前営業日トピックス
東京市場では、序盤に神田財務官が「為替の足元の動きは急速」との見方を示し「行き過ぎた動きには適切に対応したい」と発言したことを受けて、円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じたことから、ドル円・クロス円も値を戻す動きとなった。午後に入ると、日経平均株価が再び下落に転じたこともあり、上値の重い動きとなった。さらに、松野官房長官の牽制発言を受けて、円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
米国市場では、欧州時間に松野官房長官の発言を受けて下落した流れが一服し、さらに低下していた米長期金利が再び上昇に転じたことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の安値143.06から143.71まで上昇したものの、143円台後半では再び牽制発言なども意識されて上値の重い動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長が年内にさらに2回の利上げの可能性を示唆したことが引き続き材料視され、FRBの利上げ継続よる景気後退への警戒感から売りが優勢となった。ダウ平均株価は、序盤に前週末比117ドル安まで下落したものの、その後は値頃感の出た銘柄に買いが入ったことから底固い動きとなり、終盤には一時92ドル高まで上昇した。しかし、引けにかけて再び下落に転じ、12.72ドル安(-0.04%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、156.74ポイント安(-1.16%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、先週末の海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、神田財務官が「為替相場は安定的に推移するのが望ましい」とし、「行き過ぎた動きには適切に対応したい」と発言したことから円買い介入が意識され、円買いが優勢となった。ドル/円は、序盤の143.71から142.24まで下落した。
(2)しかし、一時前週末比388円安まで下落していた日経平均株価が上昇に転じて一時103円高まで上昇したことから、クロス円を中心に上昇となり、ドル/円も143.54まで値を戻した。その後、再び上値の重い動きとなり、さらに欧州時間に松野官房長官が「為替相場は安定的に推移することが重要」「行き過ぎた動きに対しては適切に対応」と発言したことを受けて円買いが優勢となり、ドル/円は142.94まで下落するなど、クロス円も一段の下落となった。ただ、143円台割れ近辺では底固い動きとなった。
(3)NY市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、松野官房長官の発言を受けて下落した流れが一服し、さらに低下していた米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.676%から3.734%まで上昇するなど米金利が軒並み上昇に転じたことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の安値143.06から143.71まで上昇した。また、ドル/円の上昇にクロス円も堅調な動きとなった。
(4)143円台後半は、この日当局者からの牽制発言があった水準であることから、この近辺では上値の重い動きとなった。一方、ロシアの民間軍事会社ワグネルの武装蜂起を受け、ロシア・ルーブルは対ドルで一時2022年3月以来の安値に下落。また、金融の安定性強化のために規制を簡素化したことを受けて、トルコ・リラは対ドル、対円で過去最安値を更新した。
本日のトピックス
昨日は、神田財務官と松野官房長官の牽制発言があり、発言を受けて円買いとなる場面もあった。しかし、日本と欧米の金利差拡大観測も根強いため、現状では上値がやや抑えられているものの、次第に牽制発言では抑えられなくなるだろう。
欧米の金融政策発表は7月の後半であることから、7月中旬頃から両者の再び利上げ期待が高まる可能性もあり、それまでは牽制発言にも反応する可能性もあるが、牽制発言も徐々に反応が薄くなる可能性もあり、それと同時にドル円・クロス円は上振れとなる可能性も考えられる。
本日の米国時間では、米耐久財受注、新築住宅販売件数、消費者信頼感指数などの発表が予定されており、良好な結果となる場合には、利上げ期待が高まる可能性もあり、指標結果とマーケットの反応が注目されている。
6/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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-0.9% | 1.1% |
前回は市場予想と一致し、2ヵ月連続のプラスとなった。GDPの算出に使用されるコア資本財の出荷が上昇したことが影響した。今回は、再びマイナスが予想されており、製造業の鈍化傾向は示されると見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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104.0 | 102.3 |
前回は、市場予想を上回ったものの、2ヵ月連続の低下で昨年11月以来の低水準となった。債務上限問題の合意前に労働市場やビジネス環境の見通しが悪化したことが影響した。一方、現状のビジネス環境は改善した。今回は改善が予想されており、前回低下した先行きの見通しに改善が見られるのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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67.5万件 | 68.3万件 |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の増加で昨年3月以来の高水準となった。中古住宅の在庫減少が影響して、新築住宅の需要が伸びていることが影響している。今回は、前月から減少が予想されているが、先週発表された6月のNAHB住宅市場指数が予想以上の上昇となり、特に新築物件の買い意欲が高まっていることが示されたこともあり、増加を予想する向きもある。 |