逆ファナック・ショックで、日経平均株価は一気に19,000円突破!今後の展開は?
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逆ファナック・ショックで、日経平均株価は一気に19,000円突破
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先週の日経平均株価はついに19,000円台を突破し、週末の日経平均株価は2000年4月以来、約15年ぶり、TOPIXは2007年11月以来、7年4カ月ぶりの高値となりました。
先週の動きを振り返ると、3月9日(月)は前週末の米雇用統計が市場予測より良かったことから、6月の利上げ懸念が高まったことでNYダウが大幅安となったことが逆風となり、日経平均は一時238円安まで売られる局面があったものの、引けにかけて下げ幅を縮める展開となりました。また、3月11日(水)はドル高による企業収益の悪化懸念から、NYダウが今年最大の下げ幅となったことから、朝方は続落して始まりました。しかし、「SQ前の水曜日は荒れる」との相場アノマリー通り、先物主導で一気にリバウンドし、プラス圏に浮上後、一時+171円となる場面もあり、結局はプラスで引けています。
3月12日(木)も続伸し小高く、日経平均先物・オプションの3月限月の最終売買日だったことから、SQ値への思惑で買い方が攻勢を掛けたとみられ、日経平均株価は一時、1万9,008円13銭まで上昇し、2000年4月以来、約15年ぶりに19,000円台に乗せる場面もありました。終値では19,000円を割り込んで取引を終えています。
3月13日(金)には日本経済新聞朝刊に、高収益企業ながら株主還元に消極的であったファナックの稲葉社長のインタビューが掲載され、株主への対応部署の設置を明らかにし、増配・自社株買い・金庫株の償却についても前向きな発言をしたことで、ファナックが買い気配スタートし、大幅高となりました。また、外国人投資家の日本株への注目度が高まるとの思惑から、他の大型株にも買いが入り、寄り付きから19,000円を超えて始まり、その後も高値を追う展開となりました。
3月13日(金)のファナック株は前日比+13%の大幅高となり、金曜日の日経平均寄与度は+123円と日経平均株価全体の263円高のうち半分程度の影響度があり、「逆ファナック・ショック」と呼んでもよい程の株高でした。今後、この流れが継続するかは、ファナック以外のキャッシュリッチな企業が株主還元策や設備投資増加等、手元資金の活用が活発するかがポイントになりそうです。今の相場の一つのテーマとなっているため、注目していく必要がありそうです。
表1:日経平均株価 4本値
日付 |
始値 |
高値 |
安値 |
終値 |
前日比 |
出来高(株) |
3月9日(月) |
18,873 |
18,878 |
18,734 |
18,791 |
-180 |
1,797,710,000 |
3月10日(火) |
18,891 |
18,924 |
18,577 |
18,665 |
-125 |
2,137,760,000 |
3月11日(水) |
18,605 |
18,837 |
18,584 |
18,724 |
58 |
1,926,656,200 |
3月12日(木) |
18,787 |
19,008 |
18,774 |
18,991 |
268 |
2,184,639,900 |
3月13日(金) |
19,120 |
19,336 |
19,042 |
19,254 |
263 |
3,198,730,000 |
3月16日(月) |
19,245 |
19,349 |
19,227 |
19,246 |
-8 |
1,977,100,000 |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
図1:日経平均株価(日足 3ヶ月間)
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今週の注目ポイントは「米FOMC」
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今週の最大の注目ポイントは、19日早朝(日本時間)の米FOMC後のFRBの経済見通しの発表です。
米FOMCでは会合後の声明文の発表で、ゼロ金利政策の継続を示唆するとされる「忍耐強く(Patient)」の表現の取り扱いが注目されています。削除されれば、削減から2回の会合を経た後に利上げされるとの観測があり、今回の声明文から削除されれば、最短で6月の利上げが視野に入ってくるからです。利上げ懸念が高まれば、更なるドル高となり、ドル円も一気に125円台に突入するとの見方もあります。しかし、これ以上のドル高は、米国のグローバル企業の業績懸念から、NY株が大幅調整になるとの観測もあり、今まで通り、円安=日本株高とならない可能性もありそうです。
表2:今週の主なスケジュール
日付 |
国 |
内容 |
3月17日(火) |
日本 |
日銀金融政策決定会合(16日・17日)・黒田総裁記者会見 |
欧州 |
独ZEW景況指数 |
米国 |
住宅着工件数(2月) |
3月18日(水) |
日本 |
貿易収支(2月 速報) |
欧州 |
ユーロ圏貿易収支(1月) |
3月19日(木) |
米国 |
米FOMC(17日・18日)、経済見通しを発表 |
日本 |
百貨店売上高(2月) |
欧州 |
EU首脳会談(ブリュッセル、20日まで) |
米国 |
新規失業保険申請件数 |
3月20日(金) |
日本 |
金融政策決定会合議事要旨 |
欧州 |
ユーロ圏経常収支(1月) |
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日経平均先物の売買を行う際に注意すべき個別銘柄とは?
