前営業日トピックス
東京市場では、ウクライナ情勢の緊迫状態が続くなど、投資家のリスク回避の動きが強まる中、前週末の米雇用統計の良好な結果もあり、ドルは序盤から堅調な動きとなった。しかし、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、一時前日比970円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。特に、ユーロは地政学リスクが意識され、下げ幅を拡大した。一方、資源価格の急騰などを受けて、豪ドルはドルや円に対して堅調な動きとなった。欧州時間では、下落して始まった欧州主要株価指数が下げ幅を縮小する動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。特に、下落が続いたユーロの下げが一服し、主要通貨に対して値を戻す動きとなった。
米国市場では、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議が予定されていたこともあり、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。特に、ユーロの下げが一服し、ドルや円に対して大幅上昇となった。しかし、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議が進展しなかったことに加え、西側諸国が対ロ制裁を強化させたことから、再び地政学リスクが意識されてユーロは軟調な動きとなり、さらに米主要株価指数が大幅下落となったことも加わり、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は終盤に軟調な動きとなった。
米株式市場では、ウクライナ情勢の悪化や、エネルギー価格が上昇するなどインフレが加速していることから投資家のリスク回避の動きが強まり、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。また、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議に進展が見られなかったことでも圧迫要因となった。ダウ平均株価は序盤から堅調な動きが続き、一時前週末比808ドル安まで下落した。引けにかけて安値圏を維持したまま797.42ドル安(-2.37%)で終了し、下げ幅は今年最大となり、終値ベースで昨年3/31以来、約11ヵ月ぶりの安値となった。一方、ナスダックは482.48ポイント安(-3.62%)で終了し、終値ベースで昨年3/8以来1年ぶりの安値となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前週末の米雇用統計で失業率が2020年2月以来の水準に改善したことや、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る結果となったことで、金融正常化への期待が高まったことが改めて意識され、序盤からドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、ウクライナ情勢が一段と緊迫していることを背景に、ユーロは主要通貨に対して下落となり、対円で2020年12/1以来、対ドルで2020年5/18以来の安値を更新した。また、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、一時前週末比979円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)その後、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その中で、ウクライナとロシアの紛争による地政学リスクが低いことや、資源価格の上昇が続いていることから豪ドルが買われ、対円で昨年11/2以来、対ドルで昨年11/4以来の高値を更新した。欧州時間では、下落して始まった欧州主要株価指数が下げ幅を縮小したことや、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議を控えて、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がない中、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。特に、下落が続いたユーロの下げが一服し、対円では2020年11/30以来の安値の124.40から125.95まで値を戻し、対ドルでも大幅に値を戻した。ただ、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議の結果を見極めたいとの思惑もあり、上値は限定的だった。
(4)ウクライナとロシアの3回目の停戦協議に進展が見られなかったことに加え、西側諸国が対ロ制裁を強化させたことから、再び地政学リスクが意識されてユーロは軟調な動きとなり、さらに米主要株価指数が大幅下落となったことから投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は終盤に軟調な動きとなった。
本日のトピックス
地政学リスクを背景にユーロの下落が続いており、ユーロ/円は2/10に付けた高値の133.15から昨日安値の124.40まで下落した。ただ、下げ一服後は底固い動きとなり、125.95まで値を戻したものの、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議に進展が見られなかったこともあり、紛争長期化への懸念から上値の重い動きとなった。
本日、4回目の停戦協議が予定されているものの、依然として平行線が予想されていることから、進展がなければ引き続き地政学リスクからユーロは上値の重い動きが続く可能性も考えられる。一方、ドルは来週のFOMCで利上げが確実視されていることや、逃避先通貨として底固い動きが続いている。また、豪ドルは地政学リスクが低いことや、資源価格が大幅上昇となっていることから、主要通貨に対して堅調な動きが続いており、引き続き底固い動きが続くのか注目されている。
米国時間では、米貿易収支の発表が予定されており、予想通りの結果なら過去最大の赤字額を更新することから、結果とマーケットの反応に注目したい。
3/8の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-873億USD | -807億USD |
前回は市場予想を上回ったものの、過去2番目の大幅赤字となった。感染拡大を背景に、サービスへの支出が抑えられ、財の支出が増えたことで輸入が過去最大となったことから、赤字額も拡大したと見られている。今回は、さらに赤字額の拡大が予想されており、予想通りなら昨年9月の過去最大の赤字額(809億ドル)を上回り、過去最大を更新することから、結果が注目されている。 |