東京市場では、日経平均株価が序盤から下落し、一時前日比290円安まで下落するなどリスク回避を背景に、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、日経平均株価が下げ幅を縮小したほか、雇用統計を控えて113円台半ばから後半を中心に、全般的に限定的な動きとなった。その後、海外時間に入り、欧州主要株価指数の上昇や、米雇用統計に対する期待感などから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。

米国市場では、序盤に発表された10月の米雇用統計が予想より強い結果となったことから、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では一時114円台を回復した。しかし、米雇用統計の結果を受けて上昇していた米長期金利がFOMCや雇用統計といったイベント終了したこと、雇用統計を受けて早期利上げ観測が高まるほどのインパクトもなく、一転して低下したことからドルは主要通貨に対して下落に転じ、対円では113.30まで下落した。一方、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は対ドルで上昇したこともあり、底固い動きとなった。

米株式市場では、10月の米雇用統計が市場予想より強い結果となったことで、米景気の先行きに楽観的な見方が広がり、主要株価指数は堅調な動きとなった。主要3指数はいずれも史上最高値を更新した。ダウ平均株価は、一時前日比360ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。その後はやや上げ幅を縮小したものの、203.72ドル高（+0.56％）で終了して終値ベースの最高値も更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、31.28ポイント高（+0.20％）で終了し、取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。

※出所：FX総合分析チャート10分足

（1）東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は堅調な展開で始まった。ただ、日経平均株価が下落して始まり、300円近く下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことから、ドル/円は序盤の113.86から113.56まで下落した。

（2）米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも高まっていたこともあり、ドル円・クロス円は全般的に限定的な動きとなった。一方、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後の欧州時間では、欧州主要株価指数が堅調な動きとなったことや、ADP雇用統計の結果を背景に、労働省の雇用統計に対する期待感も加わり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。

（3）米国市場では、序盤に発表された10月の米雇用統計で、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想を上回る伸びとなり、直近2ヵ月分の上方修正（23.3万人）も含めて実質+76.6万人となったことや、失業率も予想より強い結果となったことから、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では一時114円台を回復した。ただ、FRBの利上げを急がないとの方針は変わらないとの見方などから、米雇用統計を受けて上昇していた米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.543％から1.434％まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して下落に転じた。対円では、113.30まで下落したものの、下値のポイントとされる10/28の113.26には届かなかったことから、底固い動きとなった。一方、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は対ドルで上昇したこともあり、底固い動きとなった。

本日の海外市場では、主要な経済指標の発表がなく、新規材料に乏しいことから、限定的な動きも予想される。さらに、先週の米FOMC、米雇用統計と注目されたイベントが終了したこともあり、目先の注目する材料は10日に発表される10月の米消費者物価指数となることから、それまでは方向性に乏しい動きが続く可能性も考えられる。ただ、FOMCが終了したことで米当局者の発言が多くなることも予想されることから、発言の内容などが注目されるだろう。