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本来、日経平均先物の売買を行う場合、日経平均株価そのものの今後の値動きを想定し、それから先物を売買するのが普通です。個別銘柄の値動きについては、本来はあまり意識する必要はありません。
ただ、日経平均株価は文字通り採用されている225銘柄の平均株価ですが、全ての銘柄が一律に指数の算出に寄与しているわけではありません。1株当たりの単価が大きい(例えばファナックのような)値がさ株の値動きが比較的大きな影響を与えているのも事実です。
日経平均株価採用銘柄で株価が20,000円を超えているのは、JR東海、ファーストリテイリング、ファナックの3銘柄のみ(3月16日時点)です。なのに日経平均株価が19,000円を超えているのは何故でしょうか?
その秘密は除数にあります。
株式分割などで株価が下がったときに指数の連続性を保つために、この除数で調整を行っているからです。3月16日時点の除数は25.473です。このため、日経平均採用銘柄でみなし額面が50円の銘柄の場合、前日比の値幅を除数の25.473で割った数値が日経平均株価の前日比に影響を与えるのです。
同じ10%の騰落率でも、株価200円の低位株と株価20,000円の値がさ株では、日経平均への影響度が100倍も異なるのです。
先週末の3月13日(金)の日経平均株価は263円高でしたが、ファナックは冒頭で説明したように「逆ファナック・ショック」と言われる急騰で終値は26,870円(3,135円高)でした。3,135円÷25.473=123円なので、ファナック1銘柄で、13日の上げ幅の約半分を占める値動きとなっていたのです。
表3が日経平均株価採用銘柄の指数ウェイトトップ5です。上位3銘柄で約20%、上位5銘柄で約25%を占めています。数量が1の場合は、その銘柄の騰落幅を除数の25.473で割り込んだ数値が、その銘柄の値動きによる日経平均株価の騰落幅になります。数量が2、3の場合は、その銘柄の騰落幅を2倍・3倍したものを除数の25.473で割り込んだ数値がその銘柄の値動きによる日経平均株価の騰落幅になるのです。
日経平均先物の売買においては、基本は個別銘柄の株価動向に大きな注意を払う必要はありませんが、表3の特に上位3銘柄のファーストリテイリング、ファナック、ソフトバンクについては、日経平均株価への個別銘柄の値動き寄与度が大きいため、注意を払う必要があるのです。
図2のファナックが、株主還元実施によって更に株価が上昇すれば、日経平均株価は更に上値追いの可能性が高まってくるとみられます。図3のファーストリテイリングは、現在高値圏の保ち合いが続いていますが、3月2日高値47,065円を抜ければ、上値が軽くなりそうです。図4のソフトバンクは、アリババの株価低迷、米通信会社スプリントの不調によって下落相場となっていますが、昨年の2014年9月19日8,769円の制度信用取引の決済期日が迫っており、来週には期日明けで意外なリバウンド相場の可能性があります。
このように、日経平均株価への影響度の大きな銘柄については、テクニカルポイントなどの株価動向をチェックして、日経平均株価の動向を想定するのに、役立てるようにしてみてはいかがでしょうか。
表3:日経平均株価 指数ウエイト トップ5
No. |
コード |
銘柄名 |
指数ウエート(%) |
数量 |
3/16終値 |
1 |
9983 |
ファーストリテイリング |
9.44 |
1 |
46,265 |
2 |
6954 |
ファナック |
5.45 |
1 |
26,705 |
3 |
9984 |
ソフトバンク |
4.28 |
3 |
7,000 |
4 |
9433 |
KDDI |
3.35 |
2 |
8,220 |
5 |
6971 |
京セラ |
2.56 |
2 |
6,268 |
図2:ファナック日足チャート(6ヶ月)
図3:ファーストリテイリング日足チャート(6ヶ月)
図4:ソフトバンク日足チャート(6ヶ月)
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