前営業日トピックス
東京市場では、ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡る米中対立への警戒感から、投資家のリスク回避の動きが強まり、日経平均株価が序盤から下落して一時460円超下落したことから、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は、一時130.39まで下落して6/3以来の安値を付けた。一方、豪中銀が0.50%の利上げを決定したものの、声明がハト派と受け止められたことから、豪ドルは主要通貨に対して下落した。欧州市場では、主要株価指数が下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、米中関係の緊張の高まりを背景に、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。しかし、ペロシ米下院議長の台湾到着が伝わるとリスク回避の動きが後退してドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、複数の米当局者のタカ派発言や、米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は序盤の130.64から133.22まで急反発となった。
米株式市場は、米中関係の緊張の高まりを背景に、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ペロシ米下院議長が台湾に到着したことが伝わると緊張が緩和し、主要株価指数は上昇に転じた。しかし、大幅な利上げ継続を支持する複数の米当局者の発言や、米長期金利の上昇を受けて、終盤にかけて再び下落に転じ、主要株価指数は続落となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、前日比300ドル超下落した。その後、25ドル安まで下げ幅を縮小したものの、終盤にかけて再び下げ幅を拡大する動きとなり、一時411ドル安まで下落し、402.23ドル安(-1.23%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、20.22ポイント安(-0.16%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ペロシ米下院議長の台湾訪問に対して中国外務省の報道官が台湾を訪問すれば中国軍は座視しないと警告したことが引き続き材料視され、リスク回避の動きから日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比462円安まで下落したことから、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は130.39まで下落して6/3以来の安値を付けた。
(2)下げ一服後は値を戻す動きが見られたものの、午後に入り再び軟調な動きとなった。一方、豪中銀が政策金利を予想通り0.50%引き上げ1.85%としたものの、金融の正常化に向けてさらなる対応を取るとしたものの、インフレは年内にピークに達する見通しとしたことなどがハト派的と受け止められ、豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。豪ドル/円は、発表前の91.80から90.79まで下落して5/27以来の安値となった。欧州市場では、主要株価指数が下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡る米中関係の緊張の高まりを背景に、欧州市場の流れを引き継ぎドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、ペロシ米下院議長の台湾到着が伝わると、リスク回避の動きが後退してドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、サンフランシスコ連銀総裁が「FRBのインフレ対策の終了は程遠い」との見方を示したことや、シカゴ連銀総裁が「9月の会合で0.50%の利上げは合理的だが、0.75%の利上げでも問題ない」としたことで再び大幅利上げへの期待が高まり、米長期金利の指標となる米10年債利回りが2.521%から2.768%まで上昇したことを受けて、ドル/円は序盤の130.64から133.22まで急反発となった。
本日のトピックス
ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡る米中関係の緊張の高まりを背景に、前日のアジア時間からドル円・クロス円は大幅下落となった。しかし、米国時間にペロシ米下院議長の台湾到着が伝わると緊張緩和となり、一転してドル円・クロス円は大幅上昇となった。ただ、ペロシ米下院議長が台湾に滞在中であり、緊張が完全に払拭したとは考えにくい。そのため、関連する報道や中国の動きには注意が必要だろう。
米国時間では、ISM非製造業景況指数の発表が予定されており、景気鈍化懸念を背景に供給懸念や雇用が影響を受けており、引き続き低下が予想されている。ただ、ここにきて再び大幅利上げを支持する米当局者の発言もあり、本日のから週末の雇用統計の結果を受けて利上げ期待が高まるのかどうか見極めたい。
8/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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53.7 | 55.3 |
前回は市場予想を上回ったものの、3ヵ月連続の低下となり、2020年5月以来の低水準となった。景気鈍化懸念を背景に、企業の人材確保が困難な面がある中、供給に影響が出ており、新規受注や雇用が低下したことが影響した。今回は、さらに低下が予想されており、4ヵ月連続の低下で景気鈍化傾向が示されると見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、前日に一時一目均衡表の雲下限を下抜けて三役逆転の弱気シグナルとなる場面もあったが、終値ベースで反発して回避している。現状では、再び雲の上側に抜ける展開となっており、ここから堅調な動きとなるのか、再び雲下限を試す展開となるのか注目される。
目先の上値は、一目均衡表の基準線の134.897が重要な上値のポイントとなり、ここを上抜ければ一段の上昇も考えられる。一方、目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小していることから、ここから乖離幅の縮小が続き、先行するラインが上向きに転換、さらに両線がクロスすれば、目先の堅調な動きを示唆する形状となることから、両線の動きに注目したい。
下値のポイントは一目均衡表の雲下限の131.673であり、基準線を上抜けられず、雲下限を下抜ければ一段の下落となる可能性も考えられる。