前営業日トピックス
東京市場では、時間外取引で米長期金利が上昇したことがドルの押し上げ要因となり、これに実需のドル買いも加わり、ドル/円は仲値公示にかけて堅調な動きとなった。しかし、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、一時940円超下落したことから投資家のリスク回避の動きも強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。下げ一服後は、値頃感の買い戻しもあり、底固い動きとなった。さらに、下落して始まった欧州主要株価指数が上昇に転じて上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された12月の住宅着工件数が、昨年3月以来の高水準となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、米長期金利が低下したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では114.21まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで堅調な動きが続いたものの、米主要株価指数が下落に転じたことから、終盤にかけて対円で軟調な動きが続いた。
米株式市場では、中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰に伴い、米国でのインフレ加速への懸念も意識され、投資家のリスク回避の動きから主要株価指数は続落となった。さらに、FRBが金融引き締めを急ぐとの見方も引き続き圧迫要因となった。ダウ平均株価は、上昇して始まったものの、その後は徐々に上値の重い動きとなり、終盤には一時前日比352ドル安まで下落した。安値圏を維持したまま、339.82ドル安(-0.96%)で終了し、3営業日続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、166.65ポイント安(-1.15%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、米10年債利回りが時間外取引で一段の上昇となり、2019年12月以来の高水準となったことや、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことから、ドル/円は前日の米国市場の高値114.73を上抜けて一時114.79まで上昇した。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れ高となった。
(2)仲値通過後は上昇一服となり、さらに日経平均株価が序盤から下落となり、前日比550円超下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、942円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
(3)欧州市場では、下落して始まった欧州主要株価指数が上昇に転じ、上げ幅を拡大する動きとなったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(4)米国市場では、序盤に発表された12月の米住宅着工件数が、3ヵ月連続の増加で昨年3月以来の高水準となったことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.889%から1.819%まで低下する動きに連れて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では序盤の114.55から114.21まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで堅調な動きが続いたものの、上昇して始まった米主要株価指数が下落に転じ、下げ幅を拡大する動きとなったことから、対円で軟調な動きが続いた。また、カナダの12月の消費者物価指数が1991年以来30年ぶりの高水準となったことから、カナダ中銀による利上げ観測が強まり、カナダドルは主要通貨に対して上昇した。対米ドルでは、一時昨年11/10以来の高値を付ける場面もあった。
本日のトピックス
欧州時間では、12月のユーロ圏の消費者物価指数の発表が予定されているが、確報値であることから大きな修正がなければ、反応は限定的と見られている。一方、トルコ中銀の金融政策発表も予定されており、トルコ大統領の利下げ圧力が続いているものの、ここまで4会合連続で利下げを決定していることから、今回は据え置きが予想されている。ただ、サプライズを予想する向きもあることから、結果発表に注目したい。
米国市場では、米新規失業保険申請件数、1月のフィラデルフィア連銀景況指数、12月の米中古住宅販売件数の発表が予定されている。いずれも、重要度の高い経済指標であるが、マーケットの注目が来週のFOMCに移っていることもあり、指標結果が市場予想から乖離する結果となる場合には反応する可能性もあるが、予想の範囲内の結果なら反応は限定的と見られている。その中で、下落が続いた米株式市場や、米長短金利の動きが注目されている。
1/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(1/15までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.0万件 | 23.0万件 |
前回は市場予想を上回り、2週連続増加で2021年11月以来の高水準となった。オミクロン株の感染拡大に伴う人員削減が影響している可能性が示された。今回は、3週ぶりの減少が予想されているが、減少幅は小幅に留まると見られている。一部では、さらに増加を予想する向きもある。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されている。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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19.8 | 15.4 |
前回は市場予想に反して低下となり、2020年12月以来の低水準となった。新規受注が大幅低下したことが全体を引き下げ、オミクロン株の感染拡大に伴う影響との見方が示された。今回は、前回から上昇が予想されているが、先に発表されたNY連銀指数がマイナスまで低下し、新規受注もマイナスに落ち込んだこともあり、当該指数への懸念も指摘されている。 | ||||
0:00 | 米国 |
12月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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641万件 | 646万件 |
前回は市場予想を下回ったものの、3ヵ月連続の増加となり、昨年1月以来の高水準となった。住宅価格が上昇しているものの、住宅需要が根強いことや、雇用の改善が下支え要因となっている。ただ、一部でインフレ高進の影響で買い控えにつながる可能性もあるとの指摘もあり、今回は前月から減少が予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲上限近辺でサポートされた後に堅調な動きとなったものの、基準線近辺で上値を抑えられる動きとなっている。また、転換線と基準線がクロスしており、ここから雲の下抜けや、遅行スパンが価格帯を下抜ける場合には、三役逆転の弱気シグナルとなることから、今後のチャート形状が注目される。
目先の上値のポイントは一目均衡表基準線の114.744となり、ここを上抜ければ一段の上昇となる可能性も考えられる。ただ、基準線は来週前半に上昇することから、価格との乖離が拡大する場合には、軟調な動きとなる可能性も考えられる。
一方、下値のポイントは雲上限ラインだが、ここから雲下限ラインとともに上昇することから、下値のポイントが切り上がることになる。さらに、直近安値の113.488を下抜ける場合の下値目標の計算値は、112.197と計算できる。