前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が上昇したこともあり、序盤のドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。この日、参議院の所信聴取で日銀副総裁候補の発言があったが、反応は限定的だった。午後に入り、日経平均株価が一時マイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなったが、下値は限定的だった。欧州時間では、フランスの消費者物価指数の結果を受けて欧州債利回りが上昇したことからユーロ買いが優勢となり、また米長期金利も上昇したことから、ドルも堅調な動きとなった。
米国市場では、米長期金利の上昇を受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。しかし、発表された米経済指標が軒並み冴えない結果となり、米長期金利が低下した動きに合わせてドル売り・円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤に一時136.92まで上昇して昨年12/20以来の高値を更新したものの、その後は下落に転じて135.74まで下落した。
米株式市場では、序盤に発表された米経済指標が軒並み悪化したこと受けて、主要株価指数は序盤から上値の重い動きとなった。その後、米長期金利が大きく低下したことから、金利動向に敏感なナスダックは堅調な動きが見られたものの、次回のFOMCで利上げ幅が前回より拡大するとの警戒感も根強く、終盤にかけては再び軟調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きが続き、終盤に前日比252ドル安まで下落した。引けにかけて安値圏を維持したまま、232.39ドル安(-0.71%)で終了した。一方、ナスダックは下落して始まったものの、その後81ポイント高まで上昇したものの、終盤には再びマイナス圏まで落ち込み、11.44ポイント安(-0.10%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1) 東京市場では、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。特に、英国とEUが北アイルランドに関する通商ルール見直しで合意との報道が引き続き材料視され、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ポンド/円は前日の高値164.32を上抜けて一段の上昇となり、一時164.52まで上昇して昨年12/20以来の高値を更新した。ただ、上昇一服後は、序盤に前日比161円高まで上昇した日経平均株価が上げ幅を縮小したことや、時間外取引で米長期金利が低下したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)午後に入ると、日経平均株価がさらに上げ幅を縮小して、一時23円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。欧州時間に入り、時間外取引で米長期金利が上昇したことからドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、フランスの消費者物価指数が上昇したことから欧州債利回りも上昇となり、ユーロは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時3.980%まで上昇したことを受けて、ドル買いが優勢となり、ドル/円は136.92まで上昇して昨年12/20以来の高値を更新した。しかし、その後に発表された2月のシカゴ購買部協会景気指数が50を6ヵ月連続で下回ったことや、2月の米消費者信頼感指数が昨年11月以来の低水準、さらにリッチモンド連銀製造業指数が2ヵ月連続のマイナスで2020年5月以来の低水準と、軒並み冴えない結果となったことを受けて、米10年債利回りが3.896%まで低下した動きに合わせてドル売り・円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、135.74まで下落した。
(4)下げ一服後は、米長期金利が低下幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は引けにかけて底固い動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、米経済指標が軒並み悪化したことを受けて米長期金利が低下となり、これを受けてドル円・クロス円は軟調な動きとなった。引き続き、欧米の金融政策に対する思惑に左右される動きが続いている。
次回の米FOMCでは、前回の0.25%の利上げから利上げ幅が拡大されて0.50%の利上げが決定されるとの見方が広がっており、一方のECBでも当局者が0.50%の利上げの可能性を示唆している。そのため、マーケットではその正当性が高いのかどうかを経済指標の結果などを基に見極めようとしており、指標結果などに敏感に反応する展開が続いていると思われる。
本日の欧州市場では、ユーロ圏、ドイツなどの2月の製造業PMI、ドイツの2月消費者物価指数の発表が予定されており、前者は確報であるものの、修正があるのか注目したい。一方、前日フランスの消費者物価指数の結果を受けて金利の上昇とともにユーロ買いが優勢となったこともあり、2月のドイツ消費者物価指数の結果にも注目したい。
また、米国市場では、2月の製造業PMI、2月のISM製造業景況指数の発表が予定されており、前日の米経済指標の結果を受けて大幅な動きとなったことから、本日も指標の結果とマーケットの反応には注目したい。
3/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
2月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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48.0 | 47.4 |
前回は市場予想を下回り、5ヵ月連続の低下で2020年5月以来の低水準となった。新規受注、生産、雇用が前月から低下したことが影響し、金利上昇を背景に米景気の先行き不透明感が高まっていることが製造業を圧迫していることが示された。今回は、前月からの改善が予想されており、特に3ヵ月連続の低下が続く生産と新規受注の改善が見られるのか注目したい。 |