前営業日トピックス
東京市場では、時間外取引の米長期金利が小幅低下したことから、ドル/円は上値の重い動きとなった。さらに、上昇して始まった日経平均株価が上げ幅を縮小したことから、クロス円も上値の重い動きとなった。しかし、その後は再び日経平均株価が上げ幅を拡大して、一時前日比340円超上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。上昇一服後に上値の重い動きとなったものの、欧州主要株価指数が軒並み上昇したことからドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤から米長期金利が上昇したことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、10年債の入札では、応札倍率が2020年5月以来の高倍率となるなど、旺盛な需要を受けて米国債相場が続伸(利回りは低下)したことから、ドルは対円などで上値の重い動きも見られた。しかし、終盤にかけて米10年債利回りが再び上昇したことから、ドルは主要通貨に対して一段の上昇となった。
米株式市場では、米国での感染者数の減少を受けて感染拡大への懸念が和らぎ、経済の正常化が進むとの期待感が引き続き材料視され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の上昇が一服したことも押し上げ要因となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比361ドル高まで上昇した。引けにかけて上げ幅を縮小したものの、305.28ドル高(+0.86%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、295.92ポイント高(+2.08%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤にドル/円は前日の海外市場で付けた高値115.63を上抜けて115.68まで上昇し、1/28以来の高値を更新した。しかし、時間外取引で米10年債利回りが前日の海外時間に付けた2019年11月以来の高水準から低下したことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。一方、ドル/円が上値の重い動きとなったことや、日経平均株価がオープン直後に前日比250円超上昇したものの、その後上げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円も上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大し、前日比337円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなったものの、ドル/円は米長期金利の低下傾向が続いたことから、上値の重い動きが続いた。欧州時間では、欧州主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことから、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(3)米国市場では、欧米の主要株価指数が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。その後は、米長期金利が上昇したことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇したものの、10日に米国の消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードも強まっていたこともあり、ドルの値動きは限定的だった。
(4)米10年債入札では、応札倍率が2020年5月以来の高倍率となるなど、旺盛な需要を受けて米国債相場が続伸(利回りは低下)したことから、ドルは入札直後に対円などで上値の重い動きも見られた。しかし、1.907%まで低下していた米10年債利回りが終盤にかけて1.950%まで再び上昇したことから、ドルは主要通貨に対して一段の上昇となった。
本日のトピックス
本日の米国市場では、1月の米消費者物価指数の発表が予定されており、結果が注目されている。市場予想では、前月から一段の上昇が予想されており、予想通りインフレの高進が示される場合には、FRBによる利上げ観測が高まる可能性も考えられる。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一段の上昇となり、大台の2%台乗せとなる場合には、日米金利差拡大観測からドル買い・円売りとなり、ドル/円は一段の上昇となる可能性も考えられる。マーケットでは、その場合に116円台を試すとの見方も出ており、指標結果とマーケットの反応に注目したい。
2/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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7.3% | 7.0% |
前回は市場予想を上回り、約40年ぶりの高水準となった。インフレ高進が続いていることが示され、早期の利上げ観測を押し上げる結果となった。一方、前月比では2ヵ月連続の伸び幅の低下となった。今回は、物価上昇が予想されており、1月に原油価格が一段の上昇となったこともあり、全体的に物価が押し上げられている可能性が指摘されている。 | ||||
22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(2/5までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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23.0万件 | 23.8万件 |
前回は市場予想を下回り、2週連続の減少となった。オミクロン株の感染拡大の影響で増加していたが、その影響が緩和傾向にあることが示された。さらに、過去最高水準の求人件数であるものの、労働力不足が続いていることから、さらに減少が続くと見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲でサポートされて以降堅調な動きが続いており、ここから目先の上値のポイントである115.683を上抜けて一段の上昇となるのか注目されている。
オシレーターのMACDでは、両線上向きが継続、乖離幅も拡大が続いており、目先の堅調な動きを示唆する形状となっている。上値のポイントである115.683を上抜ける場合には一段の上昇も考えられ、その場合の上値目標の計算値は116.344と計算できる。
一方、下値のポイントは前日安値の115.324となり、ここを下抜ける場合には一段の下げとなる可能性も考えられる。ここまで6営業日連続で前日安値を上回って推移していることから、前日安値を下回る展開となる場合には一旦調整となる可能性も考えられる。
気まぐれ投資コラム
11日のロシア中銀の金融政策発表、8会合連続の利上げが決定されるか?
ロシア中銀は、政策金利である1週間物レポレートを昨年3月から7会合連続で引き上げている。インフレの進行やウクライナ情勢の緊迫化がロシア経済に影響しており、ロシア主要株価指数は昨年10月の高値から一時約35%も下落しており、さらにルーブルも対ドルで一時2020年11月以来の安値まで下落している。マーケットでは、ルーブル防衛のために政策金利を引き上げると予想されている。先の発表された1月のロシアの消費者物価指数が予想を上回り2016年1月以来の高水準が続いていることもあり、今回は政策金利を1.00%引き上げて9.50%にすると予想されている。
ロシア中銀はインフレ率を目標とされる4.0%-4.5%の水準に戻すことを目指しているが、物価上昇が緩和される兆候が見られないことから、実現は困難と見られています。まして、ロシアがウクライナに侵攻すれば、欧米の対ロシア制裁が強化される可能性もあり、ロシア経済は窮地に立たされる可能性もあることから、今後の情勢も注目されている。
※出所:SBILMがデータを基に作成