前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、日銀の金融政策発表で現状維持が発表されたことを受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は急速な上昇となった。上昇一服後は、植田日銀総裁の会見を控えて様子見ムードも高まり、限定的な動きとなった。ただ、植田日銀総裁の会見では、マイナス金利解除に積極的な姿勢が見られないとの見方から円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。序盤に発表された11月の米住宅着工件数が5月以来の高水準となったことからドルは底固い動きとなる場面もあったが、米金利の低下を受けてドルは一段の下落となった。ただ、終盤には低下した米金利が持ち直したことからドルは底固い動きとなり、ドル/円も値を戻す動きとなった。
米株式市場では、連日FRB高官から利下げの可能性に言及する発言が相次いでいることもあり、マーケットの早期の利下げ観測を背景に主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均は、序盤から堅調な動きが続き、終盤には一時前日比258ドル高まで上昇して5営業日連続で史上最高値を更新した。引けにかけて高値圏を維持したまま、251.90ドル高(+0.68%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、98.03ポイント高(+0.66%)で終了、2022年1/22以来の高値で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤にサンフランシスコ連銀総裁が「2024年に3回の利下げが必要になる可能性」と発言したことが伝わったことが影響し、東京市場では序盤からドル円・クロス円はギャップダウンして始まった。さらに、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたことも圧迫要因となった。ドル/円は、142.85から142.26まで下落したものの、日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えて様子見ムードも強く、下値は限定的となった。
(2)日銀の金融政策決定会合の結果発表では、一部で予想されていたイールドカーブ・コントロールの撤廃やマイナス金利の解除、さらに文言の修正はなかった。結果発表を受けて、円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は急上昇となり、ドルは発表直前の142.52から143.78まで上昇した。その後、植田日銀総裁の会見を受けて、一時下振れする場面もあったが、マイナス金利解除に積極的な姿勢が見られないと受け止められ、円売りが加速して欧州時間には144.95まで上昇した。
(3)米国市場では、日銀の早期政策修正への期待感が後退したこと受けて円が売られた流れが一服し、円買い戻しの動きとなった欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、序盤に発表された11月の米住宅着工件数が、市場予想の136.0万件を上回る156.0万件と5月以来の高水準となったことからドルは底固い動きが見られたものの、米金利低下を受けてドルは一段の下落となり、ドル/円は欧州時間に付けた144.96から143.53まで下落した。
(4)その後、低下していた米金利が持ち直したことからドルは底固い動きとなり、ドル/円は終盤にかけて143.97まで値を戻した。
本日のトピックス
昨日、日銀の金融政策決定会合と植田総裁の会見を受けて、早期の政策修正への期待感が後退したことから円売りが優勢となった流れを受けて、海外市場でも円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、欧州時間に一時144.96まで上昇したものの、上昇一服後は利益確定の動きに加え米長期金利の低下を受けて軟調な動きとなった。
一方、米FRBの早期利下げ観測も根強いことから、円売りが強まり難い状況でもあり、上値は限定的と見られている。また、クリスマス休暇や年末年始を控えて市場参加者が少なくなることが予想されることから、ポジションを傾けにくい状況となりつつある。そのため、限定的な動きとなり易い一方、短期的に値動きが荒くなる可能性もあることから、今後の値動きには注意も必要だろう。
本日の海外市場では、米国の中古住宅販売件数の発表が予定されているが、マーケットが注目していたイベント(FOMCと日銀金融政策決定会合)が終了しており、ここから積極的にポジションを取りにくい状況でもある。ただ、米当局者の発言などで思惑が交錯すれば金利が反応して、その動きに為替相場も反応する可能性もあるだろう。
12/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
11月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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377万件 | 379万件 |
前回は、市場予想を下回り、5ヵ月連続の減少で2010年8月以来の低水準となった。住宅ローン金利の高止まりと在庫減少が引き続き圧迫要因となった。今回は、前回から更に減少が予想されており、住宅市場のさらなる悪化が示されると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
12月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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104.0 | 102.0 |
前回は市場予想を上回り、4ヵ月ぶりの上昇となり、2022年7月以来の低水準となった前回結果から改善した。現況指数が138.2(前月138.6)と低下したものの、期待指数が77.8(72.7)と上昇したことが影響した。今回は、前月から上昇が予想されており、前月低下した現況指数の改善が見られるのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲下限を下抜けて三役逆転の弱気シグナルとなり、下げが加速する場面もあった。ここにきてやや値を戻す動きも見られており、ここから一段の上昇となるのか、再び軟調な動きとなるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小しており、目先両線がクロスすると上昇への転換を示唆する形状となることから、目先の形状に注目したい。また、より短期的な動きを見る上で注目されているストキャスティクスでは、両線がすでに上向きとなっており、現状の堅調な動きを示している。
このことから、目先堅調な動きが続く可能性も考えられる。目先の上値のポイントは、前日の高値の144.956、次いで一目均衡表基準線の146.192となり、ここを上抜ければ一段の上昇も考えられる。なお、一目均衡表の基準線は、現在146.192に位置しており、21日までは横ばいとなるが、それ以降は低下が続き、26日には145.351まで低下(年始にかけてさらに低下も予測)することから、このタイミングでの上抜けとなるのか注目したい。
一方、目先の上値のポイントを抜けられない場合には、再び軟調な動きとなる可能性も考えられ、ストキャスティクスからみると日柄的には2-3日で抜けない場合には目先軟調な動き転換する可能性も考えられることから、日柄にも注目したい。
上値のポイント
(1)144.956 (2)146.192 (3)146.574
下値のポイント
(1)143.149 (2)142.247 (3)140.953