前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。新規材料に乏しい中、日経平均株価が下落に転じたことから円買いが優勢となり、ドル/円は一時147円台まで下落した。ただ、その後は値頃感の買い戻しもあり、値を戻す動きも見られた。さらに、欧州時間では米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤からドルは底固い動きとなった。しかし、FRB高官が利下げの可能性に言及したことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、序盤の148.70から147.33まで下落した。
米株式市場では、主要株価指数は下落して始まったものの、FRB高官が利下げの可能性に言及したことで米長期金利が低下となり、これを受けて主要株価指数は上昇に転じて上げ幅を拡大した。しかし、上昇一服後は上げ幅を縮小する動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、前日比25ドル安まで下落した。その後は上昇に転じて一時185ドル高まで上昇したものの、上昇一服後は上げ幅を縮小し、83.51ドル高(+0.24%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、40.74ポイント高(+0.29%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の軟調な動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。上昇して始まった日経平均株価が下落に転じて一時前日比149円安まで下落したことも影響した。ドル/円は、序盤の148.67から147.97まで下落し、5営業日ぶりに147円台まで下落した。
(2)午後に入り、日経平均株価が底固い動きとなり、下げ幅を縮小したことや、値頃感の買い戻しも入り、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。欧州時間に入り、米長期金利が上昇したことから、ドル/円は堅調な動きとなり、一時148.82まで上昇する場面もあり、クロス円も堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、米長期金利の上昇や、米消費者信頼感指数が市場予想の101.0を上回る102.0となったことから、ドルは序盤から底固い動きとなった。しかし、タカ派と見られていたウォラーFRB理事が、インフレ率がさらに数ヵ月間低下すれば利下げも可能になるとの見方を示したことから、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落し、ドル/円は序盤の148.70から147.33まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、ドル/円の下落に連れて対円では軟調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、FRB高官が利下げの可能性に言及したことで米長金利が低下となり、これを受けてドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。発言では、インフレの低下が数ヵ月続けばとの条件が示されているが、これまで同高官はタカ派発言をしていたことに加え、利下げとの言葉にやや過敏に反応したとの見方もある。
すでに、金利先物市場では、来年5月に0.25%の利利下げを90%近く織り込む水準であることから、マーケットでは来年の利下げを織り込み始めている。そのため、ここから利下げの時期が早まるのかどうか注目されることから、ドルは引き続き上値の重い動きが予想されている。ただ、依然としてインフレ率がFRBの目標を上回っていることから、FRB高官は安易に利下げを支持できない面もある。
本日の海外市場では、ドイツの消費者物価指数、米国のGDP改定値の発表が予定されており、結果が注目されている。
11/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
第3四半期GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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5.0% | 4.9% |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、約2年ぶりの高成長となった。GDPの約7割を占めるとされる個人消費が2021年以来の大幅な伸びとなったことが押し上げに寄与した。また、インフレの指標となるコア価格指数は2.4%と2020年以来の低い伸びとなった。今回の改定値では、上昇修正が予想されており、予想通りなら2021年以来の5%成長となる、また、コア価格指数の修正があるのかどうかも注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲の中で軟調な動きが続いていたが、現状では雲を下抜けている。さらに、目先のサポートポイントである147.145を下抜けていることから、一段の下落となる可能性も考えられる。そのため、終値ベースで下抜けとなるのか注目したい。
一目均衡表では、基準線と転換線がクロス、遅行スパンが価格帯を下抜け、価格が雲下限を下抜けており、三役逆転の弱気シグナルの形状となっている。そのため、ここから一段の下落となるのか注目される。
一目均衡表の雲下抜け、サポートの147.145を下抜けたことによる目先の下値目標の計算値は144.988と計算できる。一方、上値のポイントは雲下限ラインとなり、ここを上抜けて雲の中に戻ることができれば底固い動きとなる可能性も考えられる。