前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場で大幅下落となった反動でドルは序盤から堅調な動きとなった。日経平均株価が序盤から上昇したことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、オーストラリアの経済指標が冴えない結果となったことから、豪ドルは主要通貨に対して一時下落する場面もあったが、下げ一服後は値を戻す動きとなった。午後に入っても、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、さらに米長期金利の上昇も加わり、ドルは堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が冴えない結果となったことから、米長期金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。ただ、その後に発表された米経済指標が良好な結果となったことや、米長期金利が持ち直したことなどから、終盤にかけてドルは値を戻す動きとなった。一方、ユーロは対ドルでの上昇や、米主要株価指数が堅調な動きとなったことから、対円でも堅調な動きとなり、2008年8月以来の高値を付けた。
米株式市場では、序盤に発表されたADP雇用統計が市場予想を下回り、労働市場の過熱感が後退したことや、米GDPも市場予想を下回ったことで経済の減速の兆しが示されたことから、FRBによる利上げ観測が後退し、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、このところ上昇が続いたことで利益確定の動きなども見られ、一時マイナス圏まで下落する場面もあったが、その後は再び堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、前日比172ドル高まで上昇した。しかし、その後は下落に転じて一時40ドル安まで下落する場面もあったが、終盤まで底固い動きが続き、37.57ドル高(+0.11%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、75.55ポイント高(+0.54%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の大幅下落が一服し、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、序盤に低下した米長期金利が持ち直したことも支援材料となった。ドル/円は、序盤の145.78から146.25まで上昇し、仲値公示近辺では実需や短期筋の買いが押し上げ要因となった。一方、オーストラリアのCPIが予想以上に低下したことや、住宅関連の指標が冴えない結果となったことから、豪ドルは主要通貨に対して下落、対円でも発表直前の94.51から94.17まで下落した。
(2)午後に入り、一時前日比330円高まで上昇していた日経平均株価が上げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、その後は米長期金利が上昇したこともあり、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された8月の米ADP雇用統計が市場予想の19.5万人を下回る17.7万人となったことや、第2四半期米GDPが市場予想の2.4%を下回る2.1%を下回ったことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.153%から4.084%まで低下するなど、米金利が軒並み低下したことから、ドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、序盤の146.37から145.56まで下落したものの、その後に発表された7月の米中古住宅販売仮契約が市場予想の-1.0%に反して0.9%と予想に反して伸びたことや、低下していた米長期金利が持ち直したことなどから、終盤にかけて146.20台まで値を戻す動きとなった。一方、8月のドイツの消費者物価指数が市場予想を上回ったことからユーロは堅調な動きとなり、さらに対ドルでの上昇も加わり、ユーロ/円は一時159.77まで上昇して2008年8月以来の高値を付けた。
本日のトピックス
昨晩のADP雇用統計が市場予想を下回ったものの、前月の結果が4.7万人上方修正されたことから、ドルは反発する場面もあった。ただ、米GDPが冴えない結果となったことから、米長期金利の低下とともにドルも下落した。ADP雇用統計の結果からは、週末の米雇用統計の予想は難しいく、本日発表される人員削減数などの結果が注目される。
先週までは、FRBの追加利上げ観測から米金利が上昇したことで、ドルも堅調な動きとなっていたが、ここにきて米経済の鈍化や労働市場の過熱感が薄れていることが示されたことで、追加利上げ観測の後退との見方が広がったことがドルの圧迫要因となっている。今回の雇用統計では、それを見極めるための指標とされており、13日の消費者物価指数と合わせて今後の米国の金融政策を左右すると見られている。
本日の米国市場では、チャレンジャー人員削減数、米PCEデフレーター、新規失業保険申請件数などの経済指標の発表が予定されており、結果に注目したい。人員削減数は、週末の米雇用統計を予想する上で注目されている指標であり、デフレーターは利上げ期待を見る上で注目されており、特にコア・デフレーターの結果に注目したい。また、新規失業保険申請件数は今回の雇用統計の集計期間とは異なる期間のデータだが、足元の労働市場を確認する上で注目しておきたい。
経済指標が冴えない結果となる場合には、前日同様に米金利の低下を伴いドルの下振れとなる可能性も考えられ、良好な結果となる場合には昨日の高値近辺の146.50台まで値を戻せるのか注目したい。