前営業日トピックス
東京市場では、ドル円・クロス円は序盤から下落したものの、その後は日経平均株価が上昇して始まったことや、五・十日で実需のドル買い・円売りが観測されたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。午後には、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル/円は軟調な動きとなり、クロス円も上値の重い動きとなった。欧州時間には、植田日銀総裁が就任会見でマイナス金利政策を継続するのが適当との見方を示したことで円売りが優勢となった。
米国市場では、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。先週末の米雇用統計の結果を受けて5月のFOMCでの利上げ期待が高まっていることが改めて材料視され、米長期金利の上昇とともにドルは主要通貨に対して一段の上昇となった。ドル/円は一時133.87まで上昇し、3/15以来の高値を更新した。
米株式市場では、先週末の米雇用統計の結果を受けて、5月のFOMCでの追加利上げ期待が高まったことを受けて、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ただ、5月以降には利上げが休止されるとの思惑や、米景気の過度な懸念が後退したとの見方から買い戻しが優勢となり、ダウ平均は終盤にプラス圏を回復した。ただ、金利動向に敏感なナスダックは、米金利上昇が圧迫要因となり、小幅安となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時6日の終値と比べて141ドル安まで下落した。その後は買い戻しが優勢となり、終盤にプラス圏を回復して101.23ドル高(+0.30%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、3.60ポイント安(-0.03%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)週明けの東京市場では、中国軍が先週末から台湾周辺での軍事演習を行っていることを嫌気した円買いが先行し、ドル円・クロス円は序盤から下落した。しかし、下げ一服後は、日経平均株価が210円超上昇したことや、米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、五・十日で仲値公示にかけて実需のドル買いが優勢となったこともドルの押し上げ要因となり、ドル/円は序盤の131.82から132.74まで上昇した。
(2)午後に入っても堅調な動きが続き、ドル/円は132.78まで上昇したが、上昇一服後は米長期金利が低下したこともあり、ドル/円は軟調な動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、ドル/円の下落を受けて、対円ではやや上値の重い動きとなった。
(3)植田日銀総裁は、就任会見で「現行のYCC(イールドカーブコントロール)継続が適当」、「マイナス金利政策を継続するのが適当」との見方を示したことで早期の政策変更期待が後退し、円売りが優勢となった。ドル/円は、欧州時間序盤の安値131.99から132.87まで上昇した。
(4)米国市場では、植田日銀総裁の就任会見を受けて円売りとなった欧州市場流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、先週末の米雇用統計の結果を受けて5月のFOMCでの利上げ期待が高まっていることも改めて材料視され、米長期金利の市場となる米10年債利回りが3.347%から3.433%まで上昇したことから、ドルは主要通貨に対して一段の上昇となった。ドル/円は、序盤の132.85から133.87まで上昇し、3/15以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では堅調な動きとなった。ただ、上昇一服後は終盤にかけて上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
前日の植田日銀総裁の就任会見での発言を受けて円売りとなった流れが一服しており、本日の東京市場では序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなった。しかし、FOMCで0.25%の利上げ期待が高まっていることに加えて、日銀の政策修正期待が後退していることから、日米の金利差拡大観測を背景に、ドル円・クロス円は当面底固い動きが続くと予想されている。ただ、5月以降のFRBの利上げは停止するとの見方も根強いことから、FOMCまでの米経済指標の結果次第では、次回の利上げ期待が低下する可能性もあるため、指標結果が注目されるだろう。本日は、米国の主要な経済指標の発表がないものの、12日には米消費者物価指数の発表が予定されていることから、徐々に様子見ムードが強まる可能性も考えられる。