前営業日トピックス
東京市場では、前週末にパウエルFRB議長がタカ派姿勢を示したことが引き続き材料視され、序盤からドルは堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は一時139.00まで上昇して7/15以来の高値を更新した。一方、日経平均株価は序盤から850円超の下落となったものの、ドル/円の上昇に連れてクロス円も堅調な動きとなった。上昇一服後は、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも軟調な動きとなった。
米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がない中、FRBによる急速な金融引き締め観測を背景に、米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。対円では、一時138.88まで上昇したものの、東京時間で付けた139.00には届かなかった。終盤には、一時プラス圏まで回復したダウ平均が再び下落に転じたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米株式市場では、FRBによる急速な金融引き締めが米景気後退を招くとの懸念を背景に、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米金利が上昇したことも圧迫要因となった。下げ一服後は、値頃感の買い戻しからダウ平均がプラス圏まで回復するなど、主要株価指数は下げ幅を縮小する場面もあった。しかし、終盤には再び軟調な動きとなり、主要株価指数は続落となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、前週末比310ドル安まで下落した。その後は買いが優勢となり、一時41ドル高まで上昇したものの、終盤には再び下落に転じて184.41ドル安(-0.57%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、124.04ポイント安(-1.02%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末のジャクソンホール・シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演で、高インフレが長引けば長引くほど定着する可能性が高まるとし、景気抑制の政策は一定期間必要との見解を示したことで、金融引き締めの長期化観測が強まり、ドルが主要通貨に対して上昇した前週末の海外市場の流れを引き継ぎ、東京市場でも序盤からドルが堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は一時138.66まで上昇して7/21以来の高値を付けた。また、ドル/円の上昇に連れて、クロス円も堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、一時850円超下落した日経平均株価が710円安まで下げ幅を縮小したことや、米長期金利が一段の上昇となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きが続き、ドル/円は一時139.00まで上昇し、7/15以来の139円台を回復した。ただ、上昇一服後は上昇していた米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、米国の主要な経済指標の発表がない中、FRBによる急速な金融引き締め観測を背景に、長期金利の指標となる米10年債利回りが上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。対円では、一時138.88まで上昇したものの、東京時間で付けた139.00には届かなかった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対円で堅調な動きが続き、特にユーロ/円は7/28以来、豪ドル/円は6/9以来の高値を更新した。終盤には、一時プラス圏まで回復したダウ平均株価が再び下落に転じたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
ジャクソンホール・経済シンポジウムが終了したことで、マーケットの注目は週末の米雇用統計の発表に移っている。本日から米国の雇用に関連する経済指標の発表が続くことから、結果が注目される。その中で、9月のFOMCでの大幅利上げ期待を背景に、米長期金利の上昇が続く場合には、ドルは主要通貨に対して堅調な動きが続き、1998年9月以来の高水準となった7/14の高値139.40を目指す展開となるのか注目される。
米国時間では、7月の米JOLT求人件数、8月の米消費者信頼感指数の発表が予定されており、前者は減少が予想されているものの、後者は改善が予想されている。ただ、雇用に関する指数が改善しているのかどうかが注目されている。
8/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
8月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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97.7 | 95.7 |
前回は市場予想を下回り、3ヵ月連続の低下で2021年2月以来の低水準となった。現況指数、先行き指数ともに前月から低下し、特に期待指数は2013年3月以来の低水準となり、高インフレが続く中、消費者が経済の先行き見通しに懸念を抱いていることが示された。今回は、前月から改善が予想されているが、期待指数や前回過去1年間で最低となった雇用が十分との回答に変化が見られるのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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1047.5万件 | 1069.8万件 |
前回は、7ヵ月ぶりに市場予想を下回り、3ヵ月連続の減少で、2021年9月以来の低水準となった。景気鈍化懸念を背景に、労働者に対する需要が弱まっていることが示され、特に小売りや卸売り、建設業関連の求人の減少が目立った。今回は、さらに求人の減少が続くと予想されており、予想通りの結果なら2021年6月以来の低水準となる。 |