前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、日経平均株価が上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。五・十日で仲値公示にかけて実需によるドル買いがみられたものの、反応が限定的だった。その後は上昇した日経平均株価が下落に転じ、マイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなったが、FOMCを控えて様子見ムードが広がっていたことから、全般的に限定的な動きとなった。
米国市場では、FOMCを控えて様子見ムードが強まっていたことから、11月の米小売売上高が市場予想を下回ったものの、反応は限定的だった。FOMCでは、テーパリング縮小ペースの加速が発表されたことから、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、パウエルFRB議長が定例会見で金融緩和縮小を加速させる方針を示したことも支援材料となり、ドル/円は一時114.26まで上昇し11/26以来の高値を更新した。一方、FOMC後に米主要株価指数が大幅上昇となったことを受けて、クロス円は堅調な動きが続いた。
米株式市場では、FOMCを控えて様子見ムードが強まり、主要株価指数は序盤から上値の重い動きとなった。FOMCでは公表された結果が想定内と受け止められたこから、買いが優勢となった。さらに、パウエルFRB議長が会見で米経済は堅調なペースで拡大としたことも支援材料となった。ダウ平均株価は、FOMCの結果やFRB議長の発言を受けて買いが優勢となり、一時前日比399ドル高まで上昇し、383.25ドル高(+1.08%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは327.94ポイント高(+2.15%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート
(1)下落して始まった日経平均株価が上昇に転じ、93円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、上昇一服後は上値の重い動きとなったことや、五・十日で仲値公示にかけてドル買いフローが観測されたが、仲値通過後はドル売り・円買いが観測されたことから、ドル/円は上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、マイナ圏まで下落していた日経平均株価がプラス圏まで値を戻したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、米FOMCを控えて様子見ムードも強まっており、限定的な動きが続いた。一方、英国の11月の消費者物価指数が前年比で約10年ぶりの高水準となったことを受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇した。しかし、英国で新型コロナウイルスの感染が拡大していることや、利上げ期待が後退していることがポンドの圧迫要因となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された11月の米小売売上高が市場予想を下回る伸びとなったものの、FOMCを控えて様子見ムードが強まっていたことから、マーケットの反応は限定的だった。FOMCでは、米国債の購入を月額200億ドル、MBSを100億ドルのトータル300億ドルの減額となり、ここまでの150億ドルの倍のペースの縮小が表明されたことや、ドット・チャート(メンバーの金利見通し)で2022年に3回、2023年に3回の利上げが想定されていることから、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、パウエルFRB議長が定例会見で米経済は堅調なペースで拡大していると発言し、金融緩和縮小を加速させる方針を示したことも支援材料となり、ドル/円は一時114.26まで上昇し11/26以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨はFOMC後に米主要株価指数が大幅上昇となったことを受けて、対円で堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
朝方の米国でFOMCでは、テーパリングの加速が表明され、ドット・チャート(メンバーの金利見通し)で2022年と2023年で計6回の利上げ(1回が0.25%なら1.50%)の利上げ予想が示された。これを受けてドルは上昇したものの、ドルの上値は限定的だった。
2023年までの利上げ見通しが示されたことから、金利の動きを背景としたドルの上昇は限界に達した可能性も考えられる。利上げ期待が高まったとしても、今回のドット・チャートの結果を受けて前月に付けた115.52を上回るドルの上昇は難しいとの見方も出ている。さらに、米国以外の主要国の金融政策もドル相場に影響する可能性(米国との金利差)も考えられることから、今後のドルの動きが注目される。
本日の欧州市場では、ドイツやユーロ圏の12月の製造業PMIの発表が予定されており、比較的敏感に反応する速報値であることから、結果が注目されている。さらに、トルコや英国、ECBの金融政策発表が予定されており、マーケットではトルコ中銀が政策金利の引き下げを決定すると予想されており、結果を受けたトルコリラの動きに注意したい。一方、米国市場では11月の米住宅着工件数、新規失業保険申請件数の発表が予定されている。前者は前月から改善が予想されており、後者は前週から増加が予想されているが、予想に範囲内の結果なら反応は限定的と見られている。
12/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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156.6万件 | 152.0万件 |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続の減少となった。サプライチェーン問題を背景としたコスト上昇の影響で一戸建て住宅が減少となったことが影響した。今回は、前月から増加が予想されており、着工件数の先行指標となる許可件数が前月に5月以来の高水準となったことが影響している可能性も考えられる。 | ||||
22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(12/11までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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19.5万件 | 18.4万件 |
前回は市場予想を下回り、1969年以来52年ぶりの低水準となり、祝日前後の季節的な調整が影響したとの見方もある。ただ、4週平均では昨年3月以来の低水準であることから、労働市場の堅調さが続いていることも確認できた。今週は前週から増加が予想されているが、引き続き20万件を下回ると予想されており、好調が維持されると見られている。 |