前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、前日の海外市場において3%台で推移していた米10年債利回りが時間外取引で低下したことから、ドル/円は一段の下落となった。ただ、下げ一服後は買い戻しの動きも優勢となり、ドル/円は序盤の高値の137.45を上抜けて137.53まで上昇した。ただ、その後は上値の重い動きとなり、世界の景気減速懸念を背景に、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。米2年債と10年債の逆イールドが続いていることで米景気後退懸念も強まり、ドル/円は136.47まで下落した。その後は、米長期金利が持ち直したことから、ドルは底固い動きとなった。一方、ユーロはパリティを踏みとどまったことで買い戻しの動きが強まり、対円でも堅調な動きが続いた。しかし、欧州の景気減速懸念が強まっていることや、終盤に米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大したことから、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して上値の重い動きとなった。
米株式市場は、米長期金利の低下などを受けて、主要株価指数は序盤から底固い動きとなった。ただ、中国で再びロックダウンへの懸念が高まっていることや、世界的な景気後退懸念を背景に投資家のリスク回避の動きが強まり、終盤には下げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤から底固い動きとなり、前日比172ドル高まで上昇した。しかし、終盤には下げが加速して一時313ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小し、192.51ドル安(-0.62%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは107.87ポイント安(-0.95%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比487円安まで下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことから、ドル/円は137.45から137.03まで下落した。
(2)137円台前半ではドル/円は底固い動きとなり、値頃感の買い戻しも加わり137.53まで上昇した。一方、天然ガスの供給不安を背景に欧州の景気後退懸念が強まったことが引き続き材料視され、ユーロは主要通貨に対して下落した。さらに、ドイツのZEW景気期待指数が市場予想を大幅に下回ったことも加わり、ユーロは対ドルでは一時パリティ(等価、1.0000ドル)に近づく1.0001まで下落し、2002年12月以来の安値を更新した。
(3)ユーロはドルや円に対して反発したものの、ドルは米長期金利の低下が続いたことから主要通貨に対して軟調な動きとなった。米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米2年債と10年債の逆イールドが続いていることから米景気後退懸念も強まり、ドル/円は136.47まで下落した。
(4)米長期金利が持ち直したことから、ドルは底固い動きとなった。一方、ユーロはパリティを前に踏みとどまったことで買い戻しの動きが強まり、米国時間中盤にかけて1.0074まで戻す動きとなり、対円でも堅調な動きとなった。しかし、欧州の景気減速懸念が強まっていることや、終盤に米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大したことから、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
世界的な景気減速懸念を背景に、ドル円・クロス円は東京市場でも序盤から上値の重い動きとなった。ただ、米国の大幅利上げに対する期待も高く、ドルは底固い動きとなった。
本日の米国時間では、6月の米消費者物価指数の発表が予定されており、注目度が高まっていることから、結果発表までは積極的な売買が手控えられる可能性も考えられる。特に、先日ホワイトハウスの報道官が「今回は非常に高い水準が予想される」と発言したことで、予想以上に高い結果となる場合には、先週末の米雇用統計の結果に続いてFRBの大幅利上げへの期待が高まる可能性も考えられる。
7/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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8.8% | 8.6% |
前回は市場予想を上回り、1981年12月以来、約40年5ヵ月ぶりの高水準となり、再びインフレが加速した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源や穀物の価格上昇などが影響しており、一段の積極的な利上げを促す結果となった。今回は前回から更に上昇が予想されており、予想通りなら1981年12月以来の高水準が予想されている。 | ||||
23:00 | カナダ |
政策金利 |
2.25% | 1.50% |
前回まで3会合連続の利上げとなり、2会合連続で0.50%の大幅利上げが決定された。声明では、インフレ抑制に必要なら一段と強力な措置をとる可能性があるとしており、5月の消費者物価指数が7.7%と1983年1月以来の高水準となったことから、今回は0.75%の利上げが予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の転換線近辺で底固い動きが続いており、ここから引き続き底固い動きが続いて高値を更新する動きとなるのか、転換線を完全に下抜けて一旦調整の動きとなるのか注目されている。
目先の上値のポイントは、直近高値の137.749となり、ここを上抜ける場合には一段の上昇となる可能性も考えられる。ただ、転換線を下抜け、来週には一段の上昇が見込まれている基準線を下抜ける場合には、大幅な調整となる可能性もあり、各下抜けには注目したい。
気まぐれ投資コラム
逆イールドの状態は継続するのか?
米国の債券市場では、政策金利の動向に敏感な2年債利回りが、米長期金利の指標となる10年債利回りを上回る状態が7営業日続いている。短期金利が長期金利の水準を上回る(逆転現象)ことを逆イールドといい、金融不安が高まる場合や、急速な金融政策の変更などの場合に生じることから、景気後退のシグナルとも見られている。
FRBが3月に利上げを開始し、利上げ継続を示したことから、4月に一度逆イールドになったが、この時は2日で解消。FRBがここまで利上げを継続、さらに7月のFOMCで大幅利上げ継続が見込まれていることから、再び2年債利回りが、10年債利回りを上回っている。この逆イールドの状態が続く場合には、米国の景気減速の懸念がさらに高まる可能性が考えられることから、今後の長短金利の動きが注目される。
※出所:SBILMがデータを基に作成