前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル売り・円買いが優勢となった。午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大したことから、クロス円は底固い動きとなったものの、米長期金利が下げ幅を拡大したことから、ドルは上値の重い動きが続きた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が軒並み良好な結果となったことから、FRBの積極的な利上げを正当化するとの見方が広がり、米金利の上昇と共にドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、一時139.07まで上昇して7/15以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、対円ではドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。ただ、上昇一服後は、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、序盤から買いが先行したものの、米経済指標の結果を受けて、FRBによる積極的な利上げ観測が強まり、利上げに伴う米景気後退への懸念が一段と広がり、主要株価指数は下落に転じて3営業日続落となった。ダウ平均株価は、序盤に前日比106ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて下げ幅を拡大し、一時451ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小したものの、308.12ドル安(-0.96%)で終了し、終値ベースで約1ヵ月ぶりの安値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、134.53ポイント安(-1.12%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったものの、月末の五・十日で仲値公示にかけて実需のドル売り圧力が強まり、ドルは上値の重い動きとなった。
(2)仲値通過後、ドルは値を戻したものの、時間外取引で米長期金利が低下したことから、上値は限定的だった。午後に入り、米長期金利が下げ幅を拡大したことから、ドルは上値の重い動きとなった。一方、日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時前日比354円高まで上昇したことから、クロス円は底固い動きとなった。欧州時間では、ドルが主要通貨に対して下落したことや、欧州主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことから、欧州通貨や資源国通貨は堅調な動きとなった。一方、米長期金利の低下したことから、ドルは軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された8月の米消費者信頼感指数、7月の米JOLT求人件数がともに市場予想を上回る結果となり、FRBの積極的な利上げを正当化するとの見方が広がり、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.065%から3.149%まで上昇するなど、米長短金利の上昇と共にドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、経済指標発表直前の138.36から139.07まで上昇して7/15以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、対円ではドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
(4)上昇一服後は、米主要株価指数が下げ幅を拡大する動きとなったことから、ドル円・クロス円は終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
前日の海外市場では、米経済指標が市場予想を上回る結果となったことで、FRBの積極的な利上げが正当化されるとの見方が広がり、米金利上昇と共にドルは主要通貨に対して上昇した。マーケットでは、9月のFOMCで0.75%の利上げが決定されるとの見方が強まっている。ただ、一方で急速な利上げに伴う景気鈍化懸念を背景に、米主要株価指数は下落しており、ダウ平均株価は約1ヵ月ぶりの安値を付けている。米雇用統計までは、ドルは底固い動きが続く可能性も考えられる。
本日の米国市場では、3ヵ月ぶりにADP雇用統計の発表が予定されているが、新たな集計方法に変更したこともあり、週末の雇用統計の結果と比較してどうなのかを見極めたいとの思惑もあり、参考程度との見方もある。
8/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:15 | 米国 |
8月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
|
? | 30.0万人 |
ADP(Automatic Data Processing)社は、集計方法の変更に取り組むため、7月から雇用者数の月次統計の発表を停止していた。今回は新手法の下、3ヵ月ぶりの統計発表となる。 | ||||
22:45 | 米国 |
8月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業部門の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。また、米ISM製造業景況指数の1営業日前に発表されることから、先行指標とされている。
|
52.5 | 52.1 |
前回は市場予想を下回り、2020年8月以来の低水準となった。年初の65.2から低下傾向が続いており、製造業の鈍化が続いていることが示された。今回は、前月から小幅改善が予想されているが、景気の判断基準となる50は引き続き上回ると見られている。 |