前営業日トピックス
前日のFOMC後のパウエルFRB議長の会見がハト派的だったことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、東京市場でもその流れを受けて序盤から上値の重い動きとなった。加えて、月末を控えた実需のドル売りにも押されて、ドル/円は軟調な動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は、日経平均株価が堅調な動きとなったことや、対ドルで上昇したことから、対円でも底固い動きとなった。その後、欧州主要株価指数や米株価先物が堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が冴えない結果となったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は109.61まで下落したものの、その後米長期金利が上昇したことに連れてドル/円も109.91まで回復した。ただ、前日のパウエルFRB議長の慎重な発言が引き続き材料視されたことがドルの圧迫要因となったほか、欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも109.42まで下落し、7/20以来の安値となった。
米株式市場では、前日のFRB議長の会見が引き続き材料視され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、4-6月期の米GDP速報値が市場予想を下回ったことでFRBの政策変更に時間を要するとの見方が広がったことも支援材料となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比240ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。その後、上げ幅を縮小したものの、153.60ドル高(+0.44%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日のFOMC後のパウエルFRB議長の会見がハト派的だったことを受けて下落した海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して上値の重い動きとなった。さらに、月末を控えた実需のドル売りも観測され、ドル/円は一時前日の安値の109.75を下回り、109.69まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで底固い動きとなったものの、ドル/円の下落に連れて対円で軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、米長期金利が上昇したことから、ドル/円も109.83まで値を戻したものの、上値の重い動きが続いた。一方、クロス円は、日経平均株価が午後に上げ幅を拡大したことや、対ドルでの上昇が続いたことから堅調な動きとなった。さらに、欧州時間には欧州主要株価指数や米株価先物が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。特に欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上げ幅を拡大したことから、対円でも堅調な動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された4-6月期の米GDP速報値が市場予想を大幅に下回ったほか、米新規失業保険申請件数が予想を上回る結果となったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は109.61まで下落したものの、その後米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.242%から1.281%まで上昇したことに連れて、ドル/円も109.91まで回復した。
(4)上昇一服後、4-6月期GDPが改めて懸念されたことや、前日のパウエルFRB議長の会見内容が引き続き材料視され、量的金融緩和政策の縮小開始には時間を要するとの見方が広がったことがドルの圧迫要因となった。さらに、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも軟調な動きが続き、終盤には先週7/20以来の安値となる109.42まで下落した。
本日のトピックス
昨晩発表された米経済指標が冴えない結果となったことで、量的緩和策の縮小(テーパリング)時期の後退との思惑が広がり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。特に、一昨日のFOMC後の会見でパウエルFRB議長が「テーパリングの時期は経済データ次第」と発言したことで敏感に反応したと見られている。そのため、本日の米経済指標の結果も注目される。
本日の米国では、6月の米個人支出、7月シカゴ購買部協会景気指数、7月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が注目されている。前月は、いずれも市場予想を大きく下回る結果となり、ドルの圧迫要因となった。今回は前回から改善が見られるかどうか注目されており、悪化が続くようなら前日のドル売りの流れを引き継ぐ可能性も考えられる。
7/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
6月個人支出(前月比)
1ヶ月間に、耐久財(自動車や家電製品など)や、非耐久財(食品や衣料など)、サービス支出(外食・旅行など)において、実際に個人が消費支出した金額について集計した経済指標。
|
0.7% | 0.0% |
前回は市場予想を下回り、前月比横ばいとなった。サービスへの支出が増えた一方、財への支出が減少したことが影響した。今回は、前月からの伸びが予想されており、サービスへの支出がコロナ感染拡大以来の高水準まで改善しており、引き続きサービスへの支出の拡大が予想されている。その中で、個人所得が2ヵ月連続で減少、今回もマイナスが予想されており、支出に影響するとの見方もある。 | ||||
22:45 | 米国 |
7月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
|
63.3 | 66.1 |
前回は市場予想に反して大幅低下となり、1973年12月以来の高水準となった5月の結果(75.2)から低下した。5月の反動が指摘されたが、依然として景気の拡大縮小の判断基準となる50を上回っており、製造業の好調さが維持されていることが示された。今回は、さらに低下が予想されているが、高水準を維持する予想通りの結果となれば、懸念要因にはならないと見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
|
80.8 | 80.8 |
前回の速報値は、市場予想に反して大きく低下し、2月以来の低水準となった。1年先のインフレ期待が4.8%と2008年8月以来の高水準となり、物価上昇への消費者の懸念が高まってことが要因と見られている。現況指数は昨年8月以来の低水準、期待指数も5ヵ月ぶりの低水準となった。今回の確報値では、横ばいが予想されており、インフレ期待の修正があるか注目したい。 |