前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が330円超下落したことや、日銀のマイナス金利の早期解除への思惑が強まったことから円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、6営業日ぶりの150円台割れとなった。欧州時間では、米長期金利の上昇を受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表されたインフレ関連指数が前月から鈍化したことや、その後に発表された経済指標も悪化したことから、米長期金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。ただ、下げ一服後は月末のロンドンフィキシングに向けたドル買いが優勢となったこともあり、ドル/円は再び150円台まで値を戻した。
米株式市場では、米国のインフレ関連指標が鈍化したことを受けて、主要株価指数は買いが先行した。ただ、その後は利益確定の動きなどもあり、マイナス圏まで下落する場面もあったが、米長期金利が大幅に低下したこともあり、底固い動きが続いた。ダウ平均は、序盤から堅調な動きとなり、前日比125ドル高まで上昇した。ただ、その後は下落に転じて一時139ドル安まで下落したものの、終盤にかけて再びプラス圏を回復し、47.37ドル高(+0.12%)で終了した。一方、ナスダックは144.18ポイント高(+0.90%)で終了し、終値ベースで2021年11月以来の高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場にドル/円が150円台後半で推移したことで、高値警戒感が出たことや、日経平均株価が序盤から前日比331円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。月末であることから、仲値公示にかけては底固い動きが見られたものの、仲値通過後は売りが優勢となった。さらに、高田日銀審議委員が「2%目標の実現が見通せる状況になった」と発言したことを受けて、早期のマイナス金利解除への期待感が膨らみ、日本の金利上昇とともに円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の150.67から149.70まで下落した。
(2)午後に入ると、日経平均株価が終盤に一時プラス圏を回復する場面がったことや、米長期金利が底固い動きとなったことから、ドル/円は150.11まで値を戻したものの再び150円割れとなるなど、上値の重い動きが続いた。その後、欧州時間では時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された1月の米PCEデフレーターが前月の2.6%から2.4%に鈍化したことや、その後に発表されたシカゴ購買部協会景気指数が44.0と市場予想の48.0から低下、中古住宅販売仮契約が-4.9%と市場予想の1.5%から悪化したこと、さらに米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.317%から4.222%まで急速な低下となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、発表直前の150.15から149.21まで下落した。
(4)下げ一服後は、月末のロンドンフィキシング(ロンドン・クローズ)に向けたドル買いが優勢となったことや、米金利がやや持ち直したこと、さらにFRB当局者が「夏から緩和を始めるのが適切」との見方を示したこともあり、ドル/円は再び150.05まで値を戻した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで終盤まで軟調な動きが続いたことから、対円でも上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
昨日の米国市場では、インフレ関連の指標が鈍化したことから、米長期金利の急速な低下とともにドルは軟調な動きとなった。ただ、マーケットでは利下げの開始は年央以降との見方が優勢となっており、一方日銀のマイナス金利の解除は米国の政策変更より早くなるとの見方も出ており、ドルはやや上値の重い動きが続いている。
ドル/円は、昨日レンジ下限と見られている149.50近辺を一時下抜ける動きが見られた。現状では、150円台まで値を戻しているが、再び149.50を下回る動きとなるようなら、下向きに流れが変わる可能性もあるので、目先の動きに注目したい。
本日の米国市場では、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、ISM製造業景況指数の発表が予定されており、結果が注目されている。特に、昨日PCEデフレーターが鈍化したことから、前者の期待インフレ率の結果には注目したい。ただ、確報であることから、速報から修正がなければ値動きは限定的と見られているが、修正があるようなら、米金利の動きとともにドルも上下に振れる可能性も考えられる。
3/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
2月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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79.6 | 79.6 |
前回の速報は、市場予想を上回り2021年7月以来の高水準となった。景気とインフレの先行きに対する楽観的な見方が強まっていることが示された。今回の確報は、速報から変わらず予想となっており、予想通りなら反応は限定的と見られているが、上下に修正がある場合には敏感に反応する可能性も。 | ||||
0:00 | 米国 |
2月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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49.5 | 49.1 |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の上昇で2022年10月以来の高水準となった。新規受注が2022年5月以来の高い水準となったことが全体を押し上げたが、ここまで15ヵ月連続で製造業の景気の拡大・縮小の判断基準の50を下回っている。今回は、さらに上昇が予想されているが、16ヵ月ぶりに50を回復するのか注目。 |