前営業日トピックス
東京市場では、米FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まる中、日米の金融当局者の発言を受けて、円買い介入への警戒感が高まり、ドル/円は序盤からやや上値の重い動きとなった。しかし、下げ一服後は底固い動きとなり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、英国の経済指標の結果が嫌気され、ポンドは主要通貨に対して大きく下落した。欧州時間では、米長期金利が低下したことからドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。
米国市場では、FOMCの結果発表を控えたポジション調整の動きからドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いた。FOMCでは、予想通りFF金利の誘導目標が据え置かれたものの、ドット・チャート(政策金利見通し)が上方修正されたことを受けて追加利上げ期待が高まり、米金利の上昇とともにドルも堅調な動きとなった。その後、パウエルFRB議長が会見で「適切であれば追加利上げの用意がある」との見解を示したことでドルは一段の上昇となり、ドル/円は148.31まで上昇し、昨年11/4以来の高値を更新した。
米株式市場では、序盤から底固い動きが続いたものの、FOMCの結果発表やパウエルFRB議長の会見を受けて、FRBの追加利上げに対する警戒感が強まり、主要株価指数は売りが優勢となった。特に、米金利上昇を受けて高PERのハイテク株の売りが優勢となり、ナスダックは大幅な下落となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比258ドル高まで上昇した。ただ、FOMC後は下落に転じてマイナス圏まで下落、76.85ドル安(-0.22%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、209.06ポイント安(-1.53%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなり、さらにイエレン米財務長官が日本為替介入に対して理解を示すかどうかは状況次第と発言したことや、神田財務官が米当局と緊密に意思疎通を図っているとしたことを受けて、ドル/円は序盤の高値の147.86から147.70まで下落した。その後、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたものの、FOMCの結果発表を控えて年内の追加利上げ期待も根強く、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、この日の高値147.86が意識され、ドル/円は147.84で上値の重い動きが続いたものの、高値を更新すると一段の上昇となり、ドル/円は一時147.95まで上昇した。一方、英国の8月の消費者物価指数が市場予想に反して低下したことから、英中銀の追加利上げ観測が後退し、ポンドは主要通貨に対して下落した。上昇一服後は、米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、FOMCの結果発表を控えて米長期金利が低下する中、ポジション調整の動きからドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いた。FOMCでは、予想通りFF金利の誘導目標が5.25%-5.50%で据え置かれたものの、ドット・チャート(政策金利見通し)で2024年末の予想中央値が4.6%⇒5.1%に、2025年末3.4%⇒3.9%に上方修正されたことで、追加利上げ観測に加え、利下げ時期が遅れるとの見方が広がり、米金利の上昇とともにドルも上昇に転じた。その後、パウエルFRB議長が会見で「FRBは金利決定について慎重に進める」と発言したことを受けて、ドルが失速する場面もあった。
(4)しかし、パウエルFRB議長が「適切であれば追加利上げの用意がある」との見解を示したことを受けて、米長期金利の指標となる10年債利回りは一時4.41%台まで上昇し、2007年11月以来の高水準となり、政策金利の動向に敏感な2年債利回りは一時5.17%台まで上昇して2006年7月以来の高水準となるなど、米金利が一段の上昇となり、再びドルは堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の147.93から147.47まで下落後、終盤にかけて148.31まで上昇し、昨年11/4以来の高値を更新した。
本日のトピックス
昨日の米FOMCでは、FF金利の誘導目標が予想通りの据え置きとなったが、ドット・チャート(政策金利見通し)で2024年末、2025年末時点の予想がともに上方修正されたことで、追加利上げ観測が高まったことや、利下げ開始時期が遅れるとの見方が広がり、米金利の上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、パウエルFRB議長が会見で「適切であれば追加利上げの用意がある」との見解を示したこともドルの押し上げに寄与した。マーケットでは、ここまでのタカ派を予想していなかったこともあり、ドル/円は148円台乗せとなり、さらに堅調な動きも予想されている。
FOMCの結果発表が終了したことで、マーケットの注目は週末の日銀の金融政策決定会合に移っており、結果発表までは再び様子見ムードが強まるとの予想もある。ただ、日銀の政策は現状維持が予想されており、日米の金利差がさらに拡大すると見られている。そのため、ドルはジリ高の展開が続く可能性もあるだろう。さらに、予想通りの現状維持となる場合には、ドルの一段の上昇となる可能性も考えられる。上昇局面では、政府・日銀の為替介入の警戒感が強まる可能性もあるが、マーケットでは150円台までは介入はしないのではないかとの見方も多いことから、150円台乗せとなる可能性も視野に入っている。
本日の海外市場では、英国やトルコ、南アフリカなどの金融政策発表が予定されており、結果を受けてポンドやトルコリラ、南アランドの動きが注目されている。また、米国時間では、新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数などの発表が予定されており、良好な結果となる場合には、追加利上げ期待が意識される可能性もあることから、結果とマーケットの反応に注目したい。