前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から180円超上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、新型コロナウイルスの変異種が欧州で拡大していることもあり、相対的に円を買う動きが続いており、ドル円・クロス円の上値は限定的だった。その後、日経平均株価がマイナス圏まで下落したことに加え、欧州主要株価指数も軟調な動きとなったことから、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、月末・期末のロンドンフィキシングに向けてドル買いが観測されたこともドルの押し上げ要因となり、ドル/円は一時111.12まで上昇し、2020年3/26以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで軟調な動きとなったものの、米ダウ平均株価が上昇したこともあり、対円では堅調な動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均が序盤に46ドル安まで下落したものの、米経済指標が良好な結果となったことや、米長期金利が低下し、インフレ加速への懸念が和らいだことを好感し、終盤には一時前日比260ドル高まで上昇し、6/11以来の高値を付けた。ただ、引けにかけてやや上げ幅を縮小し、210.22ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、連日最高値を更新していたこともあり、利益確定の売りが優勢となり、24.38ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から上昇し、一時前日比186円高まで上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は一時110.60まで上昇したものの、上値は限定的だった。その後は、日経平均株価が下落に転じたことも加わり、軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価がマイナス圏まで下落したことからドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。さらに、月末・四半期末であったことから、積極的な売買が手控えられたとの見方もあった。欧州時間では、欧州主要株価指数が下落したことが嫌気され、欧州通貨や資源国通貨は軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された6月ADP雇用統計が市場予想を上回る伸びとなり、労働市場の回復進展が示唆され、週末の米雇用統計に対する期待感が高まったことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、その後に発表された5月中古住宅販仮契約が市場予想に反して2ヵ月ぶり上昇となったことに加え、月末・期末のロンドンフィキシングに向けたドル買いが観測されたことから、ドルは主要通貨に対して一段の上昇となった。
(4)ドルは終盤まで主要通貨に対して堅調な動きが続き、対円では一時111.12まで上昇し、6/24の高値となる111.11を上抜けて2020年3/26以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで軟調な動きとなったものの、米ダウ平均株価が上昇したこともあり、対円では堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
ドル/円は、前日の海外市場で6/24に付けた111.11を上抜けて、111.12まで上昇した。東京市場では朝方から昨日の高値を更新したが、その後はやや上値の重い動きとなっている。米雇用関連の経済指標が良好な結果となったことで、週末の米雇用統計に対する期待が高まったこと、さらに米金融緩和策の早期縮小への期待感もドルの押し上げに寄与した。
その中で、111円台を維持できるかが注目されるが、111円台を割り込んだ場合でも底固い動きが続くと見られている。その中で、本日の米国市場では、新規失業保険申請件数、6月ISM製造業景況指数の発表が予定されており、良好な結果ならさらに米雇用統計に対する期待感が高まり、ドルの押し上げに寄与する可能性も考えられる。
一方、欧州では新型コロナウイルスの変異株の感染拡大がユーロの圧迫要因となっている。対円では、昨日ドル/円の上昇に連れ高となったが、対ドルでは引き続き軟調な動きが続いており、ここからの動きが注目される。経済指標では、欧州やドイツの6月の製造業PMI発表が予定されているが、確報値であることから、反応は限定的と見られている。
7/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/26までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
38.0万件 | 41.1万件 |
前回は市場予想を上回り、2週連続で40万件を上回った。一部地区で大きく増加したことが改善ペースを後退させる要因となったと見られている。今回は、再び40万件を下回り、改善が進むのかどうか注目したい。また、一部では、2020年3月以来の低水準となった6/4までの週の37.4万件を下回る改善を期待する向きもある。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
|
61.0 | 61.2 |
前回は市場予想を上回る結果となり、4月から小幅改善となった。新規受注が17年ぶりの高水準に迫る結果となったものの、雇用は2ヵ月連続の低下となり、2020年11月以来の低水準となった。今回は、前月からほぼ横ばいが予想されているが、特に低下が続いている雇用指数が改善するのか注目したい。 |