前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価がバブル崩壊後の高値を更新したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、その後日経平均株価が200円以上上げ幅を縮小する動きとなったことから上値の重い動きとなったものの、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、豪中銀総裁のハト派的な発言が嫌気され、豪ドルは主要通貨に対して下落した。欧州時間では、ドルが主要通貨に対して上昇となり、ドルは対円でも110.16まで上昇した。
米国市場では、序盤に発表された8月の米消費者物価指数が10ヵ月ぶりに伸び幅が鈍化したことを受けて、FRBによる早期のテーパリング開始観測が後退するとの見方からドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドルは対円で一時109.53まで下落し、8/24以来の安値を付けた。一方、米主要株価指数が下落に転じ、下げ幅を拡大したことから投資家のリスク回避の動きが強まり、クロス円も軟調な動きとなった。
米株式市場では、8月の米消費者物価指数が市場予想を下回ったことで、量的緩和政策が当面維持されるとの見方から主要株価指数は上昇して始まった。しかし、変異株の感染拡大を背景に米景気回復が遅れるとの懸念からリスク回避の売りが優勢となった。ダウ平均株価は、序盤に前日比120ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて一時359ドル安まで下落した。引けにかけてやや下げ幅を縮小し、292.06ドル安(-0.84%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは67.82ポイント安(-0.45%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時1990年8/2以来の高値を付けたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は一時110.11まで上昇したものの、前日高値の110.16には届かなかった。
(2)上昇一服となったことや、日経平均株価が200円以上上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなったものの、ドル/円は110円台を維持した。その中で、豪中銀総裁が、テーパリング見直しの延期に言及したことや、利上げの条件は2024年より前には満たされないとの見通しを示したことが嫌気され、豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では81.16から80.71まで下落し、対ドルでは9/1以来2週間ぶりの安値となった。欧州時間では、ドルが主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円でも一時110.16まで上昇し、前日の高値に面合わせとなった。
(3)前日の高値を超えられなかったことからやや上値の重い動きとなり、米国市場で序盤に発表された8月の米消費者物価指数が前年比ベースで10ヵ月ぶりに伸び幅が鈍化したことを受けて、インフレの加速が和らぎ、FRBによる早期のテーパリング開始観測が後退するとの見方からドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.347%から1.261%まで低下したことも加わり、ドルは対円で一時109.53まで下落し、8/24以来約3週間ぶりの安値を付けた。一方、上昇して始まった米主要株価指数が下落に転じ、下げ幅を拡大したことから投資家のリスク回避の動きが強まり、クロス円も軟調な動きとなった。ユーロ/円は8/27以来、ポンド/円は9/1以来の安値を更新した。
本日のトピックス
昨晩発表され8月の米消費者物価指数が10ヵ月ぶりに鈍化したことから、FRBによる早期のテーパリング観測が後退するとの見方からドルは軟調な動きとなった。特に、FOMCを来週に控えていることもあり、指標の結果に敏感に反応したと見られる。さらに、変異株の感染拡大懸念を背景に、米景気の先行き不透明感も加わった。東京市場では、海外市場の流れを受けて、日経平均株価が下落となり、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなっている。
本日の米国市場では、9月のNY連銀製造業景気指数、8月の米鉱工業生産の発表が予定されており、ともに前回からの低下が予想されている。ただ、小幅な低下に留まるとの見方から、反応は限定的と見られているが、予想以上の低下となる場合には米景気の先行き不透明感が再び意識される可能性も考えられることから、結果が注目される。
9/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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18.0 | 18.3 |
前回は市場予想を下回り、過去最高となった7月の結果から低下した。新規受注、雇用者数が前月から大きく低下したものの、販売価格は過去最高を更新したことが下支え要因となった。今回も前回からの低下が予想されているものの、依然として高水準が維持され、景気の判断基準となるゼロを15ヵ月連続で上回ると予想されている。 | ||||
22:15 | 米国 |
8月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.4% | 0.9% |
前回は市場予想を上回り、3月以来の大幅な伸びとなった。サプライチェーンの混乱や原材料不足による影響が和らいでいることが示され、特に自動車関連が大幅な伸びとなったことが影響した。今回は、伸び幅の縮小が予想されているものの、プラスが継続すると見られており、前回大幅な伸びとなった自動車関連の好調が続くのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/円は、一目均衡表の雲の中に入り込んだものの、その後雲を下抜けて雲下限ラインで上値が抑えられる展開が続いている。ただ、一目均衡表の基準線近辺で底固い動きも見られているが、ここから再び雲の中に入り込む動きとなるのか、基準線を下抜けて一段の下げとなるのか注目される。
目先の下値のポイントは、一目均衡表基準線の129.339となり、ここを下抜ける場合には直近安値の127.937を目指す展開も考えられる。さらに、目先の方向性を見る上で注目されるオシレーターのMACDでは、両線がクロスしており、ここから両線がゼロポイントを下抜ける場合には下げ継続を示唆する形状となることから、下振れには警戒したい。
一方、上値のポイントは一目均衡表の雲下限ラインとなり、本日は129.828に位置しているが、連日低下となり、来週20日には129.522まで低下することから、このタイミングで上抜けとなるのか注目される。完全に上抜けとなる場合には、直近高値の130.740を目指す展開も考えられる。さらに、130.740を上抜ける場合の上値目標の計算値は現時点で132.133となる。