5月に入り、日経平均株価が力強い上昇相場を演じています。5月26日までの騰落を勝敗で示すと13勝2敗にもなります。19日には、4月28日以来の20,000円大台を回復。20日には年初来高値を更新する動きとなり、26日まで、日経平均株価は実に8営業日連続高となっています。
この動きをどうみるべきでしょうか。無論、連騰により過熱感が強まってくることは否定できません。短期的には、調整を経る可能性もあるでしょう。しかし、日経平均株価は20,000円大台を固めつつあり、この水準が次第に「ひとつのスタートライン」になりつつあるようにも思えます。
今回の「ココがポイント」では、「2万円」の大台を固めつつある日経平均株価について、次第に「大相場」の様相が強まりつつあるのでは?との考え方をお示ししたいと思います。
企業業績の拡大が鮮明となり、割高感が強まらない日経平均 |
大型連休にかけて一時20,000円大台を割り込んだ日経平均株価ですが、5月19日には同大台を回復し、その後も堅調な相場展開が続いています。その最大の要因は、企業業績の拡大が鮮明になってきたことだと考えられます。
3月決算の発表が本格化する4月17日には1,106円だった日経平均株価の予想EPS(一株利益)は、5月25日には1,241円まで上昇しました。この間、決算期別では「主力」である3月決算企業の業績予想対象が、15年3月期から16年3月期に変わったことに伴う変化と言えます。ちなみに、1,241÷1,106円=1.12です。日経平均の予想EPSは新年度に12%増加する見通しであると考えることができます。日銀短観(2015年3月調査)で、新年度の予想増益率は「微増益」程度になると警戒されていましたので、こうした予想EPSの変化は、素直に「ポジティブ・サプライズ」であると考えられます。
多くの投資家が、利益と比較して株価が割高か否かの参考指標にしているのが「予想PER」です。この予想PERは、4月17日には17.76倍でしたが、5月25日には16.44倍と低下しています。株価が上昇したにもかかわらず、それ以上のペースで、予想EPSが増えた(日経平均採用銘柄の予想利益水準が向上した)ことが理由です。
図表1:「2万円」値固めが進みつつある日経平均株価(日足)
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。
図表2:日経平均と予想PER14倍、16倍、18倍ライン
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。
歴史的な過剰流動性 |
堅調な株式相場の理由としてもうひとつ重要なのが「過剰流動性」の存在であるとみられます。
現在、株式市場では「日銀」が話題になるケースが減っているかもしれません。追加緩和に対する期待が低下していることが要因でしょうか。ただ、市場は過小評価している可能性があります。日銀による量的緩和は、日々、市場から国債等を買い入れ、世の中への資金供給を拡大させてゆく地道な作業であるという点です。2015年4月までの過去1年間、日銀は月7兆円(前月比2%増)のペースで総資産を膨らませています。「緩和」は、日々着実に進んでいると考えるべきでしょう。
2012年末に日銀総資産は158兆円でしたが、2015年4月末には333兆円まで膨らんでいます。図表3では、そうした日銀総資産の拡大とともに、日経平均が上昇していることがお分かり頂けると思います。「郵政上場」や「消費税率再引き上げ」を目指し、いまの量的緩和が続く可能性は十分残ります。「金融緩和」の規模としてはまさに、日本経済史上最大規模といえ、株価に追い風になり続けるとみられます。
図表3:日経平均株価と日銀総資産の推移
- ※Bloomberg、日銀データよりSBI証券が作成。
【225のココがポイント!】「歴史的大相場」との類似点は?相違点は? |
現状で「日経平均株価が、平成バブル相場と同じようになる」と考えたとすると、非常に乱暴な意見のように聞こえると思います。そもそも、市場参加者の中で「平成バブル」を経験した人は少数派になりつつあります。また、バブル崩壊後に日本経済が長期デフレ局面に突入したことを想起すれば、バブル相場は「そうなって欲しい面もあれば、そうなって欲しくない面もある」のが、素直な見方ではないでしょうか。
ただ、ここまでの所、「アベノミクス相場」は、株価面で、平成バブル相場と似た経緯を辿っていることは事実です。図表4は、バブル相場のスタートとみられる1985年9月(プラザ合意が取り決められた)以降の日経平均株価・月足チャート(指数化)に、2012年11月(野田・前首相が衆議院解散を表明)以降の同・月足(指数化)を重ねたものです。ただし、2015年5月は月足終値がまだないため、25日終値をとっています。ともに、起点から30ヵ月でおおよそ2倍の上昇率となっています。
体感的には、平成バブルの方が過熱感が強かったように思われます。当時は東証に立会場があり、活況さが「場」の喧騒という形で伝わってきたから、そう感じたのかもしれません。また、企業業績が素晴らしく良かった訳でなく、むしろ含み資産がもてはやされ、株価の割高感は強かったと考えられます。ちなみに、平成バブルはその天井局面で予想PERが約70倍の評価となっていました。
平成バブルに比べれば、現在の日経平均株価の予想PERが低いこと、株式取引が完全に電子化され、かつ多くがネット取引となる中で、「場」の喧騒がわかりにくくなっているのかもしれません。もっとも、多くの国で株価が史上最高値を付ける中、25〜30年前の株価水準すら回復していないのも、本当は普通ではないのかもしれません。
平成バブルは、プラザ合意(1985年9月)によりもたらされた「超」円高と、それにより想定される輸出の減少を、金融緩和・内需拡大で凌ごうとして発生しました。そして、その結果、もたらされた株高や地価上昇を、「日本経済の実力」と錯覚し、金融システムまでも巻き込んでしまったことで、その後の「大惨事」につながってしまいました。「アベノミクス相場」は、過剰流動性を伴っているという面では、平成バブルと似ていますが、企業業績とのかい離が少ない点は大きく異なっています。日本企業が、現状をチャンスに、今後も企業業績を拡大させることができれば、「バブル」にならない道も残されているとみられます。
図表4:「平成バブル」と「アベノミクス」〜日経平均月足株価の比較
- 日経平均株価データよりSBI証券が作成。85年9月〜90年12月の日経平均・月足データに、2012年1月以降の日経平均・月足データを重ねた。
- 前者は85年9月末終値を1、後者は2012年11月末終値を1として指数化したもの。
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1579 | 日経平均ブル2倍上場投信 |
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日本の株式市場に連動するブル・ベアファンドとしては国内最高(※)である3.7倍レバレッジのブル・ベアファンドが2015/2/6(金)に登場しました!
※2015/1/20時点SBIアセットマネジメント調べ