前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が上昇したことも押し上げ要因となった。しかし、午後に入り日経平均株価が急落したことから、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。欧州市場では、米長期金利が上昇したことから、ドルは堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤にFRB高官のタカ派発言を受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、一時138.91まで上昇して年初来高値を更新した。ただ、米経済指標が強弱まちまちの結果となったことや、上昇していた米金利が低下したことから、ドルはやや上値の重い動きとなった。
米株式市場では、米債務上限問題に関する協議が進展していないことから、債務不履行に陥る可能性が警戒されて主要株価指数は売りが優勢となった。さらに、FRB高官のタカ派発言が続いていることから、金融引き締め長期化による米景気悪化への懸念も圧迫要因となった。ダウ平均は下落して始まったが、一時プラス圏まで値を戻す場面もあった。しかし、その後は下げ幅を拡大し、一時前日比273ドル安まで下落した。引きにかけて下げ幅を縮小したものの、231.07ドル安(-0.69%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、160.53ポイント安(-1.26%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米債務上限問題の協議継続で投資家心理が改善し、日経平均株価が上昇して始まり、一時前日比265円高まで上昇したことも支援材料となり、ドル円・クロス円は上げ幅を拡大した。ドル/円は序盤の138.55から138.88まで上昇し、昨年11/30以来の高値を更新した。
(2)午後に入り、日経平均株価が急速に下落となり、前日比258円安まで下落し、序盤の高値から520円超下落したことから、リスク回避の動きから円買いが優勢となった。日経平均株価は、前日まで8営業日連続の上昇だったことから、やや過熱感が意識されて利益確定の動きが加速したと見られている。
(3)欧州時間に入り、米長期金利が上昇したことから、ドルは堅調な動きとなった。さらに、米国市場では序盤にミネアポリス連銀総裁が「インフレ率が高止まりした場合には追加利上げが必要となる」との見方を示したことを受けて、米金利が一段の上昇となり、ドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、138.39から138.91まで上昇して年初来高値を更新した。
(4)上昇一服後は上値の重い動きとなったが、発表された5月のリッチモンド連銀製造業景気指数が市場予想を下回ったものの、4月の米新築住宅販売件数が市場予想を上回る結果となるなど、強弱まちまちの結果となったことから限定的な動きとなった。その後、値を戻す動きが見られたものの、一時3.757%まで上昇していた米10年債利回りが3.686%まで低下するなど、米金利が軒並み低下に転じたことから、ドルはやや上値の重い動きとなった。一方、ドイツ連銀総裁が「ECBはあと数回利上げする必要」との見方を示したこともあり、ユーロは底固い動きとなった。
本日のトピックス
マーケットでは、引き続き米債務上限問題に関する協議の行方が注目されている。昨日の協議では合意に至ってないことから、債務不履行に対する警戒感から米主要株価指数が下落するなど影響が出ている。ただ、最終的には合意に至るとの楽観的な見方も多く、下値は限定的となっている。さらに、引き続きFRB当局者のタカ派発言が続いていることもあり、ドルは年初来高値を更新するなど、底固い動きが続いている。
本日の米国市場では、主要な米国の経済指標の発表がないものの、引き続きFRB高官の発言が予定されており、タカ派的な発言となる場合には、米金利の上昇とともにドルの上昇も考えられることから発言の内容に注目したい。