前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しくドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その後、黒田日銀総裁が今回の為替相場の変動はやや急との見方を示したことを受けて円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は下落した。さらに、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じ、マイナス圏まで下落したことも圧迫要因となった。下げ一服後は底固い動きが見られたものの、上値の重い動きが続いた。一方、豪中銀の金融政策発表では、政策金利が据え置かれたものの、金融引き締めを忍耐強くとの文言が削除されたことを受けて、早期利上げ期待が高まり、豪ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、複数の米金融当局者のタカ派的発言を受けて、米長短金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、日米金利差拡大が意識され、ドル/円は123.67まで上昇し、3/29以来の高値を付けた。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れて上昇したが、米主要株価指数が下落したこともあり、その後は上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ロシアに対する制裁強化への警戒感を背景に、主要株価指数は軟調な動きとなった。さらに、複数の米金融当局者のタカ派的発言を受け、FRBが利上げを加速させるとの懸念が高まったことから下げ幅を拡大し、主要株価指数は反落となった。ダウ平均株価は、序盤に前日比190ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて355ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小して280.70ドル安(-0.80%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、328.38ポイント安(-2.26%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は底固い動きで始まり、また下落が続いたユーロも下げ一服となった。上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、黒田日銀総裁が、今回の為替相場の変動はやや急との見方を示したことを受けて、円安牽制と受け止められて円買い戻しの動きが強まり、ドル円・クロス円は急速に下落した。ドル/円は、122.86時から122.38まで下落した。
(2)下げ一服後は底固い動きとなり、仲値公示にかけて実需のドル買いも観測されたものの、上値は限定的となった。一方、豪中銀の金融政策が発表され、政策金利のオフィシャルキャッシュレートは過去最低の0.10%で据え置きとなったものの、金融引き締めに「忍耐強く取り組む」との文言が削除されたことから、早期利上げに向けて前進したとの見方が広がり、豪ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。欧州時間では、欧州主要株価指数が軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、ブレイナードFRB理事が「当局は政策引き締めを整然と継続する」、「バランスシートを5月にも急速なペースで縮小へ」と発言したが、これまでハト派的と見られていただけに、タカ派的な発言に敏感に反応した。さらに、カンザスシティー連銀総裁が「インフレ抑制には中立金利を超える必要がある可能性」、サンフランシスコ連銀総裁が「5月にもバランスシートの縮小を開始できる」との発言を受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが2019年5月以来、約2年11ヵ月ぶりの高水準、政策金利に敏感な米2年債利回りが2019年3月以来の高水準まで上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、日米金利差拡大が意識されたことから、ドル/円は123.67まで上昇し、3/29以来の高値を付けた。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れて上昇したものの、米主要株価指数が軒並み下落したこともあり、終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
前日の米国市場では、複数の米金融当局者のタカ派的発言を受けて、米国の長短金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。特に、日米金利差拡大が意識されて、ドル/円は東京時間に入っても堅調な動きとなり、124円台に回復する動きも見られた。前日の東京時間での黒田日銀総裁の円安を牽制する発言を受けて円買いとなっていたが、一転して円売りが優勢となっており、今後の動きが注目される。
本日の米国の主要な経済指標の発表がないものの、引き続き複数の米金融当局者の発言が予定されていることから、発言の内容と米長短金利の動きに注目したい。