前営業日トピックス
東京市場では、序盤からドル円・クロス円は底固い動きとなったものの、日経平均株価が下落して始まり軟調な動きとなったことから、上値は限定的だった。しかし、午後に入り日経平均株価が上昇に転じ、一時360円超上昇したことから、投資家のリスク選好の動きが強まり、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して堅調な動きとなった。ドルは、米長期金利の低下もあり、上値の重い動きとなった。
米国市場では、欧州主要株価指数や米株価先物が下げ幅を拡大したことを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。ただ、序盤に発表された6月の住宅価格指数が良好な結果となったことを受けて、ドル/円は持ち直した。しかし、8月の米消費者信頼感指数が市場予想を大幅に下回る結果となったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して下落となり、対円では一時109.59まで下落して8/24以来の安値を付けた。その後は下げ一服となり、値頃感の買い戻しに加え、月末のロンドンフィキシングに向けたドル買いを背景に、ルはスイスを除く対主要通貨で全面高となった。
米株式市場では、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大を受けて、米景気回復のペースが減速するとの懸念を背景に、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。また、米消費者信頼感指数が予想以上の大幅な低下となったことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、39.11ドル安(-0.11%)で終了、一方ハイテク株中心のナスダックは6.66ポイント安(-0.04%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ドル/円は、前日の高値の109.96を上抜けて109.98まで上昇したものの、110円台を前にして上値の重い動きとなった。さらに、下落して始まった日経平均株価が前日比187円安まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、月末に伴う実需のドル売りが観測されたこともドルの圧迫要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が前日比340円高まで上げ幅を拡大したことを好感して、投資家のリスク選好の動き円が売られる動きとなり、欧州通貨や資源国通貨が円やドルに対して堅調な動きとなった。一方、先週後半から米長期金利の低下が続いたこともあり、ドルは対円で110円台を前にして上値の重い動きが続いた。
(3)欧州主要株価指数や米株価先物が下げ幅を拡大したことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。米国市場では、序盤に発表された6月の住宅価格指数が過去最高の伸びとなったことを受けて、ドル/円は109.65から109.88まで持ち直した。しかし、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の米消費者信頼感指数がともに市場予想を下回る結果となったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して下落し、対円では109.59まで下落、8/24以来の安値となった。一方、米主要株価指数が序盤から下落したことを受けて、クロス円も軟調な動きとなった。
(4)下げ一服後は値頃感の買い戻しに加え、月末のロンドンフィキシングに向けたドル買いを受けて、ドルはスイスを除く対主要通貨で全面となった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.268%から1.313%まで上昇したことも加わり、ドル/円は110円台を回復し、110円台を維持して終了した。一方、クロス円も底固い動きが続いた。
本日のトピックス
前日の米国市場では、8月の米消費者信頼感指数が予想以上の低下となったことが嫌気されて、ドル円は一時8/24以来の安値まで下落したが、先週後半から低下が続いた米10年債利回りが持ち直し、1.26%台から1.32%台まで上昇したことから、ドル/円も110円台まで回復した。東京市場ではその流れを引き継ぎ、110.20まで上昇する動きとなっている。ただ、米国の主要経済指標が悪化したことで、量的緩和の縮小開始時期の後退との懸念もあり、週末の雇用統計に対する関心が高いことから、ADP雇用統計の注目度も高まっている。
8月の米ADP雇用統計は、前月から伸び幅の大幅な改善が予想されている。予想通りの伸び幅の拡大となる場合には、週末の米雇用統計に対する期待感が高まるとともに、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)に向けた期待感が先行する可能性も考えられる。一方、8月の米ISM製造業景況指数は、3ヵ月連続の低下が予想されているが、依然として高水準を維持すると見られることから、予想以上の低下とならなければ懸念要因とはならないと見られている。
9/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
8月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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63.8万人 | 33.0万人 |
前回は市場予想を下回る伸びとなり、2月以来の低い伸びとなった。経済の改善が見られるものの、変異株の感染拡大などもあり、雇用確保が困難な状況であることが示された。今回は、前回から大幅な伸びが予想されており、変異株の感染拡大が懸念されているものの、失業給付の上乗せなども大半の州で前倒しが終了していることもあり、今後は雇用が拡大するとの見方もある。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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58.5 | 59.5 |
前回は市場予想を下回る結果となり、1月以来の低水準となった。依然として高水準が続いているものの、サプライチェーンの混乱による原材料不足などが影響して、2ヵ月連続の低下となった。今回も前回からの低下が予想されており、供給への懸念が引き続き影響すると見られている。ただ、減少した在庫不足解消のため生産が促されるとの見方もあり、大きな低下にはならないと見られている。 |