前日の海外市場での米当局者の発言を受けて、米国の金利先高観を背景に、日米の金利拡大観測からドル買いが先行した。さらに、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比280円超上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。ただ、上昇一服後は米長期金利の低下が続いていることもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。

米国市場では、ドルは序盤から底固い動きとなった。低下が続いていた米長期金利が上昇に転じたことや、序盤に大きく下落した米主要株価指数が軒並み下げ幅を縮小したことも加わり、ドル円・クロス円は終盤にかけて堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の142.92から143.49まで上昇した。

米株式市場では、米大手格付け会社が米中堅銀行の格付けの引き下げを公表したことを受けて、金融株などを中心に序盤から売りが先行した。ただ、その後はFRB高官が「おそらく来年には利下げを開始することになるだろう」と発言したことを好感して買い戻しが優勢となり、主要株価指数は軒並み終盤にかけて下げ幅を縮小した。ダウ平均株価は、序盤から下落となり、前日比465ドル安まで下落した。その後は買い戻しが優勢となり、終盤には一時126ドル安まで下げ幅を縮小する場面もあり、158.64ドル安（-0.45％）で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、110.08ポイント安（-0.79％）で終了した。

※出所：FX総合分析チャート10分足

（1）東京時間では、前日の海外時間にボウマンFRB理事が「インフレ率をFRBが目標とする2％に引き下げるためには追加利上げが必要になる可能性」と発言したことが引き続き材料視され、日米金利差の拡大観測からドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の142.40から143.38まで上昇した。また、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比285円高まで上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。

（2）午後に入り、やや上値の重い動きが見られたものの、ドル/円は143.43まで上昇してこの日の高値を更新した。ただ、午後に入り時間外取引で低下が続いていた米長期金利が一段の低下となったこともあり、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が高値から上げ幅を縮小したこともあり、クロス円も上値の重い動きとなった。ただ、上昇一服後は、10日に米消費者物価指数、11日に米生産者物価指数の発表を控えていることもあり、結果を見極めたいとの思惑から上値の重い動きとなった。

（3）米国市場では、時間外取引から低下が続いていた米長期金利が下げ止まり、上昇に転じたことからドルは序盤から底固い動きとなった。さらに、序盤に前日比465ドル安まで下落したダウ平均株価が、上昇に転じて終盤には一時126ドル安まで下げ幅を縮小したことも加わり、ドル円・クロス円は終盤にかけて堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の142.92から堅調な動きとなり、東京時間に付けたこの日の高値143.43を上抜けて143.49まで上昇した。

昨日の海外市場では、2人のFRB高官の発言を受けて動きが見られたが、タカ派的、ハト派的な発言だったことから、マーケットの反応はそれほど大きくはならなかった。

本日の海外市場では、主要な経済指標の発表がないことや、事前のFRB高官の発言予定がないことから、限定的な動きが予想されている。また、10日の米消費者物価指数、11日の米生産者物価指数の発表を控えていることもあり、積極的な売買が手控えられると予想されている。