前営業日トピックス
東京市場では、序盤から日経平均株価が250円超上昇したことや、実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、その後は、日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなったことから、やや上値の重い動きも見られた。欧州時間に入り、時間外取引の米長期金利が上昇したこともあり、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では一時110.80まで上昇し、7/7以来の高値を更新した。一方、クロス円もドル/円の上昇を受けて底固い動きとなった。
米国市場では序盤に発表された7月の米消費者物価指数が前月比で市場予想を下回り、前月からも伸び幅が低下したことから、米国の量的緩和策縮小(テーパリング)開始への圧力が和らいだとの見方が広がり、ドルは主要通貨に対して下落となった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は一時110.31まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
米株式市場では、7月の米消費者物価指数の上昇率が前月から低下したことを受けて、インフレ加速への懸念が和らいだことから、主要株価指数は堅調な動きとなった。さらに、前日に米上院でインフラ投資法案が可決されたことも引き続き押し上げ要因となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きが続き、一時前日比236ドル高まで上昇して取引時間中の最高値を更新した。引けにかけては高値圏を維持し、220.30ドル高(+0.62%)で終了、終値ベースの最高値も2日連続で更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から、堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が上昇して始まり、前日比258円高まで上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。また、実需のドル買いが観測されたこともあり、仲値公示近辺にかけてドルは上昇となり、対円では前日の高値の110.60を上抜けて110.69まで上昇した。
(2)仲値通過後は、日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなったことや、7月の米消費者物価指数が発表を控えて様子見ムードも高まっており、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、日本の株式市場の終了後に、時間外取引の米10年債利回りが上昇し、7/13以来の高水準となったことから、ドルは対円で110.80まで上昇し、7/7以来の高値を更新した。一方、クロス円もドル/円の上昇に連れて底固い動きとなった。
(3)上昇一服後、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、米国市場では、序盤に発表された7月の米消費者物価指数が前月比で市場予想を下回り、前月からも伸び幅が低下したことから、米国の量的緩和策縮小(テーパリング)開始への圧力が和らいだとの見方が広がり、ドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は110.39まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
(4)その後、ドル/円は110.50台まで持ち直したが、米10年債入札が堅調だったことから債券買いが優勢(利回りは低下)となり、米10年債利回りが1.357%から1.300%まで低下したことからドルは一段の下落となり、対円では一時110.31まで下落した。
本日のトピックス
昨日発表の7月の米消費者物価指数は、前月比ベースで伸び幅が縮小したことから、テーパリングに対する思惑からドルが主要通貨に対して下落した。今月26日から始まるジャクソンホールシンポジウムでのパウエルFRB議長の講演までは、指標結果や当局者の発言などで思惑が交錯する展開が続く可能性が考えられる。
欧州時間には、トルコ中銀の金融政策発表が予定されている。政策金利は据え置き予想だが、予想通りなら反応は限定的だが、予想外の結果となる場合には、トルコリラが大きく動く可能性もあることから、結果に注目したい。また、当局者や要人の発言には注意したい。
米国時間では、米新規失業保険申請件数、7月の米生産者物価指数の発表が予定されており、前者は前週から更に改善が予想されており、後者は前月から物価上昇の伸びが落ち着くと見られている。マーケットでは、8/26からのジャクソンホール会議でパウエルFRB議長がテーパリング開始時期について言及すると見ており、それを左右する上で雇用や物価関連の経済指標の結果に敏感になっていることから、結果には注目したい。
8/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(8/7までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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37.5万件 | 38.5万件 |
前回は2週連続の減少となり、一方の失業保険継続受給者数はコロナ感染拡大後初めて300万件台を下回る結果となり、労働市場の改善が進んでいることが示された。今回は、ともに小幅減少が予想されており、引き続き労働市場の改善が進むのか注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
7月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.6% | 1.0% |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、商品価格やサプライチェーンの混乱で、企業が一段の価格上圧力にさらされていることが示された。サービスのコスト上昇が目立ち、生産者物価指数全体の6割を占めた。今回は、価格上昇が落ち着いておらず、引き続き高い伸びが予想されている。 |