前営業日トピックス
ポンドは13日に英国とEUの通商協議が継続されることを好感し、欧州通貨を中心にドルや円に対してギャップアップして始まった。ドルは欧州通貨などに対して下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。一方、日経平均株価が前週末比200円超上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。ただ、新規材料に乏しく、やや限定的な動きが続いた。その後、欧州通貨や資源国通貨が対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。一方、ドルは対円で上値の重い動きが続いた。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、米国で新型コロナのワクチン接種が開始されたことが好感され、米主要株価指数が上昇して始まったことからドルや円が売られ、クロス円は堅調な動きとなった。一方、ドルは米国債利回りの低下も加わり、対円で一時103.51まで下落し、11/9以来の安値となった。その後、ロンドンやニューヨーク市で感染拡大による行動規制の強化を受けて米主要株価指数が上げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円は上値の重い動きとなった一方、ドル/円は値頃感の買い戻しに加え、米国でのワクチン接種開始、追加経済対策成立への期待感を背景に、主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では104.10まで上昇した。
米株式市場では、米国で新型コロナワクチンの接種が開始されたことを好感し、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、一時前週末比279ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。しかし、一部で再び制限措置が取られたことで、米経済活動の停滞を懸念して主要株価指数は上げ幅を縮小した。ダウ平均株価は、終盤にマイナス圏まで下落し、184.82ドル安(-0.62%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、62.17ポイント高(+0.50%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)英国とEUが通商協議の合意期限としていた13日以降も交渉を継続することで合意したことが好感され、英ポンドを中心に欧州通貨や豪ドルなどの資源国通貨が対ドルでギャップアップして始まり、対円でもギャップアップして始まった。一方、ドルは主要通貨に対して下落したことから、対円でも一時103.85まで下落した。その後、クロス円は上値の重い動きとなったものの、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前週末比217円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を縮小したものの、新規材料に乏しい中で、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。その後、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下落となり、対円でも軟調な動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、米国で米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されたことが好感され、米主要株価指数が上昇して始まったこともあり、投資家のリスク選好の動きから、ドルや円が売られる動きとなり、クロス円は堅調な動きとなった。ドルは、米国債利回りの低下も加わり、対円で一時103.51まで下落し、11/9以来の安値となった。一方、英国とEUの交渉期間が延長されたことや、協議進展しているとの関係者の発言を受けて、ポンドは欧州時間で堅調な動きが続いていたものの、英首相報道官が合意なしの可能性もあり得ると発言したこともあり、米国時間では序盤から軟調な動きとなった。
(4)その後、ロンドンやニューヨーク市で感染拡大による行動規制の強化を受けて米主要株価指数が上げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円は上値の重い動きとなった。一方、ドル/円は値頃感の買い戻しに加え、米国でのワクチン接種開始、追加経済対策成立への期待感を背景に、主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では104.10まで上昇した。ただ、米10年債利回りが序盤の0.937%から0.886%まで低下したことから、ドルは上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
昨日から米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されており、今後は接種のペースやワクチンの効果が注目されるが、効果を判断するには時間を要するだろう。現状では依然として感染者数が増加しており、ニューヨーク市では14日から店内飲食が禁止されるなど制限措置が取られており、再び米経済活動の停滞が懸念されていることから上値は限定的と考えられる。
米国市場では、11月のニューヨーク連銀製造業景気指数や、11月の鉱工業生産の発表が予定されているものの、マーケットの注目は米追加経済対策が年内に合意できるのかどうかであり、合意できなければ、米経済への影響が懸念される。さらに、本日からFOMCが開催されることから、どのような議論がされているのか注目されており、明日の結果発表や声明、パウエルFRB議長の改善での発言が注目されており、やや様子見ムードが強まる可能性も考えられる。
12/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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6.9 | 6.3 |
前回は市場予想を下回る結果となり、2ヵ月連続の低下となった。しかし、景気の判断基準である50は5ヵ月連続で上回っており、製造業の改善が続いていることが示された。新規受注、出荷が前月から大幅に低下したことが影響した。今回は、改善が予想されているが、特に新規受注、出荷が改善しているのか注目される。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月輸入物価指数(前月比)
輸入物価指数は、輸入時の価格を指数化したものであり、特に、他の物価関連の指標と同様に国内のインフレ動向の先行指標の一つとして注目される経済指標。ただ、輸入時ということで、原油相場や為替相場の影響を受ける傾向にある。
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0.3% | -0.1% |
前回は4ヵ月連続の低下となり、6ヵ月ぶりにマイナス圏まで落ち込んだ。石油や資材が2ヵ月連続のとなったことが影響した。今回は、プラス改善が予想されており、引き続き改善が示されるのか注目されている。 | ||||
23:15 | 米国 |
11月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.3% | 1.1% |
前回は市場予想を上回る結果となり、5ヵ月ぶりのマイナスに低下した9月の結果から改善した。公益事業が前月から大きく改善したことや、製造業が引き続き良好な結果となったことが影響した。今回は、前月から伸び幅の低下が予想されており、プラスが維持されるのか注目したい。 |