前営業日トピックス
東京市場では、パウエルFRB議長の再任で来年の利上げ期待が高まっていることが引き続き材料視され、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなり、ドル/円は115.24まで上昇した。しかし、その後は日経平均株価が560円超下落したことや、米長期金利が低下したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州時間から米長期金利が上昇したことから、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が予想以上の改善となったこともドルの押し上げ要因となった。その後、米FOMCの議事要旨でテーパリングの加速の正当性が支持されたことが明らかとなり、すでに織り込まれていたことから反応は限定的だったが、ドル/円は一時115.52まで上昇し、2020年1月19以来の高値となった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したこともあり、対円では上値の重い動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が良好な結果となったものの、上昇が続いていた米長期金利が大幅に低下となったことで、金利上昇を好感して買われていた金融株が下落したことが影響し、ダウ平均株価は反落となった。一方、金利動向に敏感なナスダックは金利低下に伴いプラスに転じて反発となった。ダウ平均株価は、一時前日比222ドル安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小する動きとなり、9.42ドル安(-0.03%)で終了。一方、ナスダックは70.09ポイント高(+0.44%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)休場明けの東京市場では、日経平均株価が下落して始まり、200円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。しかし、パウエルFRB議長の再任が決定したことで、利上げ期待が高まったことが引き続き材料視されてドル買いが優勢となり、ドル/円は前日の海外時間に付けた115.19を上抜けて115.24まで上昇し、2017年3/10以来の高値を更新した。一方、NZ中銀は、前回会合に続き政策金利を0.25%引き上げることを決定したものの、一部では0.50%の利上げが予想されていたこともあり、発表直後は下落となった。
(2)上昇一服後、ドルは上値の重い動きとなり、さらに、午後に入り日経平均株価が下げ幅を拡大し、561円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、前日の海外市場で米10年債利回りが1.628%まで上昇していたが、時間外取引で1.630%まで低下したことも加わり、ドル/円は114.87まで下落した。一方、欧米の金融政策の違いや、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることを受けて、欧州経済の先行き懸念を背景に、ユーロは対ドルで下落となり、対円でも軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州時間から米長期金利上昇が続いたことから、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が1969年11月以来、52年ぶりの低水準となったこともドルの押し上げ要因となった。その後、米10年債利回りが序盤の1.627%から1.691%まで上昇し、約1ヵ月ぶりの高水準となったことや、米FOMCの議事要旨でテーパリングの加速の正当性が支持されたことが明らかとなり、ドル/円は一時115.52まで上昇し、2020年1月19以来の高値となった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したこともあり、対円では上値の重い動きとなった。特に、ドイツのロックダウンに対する警戒感が高まっていることや、独中銀総裁がドイツの経済成長が減速する可能性を指摘したことも加わり、ユーロは対ドルでは2020年7/3の安値となった。
本日のトピックス
ドル/円は、連日年初来高値を更新する展開が続いているが、引き続き年初来高値を更新するのか注目されている。特に、本日は米国市場が休場となることから、一旦調整となる可能性も指摘されていることから、115円台を維持できるのか注目したい。
本日の欧州市場では、第3四半期のドイツのGDPの発表が予定されているが、確報値であり、速報値と変わらずの予想となっていることから、予想通りの結果なら反応は限定的だろう。また、米国市場はThanksgiving Day(感謝祭)のため休場となることから、海外市場では全般的に限定的な動きが予想されている。