前営業日トピックス
東京市場では、中国の貿易収支が予想以上の好結果となったことや、バイデン次期米大統領の経済対策が2兆ドル規模になるとの報道を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したこともドルの押し上げ要因となった。一方、午後に入り日経平均株価が一時前日比500円超上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。しかし、終盤に上げ幅を縮小したこともから、上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用関連の経済指標が大幅に悪化となったことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。一方、米主要株価指数が上昇して始まったことからクロス円は堅調な動きとなったが、ユーロはECB理事会の議事要旨でユーロ高に対する懸念が示されたこともあり、上値の重い動きとなった。ドル/円は、一時103.56まで下落したものの、終盤に米主要株価がマイナス圏まで下落したことや、米長期金利が上昇したことも加わり、底固い動きとなった。
米株式市場では、バイデン氏の追加経済対策を期待した買いが先行し、ダウ平均株価は序盤に一時前日比163ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新する動きとなるなど、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、米雇用関連の経済指標が予想以上の悪化となったことなどもあり、主要株価指数は売りが優勢となり、小幅安となった。ダウ平均株価は、68.95ドル安(-0.22%)、ナスダックは序盤に取引時間中の最高値を更新したものの、終盤にマイナス圏まで下落し、16.31ポイント安(-0.12%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、米国債利回りの低下もあり、ドルは対円で上値の重い動きとなった。
(2)バイデン次期大統領の追加経済対策は2兆ドル規模との報道を受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は一時104.20まで上昇した。さらに、米10年債利回りが1.0730%から1.1155%まで上昇したこともドルの押し上げに寄与した。一方、日経平均株価が前日比522円高まで上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。しかし、上昇一服後には、日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が市場予想を上回る大幅な増加となったことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が上昇して始まり、ダウ平均とナスダックが取引時間中の最高値を更新する動きとなったことも加わり、ドルは上値の重い動きとなった。一方、クロス円は株価上昇を受けて、堅調な動きとなった。ただ、ユーロはECB理事会の議事要旨でユーロ高を懸念する意見があったことが改めて明らかになったことや、イタリアの政治的な混乱も念要因となり、ユーロは欧州時間から軟調な動きが続き、一時対ドルで昨年12/11以来、対円で12/21以来の安値を付けた。パウエルFRB議長が講演で、利上げ時期は近くない、出口戦略を話す時期ではないと、ハト派的な発言を受けて、ドルは一段の下げとなった。
(4)下げ一服後は、米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落したことや、米長期金利が上昇したことから、ドルは底固い動きとなった。
本日のトピックス
東京時間の序盤に、バイデン次期米大統領が会見で1.9兆ドル規模の経済対策を打ち出すことを明らかにしたが、前日にすでに報道されていたことから、反応は限定的だった。その中で、米10年債利回りが低下したこともあり、ドルは上値の重い動きとなっており、引き続き長期金利の動きが注目される。
また、パウエル米FRB議長が昨晩の講演で「利上げ時期は近くない」とハト派的な発言をしたことも、ドルの圧迫要因となっている可能性も考えられる。一方、ECB理事会の議事要旨からユーロ高を懸念する声があったことが明らかとなり、ユーロも上値の重い動きとなっている。そのため、マーケットの注目がポンドやオセアニア通貨に向く可能性もあり、ポンドやオセアニア通貨値動きが注目される。米国市場では、主要な経済指標の発表が予定されているが、特に個人消費や消費者のマインド指数の結果には注目したい。
1/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
12月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.0% | -1.1% |
前回は市場予想を下回る結果となり、2ヵ月連続のマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染再拡大や、追加経済対策が難航していることが影響した。今回は、前月から伸びるのか、3ヵ月連続でマイナスとなるのか注目されている。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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5.5 | 4.9 |
前回は市場予想を下回り、3ヵ月連続の低下となった。雇用は上昇したものの、新規受注が低下したことが影響した。一方、6ヵ月先の予想は、2ヵ月連続の上昇となり、追加対策やワクチン接種などもあり、楽観視されていることが示された。今回は、小幅上昇が予想されており、判断基準となるゼロ以上は維持されると見られている。 | ||||
23:15 | 米国 |
12月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.4% | 0.4% |
前回は市場予想を上回ったものの、10月の結果からは低下した。公益事業、鉱業が前月から上昇したものの、製造業が低下したことが影響した。今回は、前月と変わらずの伸びが予想されており、底固さが維持されるのか注目されている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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80.0 | 80.7 |
前回12月の確報値は、市場予想を上回る結果となり、速報値から下方修正されたものの、前月比では上昇となり、現在、先行景況感ともに11月の結果から上昇したことが影響した。今回は、小幅縮小が予想されており、感染拡大前と比較すると、消費者のマインド改善には時間要すると見られている。 |