10/10(火)の東京株式市場では日経平均株価が6営業日続伸となり、終値は20,823円51銭(前日比132円80銭高)と、連日で年初来高値を更新しました。世界的に景気が順調に拡大する中、欧米で主要株価が史上最高値を更新していることや、外為市場が落ち着いていることが背景とみられます。
今後はどうなるのでしょうか。RSIや騰落レシオなど、主要テクニカル指標がいったん過熱圏に入ったため、短期的には調整局面入りする可能性もありそうです。しかし、10月下旬から始まる2017年7〜9月期の決算発表で順調な企業業績が確認されれば、再び上昇スピードが加速する可能性がありそうです。1996年以来市場参加者が経験したことのない「日経平均株価21,000円」が実現し、それを超えてさらに上昇する可能性が膨らんできました。
連日で年初来高値を更新する日経平均株価 |
10/10(火)の東京株式市場では日経平均株価が6営業日続伸となり、終値は20,823円51銭(前日比132円80銭高)と、連日で年初来高値を更新しました。世界的に景気が順調に拡大する中、欧米で主要株価が史上最高値を更新していることや、外為市場が落ち着いていることが背景とみられます。
米国で10/2(月)に発表されたISM製造業景況指数(9月)は、ハリケーンが上陸した月にもかかわらず2004年5月以来の高水準まで上昇しました。こうした企業マインドの強化を背景に、NYダウは10/5(木)まで7営業日連続高となりました。また、10/6(金)に同国で発表された雇用統計(9月)では、雇用者数こそハリケーンの影響で減少したものの、失業率は低下し、時間当たり賃金の増加も加速しました。これを受けて、年内利上げ観測はさらに強まり、その日の外為市場では一時1ドル113円台半ばまで円安・ドル高が進みました。
米国株の上昇と外為市場における円安・ドル高基調が東京市場の追い風になっていると考えられます。さらに、10/2(月)に発表された日銀短観(9月調査)では大企業・製造業の業況判断指数が前回の+17から+22へと上昇しました。我が国の企業業績がさらに拡大しているとの見方も日本の株価を引き上げる大きな力になっているようです。
今後はどうなるのでしょうか。日経平均株価のRSIは10/10(火)現在79.1%(70%以上が「過熱圏」)まで上昇しています。また、東証一部の騰落レシオは9/29(金)に130.11%(120%以上が「過熱圏」)まで上昇した後すでに低下傾向となっています。主要テクニカル指標がいったん過熱圏に入ったため、短期的には調整局面入りする可能性もありそうです。しかし、10月下旬から始まる2017年7〜9月期の決算発表で順調な企業業績が確認されれば、再び上昇スピードが加速する可能性がありそうです。1996年以来市場参加者が経験したことのない「日経平均株価21,000円」が実現し、それを超えてさらに上昇する可能性が膨らんできました。
図1:日経平均株価(日足)〜年初来高値更新が続く
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2017/10/10取引時間中
図2:NYダウ(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2017/10/9現在
図3:ドル・円相場(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/10/10取引時間中
当面のタイムスケジュール〜決算(7〜9月期)発表シーズンが幕開けへ |
当面の日程としては、総選挙と国内外で始まる決算発表が重要と考えられます。
衆議院は解散時の議席数が計475議席。内訳は自民党他が287、公明党が35、民進党他が87となっています。安倍首相は与党(自民党+公明党)で過半数(238議席)とみているようで、現有議席から84議席の減少が許容されている形になっています。衆議院選挙は10/22(日)に投開票となるはこびですが、勝敗ラインが引き下げられたことで、波乱となるリスクは低下しています。
7〜9月期の決算発表については、米国では10/12(木)以降、我が国では10/20(金)以降本格化してくるとみられます。決算発表自体は順調に進捗するとみられるものの、直前には様子見気分が強まる場面も想定され、一応の注意が必要です。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜決算(7〜9月期)発表シーズンが幕開けへ
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
10/10(火) | 北朝鮮 | 朝鮮労働党創建記念日 | 北朝鮮による挑発活動に注意 |
日本 | ★決算発表〜Jフロント、高島屋他 | ||
日本 | 衆議院選挙が公示 | 計475議席。自民党他が287、公明党が35、民進党他が87 | |
10/11(水) | 日本 | 8月機械受注 | 民間設備投資の先行指標 |
日本 | ★決算発表〜ユニー・ファミマ、ローソン他 | ||
中国 | 中国共産党中央委員会第7回全体会議 | ||
米国 | FOMC議事録(9/20発表分) | ||
10/12(木) | 日本 | 9月都心オフィス空室率 | 8月は3.35%と3ヵ月ぶりに上昇 |
日本 | ★決算発表〜7&I HD、ファーストリテ | ||
- | G20財務省・中央銀行総裁会議 | ||
米国 | 9月生産者物価 | 8月は前年同月比+2.0%。コンセンサスも同数値 | |
米国 | ☆決算発表〜JPモルガン・チェース、シティG | 米国の決算発表(7〜9月期)シーズンが幕開け | |
10/13(金) | 日本 | オプションSQ | |
