユーロ圏消費者信頼感指数改定値(7月) | ||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
21:00 | 独・消費者物価指数速報値(7月) | |||
22:30 | ブ・基礎的財政収支(6月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(6月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(7月29日まで1カ月間) | |||
7月31日 | 火 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(6月) |
08:30 | 失業率(6月) | |||
08:50 | 鉱工業生産(6月) | |||
08:50 | 貸出先別貸出金(6月) | |||
13:00 | 自動車生産台数(5月) | |||
14:00 | 住宅着工件数(6月) | |||
14:00 | 建設工事受注(6月) | |||
14:00 | 消費者態度指数(7月) | |||
14:00 | 住宅着工戸数(6月) | |||
15:30 | 黒田日銀総裁が定例会見 | |||
19:00 | 外国為替平衡操作の実施状況(6月28日-7月27日) | |||
日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表 | ||||
日銀経済・物価情勢の展望(展望リポート) | ||||
当面の長期国債等の買い入れの運営について(日本銀行) | ||||
海外 | 10:00 | 中・製造業PMI(7月)、非製造業PMI(7月)、総合PMI(7月) | ||
16:55 | 独・失業率 (7月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(6月)、ユーロ圏消費者物価コア指数(7月)、ユーロ圏GDP速報値(4-6月) | |||
18:30 | 南ア・失業率(4-6月) | |||
20:00 | 印・財政赤字(6月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(6月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(6月) | |||
21:30 | 米・個人所得(6月)、個人消費支出(6月)、個人消費支出(PCE)価格コア指数(6月)、雇用コスト指数(4-6月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(5月) | |||
22:45 | 米・シカゴ購買部協会景気指数(7月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(7月) | |||
米・連邦公開市場委員会(FOMC)(8月1日まで) | ||||
8月1日 | 水 | 国内 | 09:30 | 製造業PMI(7月) |
14:00 | 自動車販売台数(7月) | |||
16:00 | 日銀日本円金利指標に関する検討委員会 | |||
海外 | 07:45 | NZ・失業率(4-6月) | ||
10:45 | 中・財新製造業PMI(7月) | |||
14:00 | 印・製造業PMI(7月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI改定値(7月) | |||
17:30 | 英・製造業PMI(7月) | |||
18:00 | 印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(7月) | |||
20:00 | 米・MBA住宅ローン申請指数(先週) | |||
21:00 | ブ・PPI製造業(6月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(7月) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(7月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(7月)、建設支出(6月) | |||
27:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表 | |||
ブ・ブラジル中央銀行が政策金利(SELICレート)発表(8月2日までに) | ||||
米・自動車販売(7月、2日までに) | ||||
8月2日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対内・対外証券投資(先週) |
08:50 | マネタリーベース(7月) | |||
14:00 | 国内新車販売台数(7月) | |||
イボキンがジャスダックに新規上場(公開価格:1930円) | ||||
システムサポートが東証マザーズに新規上場(公開価格:1750円) | ||||
海外 | 10:30 | 豪・貿易収支(6月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(6月) | |||
20:00 | 英・イングランド銀行(英中央銀行)が金融政策・四半期物価報告発表 | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(6月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
23:00 | 米・製造業受注(6月) | |||
8月3日 | 金 | 国内 | 08:50 | 日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(6月14・15日分) |
09:30 | 総合PMI(7月) | |||
09:30 | サービス業PMI(7月) | |||
海外 | 10:30 | 豪・小売売上高(6月) | ||
10:45 | 中・財新サービス業PMI(7月)、財新総合PMI(7月) | |||
14:00 | 印・サービス業PMI(7月) | |||
14:00 | 印・総合PMI(7月) | |||
16:00 | トルコ・消費者物価指数(7月) | |||
16:15 | スイス・消費者物価指数(7月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI改定値(7月)、ユーロ圏サービス業PMI改定値(7月) | |||
17:30 | 英・サービス業PMI(7月) | |||
17:30 | 英・総合PMI(7月) | |||
18:00 | 欧・小売売上高(6月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(6月) | |||
21:30 | 米・貿易収支(6月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(7月)、失業率(7月)、平均時給(7月) | |||
22:00 | ブ・サービス業PMI(7月) | |||
22:00 | ブ・総合PMI(7月) | |||
23:00 | 米・ISM非製造業景況指数(7月) |
- 提供:フィスコ社