前営業日トピックス
東京市場では、4月の米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル・円クロス円は序盤から小動きの展開となった。午後に入っても小動きの展開が続いたものの、時間外取引で米長期金利が上昇したことに反応してドル買い・円売りとなり、ドル円・クロス円は小幅ながら上昇する場面もあった。
米国市場では、4月の米消費者物価指数が前年比で2021年4月以来の低い伸びとなったことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、発表直前の135.41から134.11まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、ドル/円の下落に加えて上昇して始まったダウ平均が下落に転じたこともあり、対円では軟調な動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された米消費者物価指数で前年比が市場予想を下回り、FRBの利上げサイクルが終了するとの期待感が高まったことから、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、米債務上限問題を巡る先行き不透明感が圧迫要因となり、上げ幅を縮小する動きとなったものの、終盤には再び堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤に前日比210ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて一時322ドル安まで下落する場面もあった。終盤に再びプラス圏を回すく刷る場面もあったが、30.48ドル安(-0.09%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、126.89ポイント高(+1.04%)で終了した
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、米国時間に米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが強まり、序盤から小動きの展開となった。日経平均株価が下落して始まり、前日比130円超下落したことからドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、五・十日だったが積極的な売買が手控えられたことも影響した。
(2)午後に入っても狭いレンジ内の動きが続きいたが、時間外取引で米金利が小幅ながら上昇したことに反応して、ドル/円は午前中に付けた安値の135.05から135.47まで上昇したが、上昇の勢いは続かなかった。
(3)米国市場では、序盤に発表された4月の米消費者物価指数が前年比で4.9%の伸びとなり、2年ぶりに5%を下回り、2021年4月以来の低い伸びとなったことを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.514%から3.427%まで低下するなど、米金利が軒並み低下したことからドルも主要通貨に対して下落した。ドル/円は、米消費者物価指数発表直前の135.41から134.11まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、ドル/円の下落に加えて上昇して始まったダウ平均が下落に転じ、一時320ドル超下落したことから、対円では軟調な動きとなった。ただ、終盤には米主要株価指数が下げ幅を縮小したことから、クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場で発表された4月の米消費者物価指数は、前年比で市場予想を下回り、2021年4月以来の低水準となったことを受けて、FRBの利上げサイクル終了との思惑が広がり、ドル売りが優勢となった。市場予想の5.0%に対して4.9%と小幅低下だったが、「5%台割れ」というインパクト大きさにやや過敏に反応した可能性も考えられる。また、発表前に上振れを予想する向きが増えたことで失望売りが加速したとの見方も指摘された。さらに、米金融システム不安が燻る中で、利上げ継続となればさらに地銀の経営不安がなどの噴出する可能性も考えられため、FRBは利上げを継続できないとの見方も圧迫要因になったと考えられる。
一方、前月比では、3月の結果から伸び幅が拡大したこともあり、利上げサイクルの終了との判断は時期尚早との見方もあり、6月のFOMCの結果、ドットチャートに注目が集まるだろう。まさに、それまでは「データ次第」となるだろう。
本日の海外市場では、英国の金融政策発表が予定されており、英中銀は主要国で最初に利上げに踏み切ったものの、インフレ率がなかなか低下しないというジレンマが続いており、今回も利上げが予想されている。また、米国では生産者物価指数の発表が予定されており、前日の消費者物価指数と同様に敏感に反応する可能性があることから、結果には注目したい。
5/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:00 | 英国 |
英中銀MPC 政策金利
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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4.50% | 4.25% |
前回は、市場の予想通り0.25%の利上げが決定され、11会合連続の利上げとなった。4/19に発表された3月の英消費者物価指数は、10.1%と2月の10.4%から低下したものの、昨年10月に付けたピークの11.1%から緩やかな鈍化に留まっている。そのため、今回も利上げが継続されると予想されている。また、今後の動向を見る上で利上げに反対するメンバーが増えるのかどうかにも注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
4月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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2.5% | 2.7% |
前回は市場予想を下回り、2021年1月以来の低水準となった。ガソリン価格が下落したことがインフレ圧力の緩和につながったと見られている。今回は、さらに低下が予想されており、予想通りならコロナ前の3年間の平均である2.3%に迫る低下となる。 |