前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場で大幅な動きとなった反動もあり、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その中で、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じ、上げ幅を拡大したことや、実需のドル買い・円売りが観測されたことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、その後は目立った材料もなく、小動きの展開が続いた。欧州時間に入り、ユーロやポンドがドルや円に対して堅調な動きとなった。その後、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下げ幅を拡大したことや、米長期金利の下落も加わり、ドル/円は一時109.41まで下落した。
米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が2週連続の減少となったことを受けて、米雇用情勢の改善期待が高まり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の上昇も加わり、ドル/円は109.79まで上昇し、7/30以来約1週間ぶりの高値となった。一方、ドル/円の上昇に加え、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことから、クロス円も堅調な動きとなった。上昇一服後は、本日の米雇用統計を控えて様子見ムードも強まり、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。
米株式市場では、米新規失業保険申請件数が2週連続で減少したことを好感して、雇用改善期待が高まり、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、終盤に前日比274ドル高まで上昇、高値圏を維持したまま271.58ドル高(+0.78%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、114.59ポイント高(+0.78%)で終了して4営業日続伸、取引時間中、終値ベースの最高値をそれぞれ更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じ、前日比157円高まで上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、五・十日で実需のドル買い・円売りが観測されたことも押し上げに寄与した。
(2)その後は、前日の海外市場で大きな動きとなった反動に加え、本日の米雇用関連の経済指標の発表が予定されていることで様子見ムードが強まったことも影響し、ドル円・クロス円は狭いレンジ内の動きが続いた。欧州時間に入り、欧州勢が欧州通貨買いを先行させたことから、ポンドやユーロはドルや円に対して上昇した。その後、米長期金利が低下したことや、欧州通貨や資源国通貨に対してドルが下げ幅を拡大したことから、対円でも109.41まで下落した。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が2週連続の減少となったことや、失業保険継続受給者数が昨年3月以来の低水準まで改善したことを受けて、雇用情勢の改善期待が高まり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.167%から1.226%まで上昇したことも加わり、ドル/円は109.79まで上昇し、7/30以来約1週間ぶりの高値となった。一方、ドル/円の上昇に加え、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことから、欧州通貨や資源国通貨は対円で堅調な動きとなった。
(4)上昇一服後は、週末の米雇用統計を控えて様子見ムードも強まり、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。一方、南アフリカの財務相が辞任したとの報道を受けて、南ア・ランドは主要通貨に対して下落となり、ドルと円に対して7/29以来の安値を付けた。
本日のトピックス
本日は、米国の雇用統計の発表が予定されており、様子見ムードが高まっていることから、結果発表までは限定的な動きが続く可能性が考えられる。
7月の米雇用統計は、前回6月の非農業部門雇用者数が高い伸びとなったものの、失業率が予想外の悪化となったことが影響し、ドルは軟調な動きとなった。今回、雇用者数の高い伸びが維持されるのか、また失業率は前回から改善するのか注目されている。
良好な結果となれば、8月下旬のジャクソンホール・シンポジウム、または9月のFOMC(メンバーの経済予想が発表される)で、量的緩和策の縮小(テーパリング)開始時期が表明される可能性が高まると考えられる。ただ、先に発表された7月のADP雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことから、一部では非農業部門雇用者数も前回結果から大幅な縮小となると予想する向きもあり、結果が注目されている。
8/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
7月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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85.8万人 | 85.0万人 |
前回は2ヵ月連続で前月の伸びを上回る結果となり、10ヵ月ぶりの大幅な伸びとなった。経済活動再開の動きが広がったことで、企業の人材確保が進んでいることが示された。今回は、引き続き前月の結果を上回ると予想されており、雇用回復が進んでいることが示されると見られている。ただ、先に発表されたADP雇用統計が予想を大幅に下回る伸びとなったこともあり、一部では前回結果を大きく下回ると予想する向きもある。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲を下抜けて一段の下落となったが、下落一服後は持ち直して再び雲の中に入り込む動きとなっている。
目先の上値のポイントは、111.661からのトレンドライン(本日は109.98近辺)、次いで一目均衡表の基準線となる。相場の方向性を示すとされる基準線は、110.191で横ばいとなっているが、週明け9日には109.955、12日の109.709まで連日低下することから、このタイミングで基準線を上抜けることができるのか、逆に基準線の動きに沿って軟調な動きとなるのか注目される。
下値のポイントは雲下限ラインとなり、来週から雲下限ラインが切り上がることから、上下のポイントが狭まる展開となり、上下どちらに抜けるのか注目したい。
また、目先の動きをみる上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が狭まっている。前回は、ゼロポイント近辺でクロスしたものの重い動きとなったが、今回はクロス後に乖離幅が拡大する展開となるのかに注目したい。
気まぐれ投資コラム
雇用者数は、前月並みに高い伸びが続くのか?
本日、米国時間に7月の米雇用統計の発表が予定されている。前回の6月の統計では、非農業部門雇用者数が+85.0万人(市場予想+72.0万人)となったものの、失業率が予想外の悪化となったことから、ドルは一転して下落となった。今回は、非農業部門雇用者数の堅調さが維持されるのか、失業率は改善するのか注目されている。
今回の市場予想は、非農業部門雇用者数が+85.8万人、失業率が5.7%となっている。ただ、先に発表された7月のADP雇用統計が市場予想を大幅に下回る伸びとなったことから、一部では非農業部門雇用者数も前回結果から大幅に伸び幅が縮小すると予想する向きもあり、結果が注目される。
過去最高水準の求人件数だったものの、これまで雇用改善を抑えてられていた要因として、充実した失業保険の上乗せ給付などがあった。しかし、7月末で大半の週が前倒しで上乗せ給付金の廃止・終了(失効は9月末)を決定していることから、いよいよ雇用者数の大幅な改善に対する期待感も高まっている。
FOMCの声明では「雇用の最大化を目指す」とし、パウエルFRB議長は会見で「労働市場の状況は引き続き改善したが、なお時間がかかる」としている。これまでも完全雇用が最優先事項と表明している。2020年に消失した雇用者数は約940万人、今年ここまで雇用者数は+352.6万人となっている。さらに、ここから年末にかけて、雇用者数の改善が加速すれば、量的緩和策の縮小(テーパリング)開始時期の前倒し、利上げ時期の前倒しとなる可能性も期待される。
マーケットでは、量的緩和策の縮小(テーパリング)時期が注目されているが、それが明らかにされると見られているのが、8月下旬のジャクソンホール・シンポジウム、9月のFOMC(メンバーの経済予想が発表される)と見られている。そのため、今回と次回の米雇用統計の結果が重要視されている。雇用者数の改善ペースの目途が立てば、量的緩和策の縮小開始時期が早まる可能性も考えられる。また、ウォラーFRB理事は、向こう2回分の雇用統計で+80万人〜+100万人が続けば、FRBは10月までに量的緩和措の縮小に着手し、2022年の利上げに向けた体制を整える可能性があるとの見方を示している。
※出所:FX総合分析チャート
※出所:データを基にSBILMが作成