前営業日トピックス
週明けの東京市場では、時間外取引で米長期金利の小幅ながら低下したことを受けて、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、実需のドル売り・円買いが観測されたことから、ドル/円は133円台を割り込む動きも見られた。下げ一服後は、値頃感の買い戻しの動きも見られ、ドルは底固い動きとなった。その後、欧州主要株価指数や米長期金利の上昇を受けて、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標がいずれも予想以上の低下となったことから、米景気減速懸念が強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、インフレがピークアウトしたとの見方が広がっており、米長期金利の低下とともにドル/円は132.55まで下落した。ただ、下げ一服後は値頃感の買い戻しなどもあり、133.35まで持ち直した。一方、欧州通貨は対ドルで軟調な動きが続いたことから、対円でも上値の重い動きが続いた。
米株式市場は、序盤に発表されたNY連銀製造業景気指数が2020年5月以来の大幅低下となったことを嫌気して、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ただ、先週の物価関連の経済指標の結果を受けて、インフレがピークアウトしたとの見方が広がっており、米長期金利が低下したことから主要株価指数は買いが優勢となり、プラス圏を回復して上げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、前週末比178ドル安まで下落した。その後は上昇に転じて一時193ドル打まで上昇、終盤に上げ幅を縮小したものの、151.39ドル高(+0.45%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、80.86ポイント高(+0.62%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、夏季休暇で国内勢の市場参加者が少ないこともあり、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル売りが観測されたことも圧迫要因となった。ドル/円は、一時133円台を割り込んで132.91まで下落した。
(2)ただ、下げ一服後は、上昇して始まった日経平均株価が300円超上昇したことや、米長期金利が上昇したことから、ドル/円は底固い動きとなった。一方、豪ドルは中国の経済指標が市場予想を下回ったこともあり、ドルや円に対して上値の重い動きとなった。また、欧州通貨も対ドルで軟調な動きとなったことから、対円でも上値の重い動きとなった。欧州時間では、序盤に欧州主要株価指数が上昇して始まったことや、米長期金利が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)中国の経済指標の悪化を背景にリスク回避の動きが続く中、米国市場序盤に発表されたNY連銀製造業景気指数が予想以上の大幅低下となったことから、米景気減速懸念が強まり、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、先週発表された米物価関連の経済指標結果を受けてインフレがピークアウトしたとの見方が広がっており、FRBの利上げペースの緩和観測も加わり、米長期金利の低下とともにドル/円は序盤の133.18から132.55まで下落した。
(4)下げ一服後は値頃感の買い戻しなどもあり、ドル/円は133.35まで持ち直した。一方、欧州通貨は対ドルで軟調な動きが続いたことから、対円でも上値の重い動きが続いた。また、資源国通貨は対ドルでの下落に加え、資源価格の下落が影響して軟調な動きが続いた。
本日のトピックス
昨日は、米中の経済指標が悪化したことで、世界的な景気減速懸念が高まり、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米国のインフレがピークアウトしたとの見方が広がっており、FRBの利上げペースの緩和観測もドルの圧迫要因となった。ただ、米国のインフレ率は依然として目標を大幅に上回っていることから、年内の利上げは継続されるとの見方も根強く、ドルは底固い動きとなった。引き続き、ドルは底固い動きが続くものの、上値は限定的と見られている。
本日の米国市場では、7月の住宅着工件数、7月の鉱工業生産の発表が予定されており、FRBの利上げに伴う景気減速懸念が燻る中、前日に続き冴えない結果となる場合には、景気の先行き不透明感が高まる可能性も考えられる。
8/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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153.0万件 | 155.9万件 |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続の低下で2011年9月以来の低水準となった。急速な利上げに伴う住宅ローン金利の上昇や、住宅価格の上昇を背景に、住宅需要の鈍化傾向が示された。一方、着工件数の先行指数となる許可件数も昨年9月以来の低水準となったことから、今回も減少が予想されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.3% | -0.2% |
前回は市場予想を下回り、2021年12月以来のマイナスとなった。景気見通しの軟化と、在庫の積み上がりが影響し、製造業の鈍化傾向が示された。今回は、プラス改善が予想されているが、当面は低調な結果が続くとの見方もある。 |