前営業日トピックス
東京市場では、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じ、260円超下落したことから、投資家のリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル円は一時112.73まで下落して10/11以来の安値となった。その後、米長期金利が持ち直したことや、下落して始まった欧州主要株価指数が堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では113.11まで上昇した。その後、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は112.74まで下落した。しかし、アジア時間に付けた112.73には届かずに底固い動きとなった。また、パウエルFRB議長の会議での発言があったが、金融政策に関して言及しなかったことから、マーケットの反応は限定的だった。
米株式市場では、主要3指数が連日史上最高値を更新したこともあり、序盤から利益確定の動きが先行した。さらに、米長期金利が低下したことを受けて利ザヤ悪化が意識されて金融株が下落したものの、全般的には金利低下を受けて底固い動きも見られた。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比259ドル安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小して112.24ドル安(-0.31%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、95.82ポイント安(-0.60%)で終了し、12営業日ぶりに反落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場で米当局者のハト派的発言が改めて材料視され、米国の早期利上げ期待が後退したとの見方からドルは序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から243円高まで上昇したものの、その後下落に転じてマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、266円安まで下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、円買いが優勢となった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.489%から1.456%まで低下したことから、ドル/円は112.73まで下落し、10/11以来の安値となった。その後は、値頃感の買い戻しの動きや、欧州主要株価指数の上昇、米長期金利が持ち直したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では一時113.11まで上昇した。その後、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.467%から1.411%まで低下したことや、米30年債利回りが7/20以来の低水準まで低下したことも加わり、ドル/円は112.74まで下落した。しかし、アジア時間に付けた112.73には届かずに底固い動きとなった。序盤に発表された10月の米生産者物価指数は、市場予想と一致したことからマーケットの反応は限定的だった。また、パウエルFRB議長の会議での発言があったが、
金融政策に関して言及しなかったことから、こちらの反応は限定的だった。
(4)下げ一服後、値を戻す動きが見られたものの、ドルは上値の重い動きが続いた。一方、豪ドルは、先週の金融政策発表後から軟調な動きが続いており、米主要株価が下落したことでリスク回避の動きが意識されたことも加わり軟調な動きが続いた。対円では、10/12以来の安値を更新した。
本日のトピックス
ここまでドル/円は軟調な動きが続いており、日足ベースでは4営業日続落となっている。ここから一段の下げとなるのか、下げ止まるが見られるのか注目されている。マーケットでは、テーパリング開始、来年の利上げ期待も根強いことから、現状の下げが一旦の調整と見る向きも多い。そのため、調整終了後に再び堅調な動きとなるとの思惑もある。その中で、本日重要度の高い米経済指標の発表が予定されており、その結果次第で動きが出る可能性も考えられる。
米国時間では、10月の米消費者物価指数の発表が予定されており、市場予想ではさらなる物価上昇が予想されている。引き続き、インフレ圧力が根強いことが示されると見られており、予想通りの結果となる場合には、利上げ期待が高まる可能性もあり、結果が注目される。また、米新規失業保険申請件数の発表も予定されており、ここまで5週連続の改善が続いていることから、労働市場の改善が続くのか注目されている。
11/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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5.9% | 5.4% |
前回は市場予想を上回り、高水準を維持した。前月比ベースでも3ヵ月ぶりの上昇となり、インフレ圧力が根強いことが示された。前月比ではエネルギーが低下したものの、サービスや食品・飲料、居住費が上昇したことが影響した。今回はさらに上昇が予想されており、年末商戦を控えて物価上昇が続けば個人消費への影響が拡大するとの懸念も出ている。 | ||||
22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(11/6までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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26.5万件 | 26.9万件 |
前回は市場予想を下回り、5週連続の減少となり、2020年3月以来の低水準まで改善した。経済活動の再開、新型コロナウイルス変異株の感染拡大が和らいだことから、労働市場の改善が進んでいることが示された。今週は、前週から小幅流れ減少が予想されており、改善がさらに進むとみられている。 |