前営業日トピックス
東京市場では、前週末の海外市場の大幅下落の反動もあり、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ただ、日経平均株価が取引開始直後から下落したことから、上値は限定的だった。その後、仲値公示にかけてドル買い・円売りが観測されたこともあり、ドル/円は値を戻す場面もあったが、日経平均株価が一段と下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。欧州市場では、ウクライナ情勢の緊迫化に伴う地政学的リスクを背景に、欧州主要株価指数が軒並み大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。さらに、米当局者が一段と速いペースの利上げが正当化されると改めて指摘したことを受けて、米長期金利が上昇したほか、ロシア外相がウクライナ問題に対し、外交的解決を優先する姿勢を示したことからドル/円は115.75まで値を戻した。しかし、16日にもロシアがウクライナに侵攻するとの報道を受けて、株価が下げ幅を拡大するなど再びリスク回避の動きが強まりドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米株式市場では、ウクライナ情勢を巡る警戒感が続いていることや、米金融当局者が一段と速いペースでの利上げが正当化されるとの見方を示したことも加わり、主要株価指数は3営業日続落となった。ダウ平均株価は、一時前週末比433ドル安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小して171.89ポイント安(-0.49%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは0.23ポイント安(0.00%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、大幅下落後に底固い動きとなった前週末の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。しかし、海外市場の株安を背景に、日経平均株価が序盤から大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、仲値公示にかけてドル買い・円売りが観測されたことから、ドル/円は115.58まで値を戻す場面もあったが、日経平均株価が一時10日と比べて748円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は再び軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きが見られたものの、ウクライナ情勢の緊迫化を背景にドル円・クロス円の上値は限定的だった。欧州市場では、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、欧州主要株価指数が序盤から大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)ロシアの外相が、西側諸国との話し合いに前向きな発言をしたことを受けて、欧州主要株価指数が下げ幅を縮小するなどリスク回避の動きが和らぎ、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。米国市場でも欧州市場の流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。さらに、セントルイス連銀総裁がインフレ高進を背景に一段と速いペースの利上げが正当化されると改めて指摘したことから、米長期金利の指標となる米10年債利回りが再び2.0%台まで上昇するなど、米長短金利が軒並み上昇したことも加わり、ドル/円は115.75まで回復した。
(4)米国がウクライナの大使館を一時閉鎖したことや、16日にもロシアがウクライナに侵攻するとの報道を受けて、株価が下げ幅を拡大するなど再びリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
ウクライナ情勢の緊迫化が当面続くと見られており、引き続き状況の変化や要人発言、関連報道に一喜一憂する展開が続くと見られる。そのため、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続く可能性が考えられる。ただ、原油価格の上昇など高インフレを背景に、主要国の利上げ観測も根強いことから、下値も限定的と考えられる。
米国市場では、1月の米生産者物価指数と2月のニューヨーク連銀製造業景気指数の発表が予定されている。前者は物価の低下が予想されており、後者は約1年半ぶりのマイナスからの改善が予想されていることから、結果とマーケットの反応に注目したい。
2/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
2月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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11.0 | -0.7 |
前回は予想外の大幅低下となり、2020年6月以来のマイナスに落ち込んだ。新規受注と出荷が大幅に低下したことが影響し、オミクロン株の感染拡大で製造業の活動が抑制されたことが示された。今回は、前回の反動で改善が予想されており、予想通りの改善が見られるのか注目されている。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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9.0% | 9.7% |
前回は市場予想を下回り、過去最高を記録した前月から低下した。エネルギーや食品が低下したことが影響し、依然として高水準が続いているものの、物価上昇が和らぎ始めたことが示された。今回はさらに低下が予想されており、物価上昇圧力が沈静化に向かうのか注目される。 |