中国 | 9月貿易統計 | ||
米国 | 9月消費者物価指数 | 市場コンセンサス(食品・エネルギーを除く)は前年比+1.8% | |
米国 | 9月小売売上高 | 米個人消費の重要な指標 | |
米国 | 10月ミシガン大学消費者マインド指数 | ||
米国 | ☆決算発表〜バンカメ、ウェルズ・ファーゴ | ||
10/16(月) | 中国 | 9月消費者物価指数 | |
中国 | 9月生産者物価 | ||
米国 | 10月NY連銀製造業景気指数 | ||
米国 | ☆決算発表〜ネットフリックス | ||
10/17(火) | 独 | 10月ZEW景況感指数 | 機関投資家やアナリスト350人に半年後の景況感を質問 |
米国 | 9月鉱工業生産・設備稼働率 | 市場コンセンサスは前月比±0% | |
米国 | 10月NAHB住宅市場指数 | ||
米国 | ☆決算発表〜IBM、GS、Mスタンレー他 | ||
10/18(水) | 日本 | 9月訪日外客数 | 8月は前年同月比20.9%増 |
中国 | 中国共産党第19回全国代表大会 | ||
米国 | 9月住宅着工件数 | 市場コンセンサスは前月比-0.8% | |
米国 | ベージュブック | 米金融政策の重要な判断材料 | |
米国 | ☆決算発表〜アメックス、イーベイ他 | ||
10/19(木) | 中国 | 7〜9月GDP | 市場コンセンサスは前年同月比+6.8% |
中国 | 9月小売売上高 | 市場コンセンサスは前年同月比+10.1% | |
中国 | 9月都市部固定資産投資(年初来) | 市場コンセンサスは前年同月比+7.7% | |
中国 | 9月鉱工業生産 | 市場コンセンサスは前年同月比+6.7% | |
欧州 | EU首脳会議(〜20日) | ||
米国 | 10月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 | ||
米国 | ☆決算発表〜ベライゾン他 | ||
10/20(金) | - | APEC財務大臣会合(〜21日) | |
米国 | 9月中古住宅販売件数 | ||
米国 | ☆決算発表〜GE他 |
表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日
2017年 | 2018年 | |
---|---|---|
日銀金融政策決定会合 | 10/31(火)、12/21(木) | 1/23(火)、3/9(金)、4/27(金)、6/15(金)、7/31(火) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 11/1(水)、12/13(水) | 1/31(水)、3/21(水)、5/2(水)、6/13(水)、8/1(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 10/26(木)、12/14(木) | 1/25(木)、3/8(木)、4/26(木)、6/14(木)、7/26(木) |
※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は現地時間を基準に記載しています。
【ココがPOINT!】日経平均株価は決算発表で上昇加速も!? |
10月下旬から始まる2017年7〜9月期の決算発表で順調な企業業績が確認されれば、株価は再び上昇スピードが加速する可能性がありそうです。1996年以来市場参加者が経験したことのない「日経平均株価21,000円」が実現し、それを超えてさらに上昇する可能性が膨らんできました。
時価総額1千億円以上の3月決算・上場企業(金融を除く)で、市場コンセンサスのある企業を対象にした計算では、2017年4〜6月期の営業利益は前年同期比で14%超の増益でした。同7〜9月期も同程度の増益が続き、4〜9月期累計でも14%超の増益(市場コンセンサス)になりそうです。これを受け、18年3月期は13%超の営業増益(同)が期待できそうです。なお、会社予想ベースでは5%超の営業増益予想となっているため、業績予想は上方修正される可能性が大きそうです。
なお、日経平均株価の予想EPS(一株利益)は現在1,415円前後になっています。1年前との比較ではEPSベースで20%弱程度の増益を織り込んでいると考えられます。日経報道等によると、2018年3月期は5社に1社程度の会社が純利益ベースで最高益を更新すると予想されます。
図4はドル・円相場(四半期ごとの平均レート)と企業の経常利益(法人企業統計・全産業)の推移をみたものです。円安・ドル高局面では企業の利益が増えやすいことを示しています。ちなみに、ドルの円に対する上昇率(前年同期比)は2017年4〜6月期の+2.9%から7〜9月期は+8.4%と上昇が加速しています。このため、企業の経常利益は予想より強くなる可能性が大きいと考えられます。
10/2(月)に発表された日銀短観(9月調査)では大企業・製造業の業況判断指数が前回の+17から+22へと上昇しましたが、この数字は6月調査における「先行き」予想(+15)をも、大きく上回る数字になっています。このことは、企業の業況が3ヵ月前に想定してよりも良かったことを示しています。
10月下旬から始まる上場企業の決算発表は株価を押し上げる可能性が大きそうです。
図4:ドル・円相場と企業の経常利益
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。ドル・円相場(四半期ごとの平均レート)は前年同期比でのドルの円に対する上昇率
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21,000円への動きが継続か