前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から大きく下落したこと受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、日銀が金融政策決定会合で現行政策の維持を決めたことで、政策変更を期待していた向きの円売り・ドル買いが優勢となった。欧州時間では、米雇用統計を控えて様子見ムードも強まり、限定的な動きが続いたが、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで底固い動きとなり、対円でも堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上回ったものの、失業率、平均時給が市場予想を下回ったことを受けて、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米シリコンバレー銀行の経営破綻に伴い、金融システムに対する警戒感が高まったことでリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
米株式市場では、2月の米雇用統計で失業率が前月より悪化し、FRBによる利上げ加速への警戒感が後退したことから一時プラス圏で推移した。しかし、米シリコンバレー銀行の経営破綻を受けて金融不安への警戒感が高まり、主要株価指数は軒並み大幅下落となった。ダウ平均株価は、序盤に前日比167ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて一時471ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小したものの、345.22ドル安(-1.07%)で終了し、終値ベースでは昨年10/26以来の安値を更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、199.46ポイント安(-1.76%)で終し、終値ベースで1/19以来の安値を付けた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、前日比376円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えて、政策修正への警戒感も根強く、ドル売り・円買いが入ったとの声も聞かれた。五・十日に当たり、仲値公示にかけては実需のドル買いも観測され、ドルは値を戻す動きも見られた。ドル/円は、序盤の136.43から135.81まで下落後に136.08まで値を戻した。
(2)日銀の金融政策決定会合の結果発表では、金融政策の現状維持を全員一致で決定したが、一部で政策修正への思惑もあったことからドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は一時136.97まで上昇し、ドル/円の上昇にクロス円も連れ高となった。欧州時間でもドル円・クロス円は堅調な動きが続いたものの、ドルは米雇用統計の発表を控えて上値は限定的だった。
(3)米国市場では、序盤に発表された2月の米雇用統計で、景気動向を敏感に反映する非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上回ったものの、失業率、平均時給が市場予想を下回ったことを受けて、3月のFOMCでの大幅利上げ観測が後退した。政策金利の動向に敏感な2年債利回りが大幅低下となるなど、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。さらに、金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下の米シリコンバレー銀行が経営破綻したことで金融不安への警戒感が高まり、リスク回避の動きからドル円・クロス円は一段の下落となった。ドル/円は、雇用統計発表前の136.81から134.12まで下落し、クロス円も軒並み大幅下落となった。
(4)下げ一服後、ドル円・クロス円は値を戻す動きが見られたものの、終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
週明けの東京時間では、先週末の米国時間で米シリコンバレー銀行の経営破綻を受けてリスク回避の動きが優勢となった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は、先週末の米国市場の終値の134.93からギャップダウンして始まり、一時133.56まで下落して2/15以来の安値を付けた。しかし、米財務省とFRB、連邦預金保険公社が預金の保護を含む破綻処理策と金融システムの安定維持を表明する声明を公表すると、ドル/円は135.04まで値を戻す動きとなった。
最近ではシルバーゲート問題や英年金基金の破綻懸念などもあり、リスク回避の動きが強まっている。今後の推移を見守りたいが、米国の金融政策とは分けて考えた方が良いだろう。先週末の米雇用統計では、失業率の悪化や賃金の伸びが予想を下回ったことから、0.50%の利上げ観測がやや後退しているが、0.25%の利上げは依然として確実視されている。
マーケットでは、14日の米消費者物価指数の結果発表に注目が移っており、結果次第で大幅利上げ期待がさらに後退するのか、 または大幅利上げ期待が高まるのか注目されている。本日は、欧米の経済指標の発表がないことから、様子見ムードも強まり、限定的な動きが続く可能性も考えられる。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、高値から下落となり、下値のポイントである一目均衡表の基準線(133.854)と雲上限ライン(133.555)を一時下抜けて、133.527まで下落したものの、安値からは持ち直している。ここから底固い動きとなるのか、完全に下抜けて一段の下落となるのか注目されている。
一目均衡表の基準線は、17日までは133.854で横ばいだが、18日には134.569、19日には134.713、20日には135.225まで上昇することから、このタイミングで下抜けとなるのか注目したい。また、一目均衡表の雲上限は、16日まで133.555で横ばいだが、17日には132.695まで低下する。
一方、目先の動きを見る上で注目されるオシレーターのMACDでは、両線がクロスして下向きとなっており、目先の軟調な動きを示唆する形状となっている。目先の動きを見る上で、ここから乖離幅の拡大とともに両線の低下が続くのかにも注目したい。