前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場終盤の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。神田財務官が足元の円安進行について、一方的で急激な動きを懸念していると発言したことを受けて、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まり、円買い・ドル売りが優勢となった。下げ一服後、値を戻す場面もあったが、米長期金利の低下も加わり、欧州時間までドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が冴えない結果となったことから、ドルは序盤から上値の重い動きとなった。その後のFOMCでは、米経済には耐性があると指摘し、追加利上げも否定しなかったことを受けてドルは底固い動きも見られたが、米金利の低下が続いたことからドルは引けにかけて主要通貨に対して下落となり、対円でも150.67まで下落した。
米株式市場では、FOMCの結果発表を控え、金融引き締めの長期化観測が和らぐとの見方から主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。その後は様子見となったものの、FOMCで政策金利が据え置かれたことや、会見でFRB議長の発言がタカ派ではないと受け止められたことから、主要株価指数は再び堅調な動きとなった。また、米長期金利が低下したことも好感され、金利動向に敏感なナスダックは上げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤に228ドル高まで上昇したものの、その後は5ドル高まで上げ幅を縮小した。ただ、FOMC後に上げ幅を拡大し、一時前日比284ドル高まで上昇する場面もあり、221.71ドル高(0.67%)で終了。一方、ナスダックは210.23ポイント高(+1.64%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場では、大きく下落する場面があったものの、その後は再び堅調な動きとなった流れを引き継ぎ、アジア時間では序盤から堅調な動きとなった。ただ、神田財務官が、足元の円安進行について一方的で急激な動きを懸念しているとし、あらゆる手段を排除せず適切に対応すると発言したことを受けて円買いが優勢となり、ドル/円は151.68から151.16まで下落した。その後、151.44まで値を戻したものの、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル/円は151.14まで下落した。一方、欧州通貨は対ドルで下落したことや、ドル/円の動きに連れて対円でも軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大して一時前日比742円超上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。また、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の会見を控えて様子見ムードも強まっており、限定的な動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された10月の米ADP雇用統計が市場予想の15.0万人を下回る11.3万人となったことから、ドルは上値の重い動きとなった。その後、ドルは持ち直したものの、米財務省が長期債入札の増額規模の縮小を発表したことや、10月米ISM製造業景況指数が市場予想の49.0を下回る46.7となり、3ヵ月ぶりの低水準となったことを受けて米金利が低下となり、ドルは一段の下落となった。ドル/円は、序盤の高値の151.38から150.82まで下落した。
(4)FOMCでは、米経済には耐性があると指摘し、追加利上げも否定しなかったことを受けて、ドル/円は151.24まで上昇する場面もあったが、米金利の低下が続いたことからドルは引けにかけて主要通貨に対して下落となり、対円でも150.67まで下落した。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、FOMC後の会見でパウエルFRB議長の会見がハト派的と受け止められたことで、米金利の低下とともに、ドルは主要通貨に対して下落となり、ドル/円も軟調な動きとなった。ただ、日本の政策維持もあり、依然として円を買い難い状況が続いていることから、ドル/円は底固い動きが続くと見られている。現状では、150円台で底固い動きが続くと見られているが、150円台割れとなった場合に一旦の調整となるのかどうかが注目される。
ドル/円が再び上昇に転じるのか、一旦調整となるのかは、週末の米雇用統計の結果次第と見られている。良好な結果となる場合には、ドルの押し上げに寄与する可能性もあり、冴えない結果となる場合には、ドルの下振れとなる可能性も考えられる。
本日の海外市場では、英中銀の金融政策発表、米新規失業保険申請件数の発表が予定されている。英中銀は、2021年12月に政策金利の引き上げを決定して以降14会合連続の利上げを実施してきたが、前回は政策金利を据え置いた。今回も据え置きが予想されており、利上げサイクルの終了が示されるのか注目されている。
11/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:00 | 英国 |
英中銀MPC(金融政策委員会)
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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5.250% | 5.250% |
前回は、政策金利の据え置きが発表され、15会合ぶりの据え置きとなった。2021年12月に利上げを開始して、ここまで5.15%幅の利上げを実施しており、利上げの効果を見極めるために据え置きが決定された。マーケットでは、利上げサイクルは終了した可能性が高いとの見方が広がっており、今回も金利据え置きが予想されている。ただ、一部では追加利上げへの警戒感も根強く残っている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(10/28までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.0万件 | 21.0万件 |
前回は市場予想を上回り、1/27以来の低水準となった前週の結果から増加した。ただ、依然として労働市場の底固さが示される結果となった。今週は前週から横ばいの伸びが予想されており、労働市場の底固さが続いていることが示されると見られている。 |