前営業日トピックス
連休明けの東京市場では、海外市場の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。また、海外市場の株価の大幅下落を受けて、日経平均株価が一時660円超下落したものの、その後下げ幅を縮小したことや、実需のドル買・円売りなどもあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後も堅調な動きが続き、ドル/円は一時109.71まで上昇する場面もあった。先週から下落が続いていたこともあり、下げが一服したとの見方もあった。しかし、中国の不動産大手の中国恒大集団の債務不履行懸念が根強い中で、米格付け会社が破綻の可能性が高いとの見解を示したことや、金融機関に対して支払いが遅延しているとの報道を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、引き続き投資家のリスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。さらに、米長期金利が低下したことも影響し、ドル/円は序盤の109.47から109.18まで下落した。一方、上昇して始まった米主要株価指数がマイナス圏まで下落するなど、上値の重い動きとなったことから、クロス円も上値の重い動きが続いた。ただ、FOMCの結果発表を控えて、早期のテーパリング開始期待も根強いことから、ドルは底固い動きとなった。
米株式市場では、中国の不動産大手の債務問題を嫌気して下落していた香港株が持ち直したことから、米主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、FOMCを控えて量的緩和政策の早期縮小を警戒した売りが優勢となり、上値の重い動きとなった。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比343ドル高まで上昇したものの、その後は下げに転じて50.63ドル安(-0.15%)で終了し、終値ベースで6/23以来3ヵ月ぶりの安値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、32.50ポイント高(+0.22%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、中国不動産開発大手の中国恒大集団の債務問題を背景に、前日の海外市場で主要株価指数が大幅下落したことを受けて、日経平均株価も序盤から大幅下落となり、一時前週末比667円安まで下落したものの、その後200円超下げ幅を縮小したことや、連休明けで実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、仲値公示にかけてドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の安値109.35から109.60まで上昇した。
(2)上昇一服後、ドル/円は109.48まで下げたものの、FOMCを控えており、年内にテーパリングが開始されるとの思惑も根強く、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米長期金利が時間外取引で上昇したことも加わり、ドル/円は午前中の高値109.60を上抜けて、109.71まで上昇するなど、底固い動きが続いた。一方、豪中銀議事要旨で、利上げの条件は2024年まで達成されない見込みとの認識が示されたものの、すでに豪中銀総裁も同様の発言をしていたこともあり、反応は限定的だった。
(3)中国の不動産大手の中国恒大集団の債務不履行懸念が根強い中で、米格付け会社が破綻の可能性が高いとの見解を示したことや、金融機関に対して支払いが遅延しているとの報道を受けて投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米国市場序盤に発表された8月の米住宅着工件数が市場予想を上回る結果となったことを好感して、ドルは底固い動きとなった。
(4)リスク回避の動きから安全資産とされる米国債が買われ、米長期金利の指標となる米10年債利回りが低下したことも影響し、ドル/円は序盤の109.47から109.18まで下落した。ただ、FOMCの結果発表を控えて、早期のテーパリング開始期待も根強いことから、ドルは底固い動きとなった。一方、上昇して始まった米主要株価指数がマイナス圏まで下落するなど、上値の重い動きとなったことから、クロス円は上値の重い動きとなった。特に、ユーロ/円は8/20以来、ポンド/円は7/20以来、豪ドル/円は8/23以来の安値となった。
本日のトピックス
本日は、米FOMCが予定されており、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)の開始時期が言及されるのか注目されている。そのため、結果発表までは様子見ムードが強まることも予想され、限定的な動きが続く可能性も考えられる。これまでのパウエルFRB議長や、米当局者の発言などからテーパリングの年内開始がある程度コンセンサスになっているものの、具体的な時期や縮小のペースに言及があるのか注目されており、発表内容を受けて動きが出る可能性も考えられる。また、8月の米中古住宅販売件数の発表が予定されているものの、FOMCを控えていることもあり、反応は限定的と見られている。
9/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
8月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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588万件 | 599万件 |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の増加となった。在庫不足が解消されつつあることが下支え要因となり、住宅需要の改善が示唆された。ただ、在庫は依然として1年前の水準を大きく下回っている。今回は、前回から減少が予想されているが、今後を見極める上で在庫水準が改善しているのかどうかが注目される。 | ||||
3:00 | 米国 |
FOMC
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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0.00%-0.25% | 0.00%-0.25% |
今回のFOMCでは、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)の開始時期が示されるのか注目されている。ただ、米雇用統計で雇用者数が予想外の低下となったこともあり、タカ派的な見通しが後退しており、11月から12月の開始が予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は上値の重い動きが続いており、直近安値の109.111に迫る動きとなっている。相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、現在109.778で横ばいが続いているが、109.111を下回る場合には横ばいから低下となることから、109.111が目先の下値のポイントと考えられる。
また、目先の動きを見極める上で参考にされることが多いオシレーターのMACDでは、両線が下向き継続中で、両線の乖離幅も拡大していることから、目先の軟調な動きを示唆する形状となっており、この形が継続するのかどうかにも注目したい。
一方、目先の上値のポイントは基準線の109.778となり、ここを上抜けて再び雲の上抜けをトライできるのか注目される。
気まぐれ投資コラム
テーパリング(量的緩和の段階的縮小)の開始時期は?
本日の米国時間では、FOMCの結果発表が予定されており、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)の開始時期が最大の注目となっている。ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の発言や、その後の複数の米金融当局者の発言から、テーパリングの年内開始がある程度コンセンサスになっていると考えられる。
ただ、8月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回ったこともあり、ややタカ派的な見方であった9月や10月開始は後退したと見ており、11月もしくは12月の開始が示唆されると見ている。
テーパリングの開始時期が示唆された後は、利上げ時期にマーケットの注目が移ると見ている。パウエルFRB議長は、テーパリングは利上げの直接的なサインではないとの見解を示しているが、利上げ時期を見極める上で、テーパリングのペースが今後注目されると考えられる。
各回米国債100億ドル、住宅ローン担保証券が50億ドルの計150億ドルの縮小が基本ベースと見ており、これより速いペースとなる場合には、2023年と見られている利上げ開始時期が早まる可能性も考えられます。そして、それを見極める上でも、ドットチャート(FOMCメンバーの米政策金利水準などの見通し、3月、6月、9月、12月に公表)が注目される。
※出所:FX総合分析チャート