前営業日トピックス
日本市場が休場となり、序盤は小動きの展開となったものの、米中対立激化懸念を背景に中国株が下落して始まったことから、投資家のリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、欧州時間にはドイツや欧州の経済指標が予想以上の改善となったことから、底固い動きも見られた。
米国市場では、中国政府が米国政府のテキサス州の中国総領事館閉鎖命令の報復で、四川省の米総領事館の閉鎖を要求したことから、米中関係悪化で米主要株価指数が下落するなど、投資家のリスク回避の動きが広がり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドルは、欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも105.68まで下落し、3/16以来の安値となった。下げ一服後は値を戻した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比249ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、182ドル安(-0.68%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、98ポイント安(-0.94%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日本市場が休場となり、新規材料に乏しい中、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることや、米政府がテキサス州の中国総領事館の閉鎖を命令したことから、米中対立が激化するとの懸念が高まり、中国株などアジア株が下落するなど、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円クロス円は軟調な動きとなった。
(2)ドイツや欧州の7月の製造業PMIが軒並み改善したことから、欧州時間にはやや値を戻したものの、米国市場では、米国政府がテキサス州の中国総領事館の閉鎖命令を出した報復として、中国政府が四川省の米総領事館の閉鎖を要求したことを受けて、米中関係がさらに悪化するとの懸念が広がり、米主要株価指数が下落するなど、リスク回避の動きからドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米当局がサンフランシスコの中国総領事館に逃げ込んだ中国人研究者を拘束したとの報道も圧迫要因となった。ドルは、対ユーロで2018年9/27日以来の安値を付けるなど、欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも105.68まで下落し、3/16以来の安値となった。
(3)下げ一服後は値を戻したが、特にドルはユーロやポンドなど主要通貨に対して軟調な動きが続いたことから、対円での戻りは限定的だった。一方、ユーロやポンドは対円で大幅に値を戻した。
本日のトピックス
米中両政府が、双方の総領事館の閉鎖を命令したことで、両国の対立激化懸念が高まり、先週末にリスク回避の動きが強まった。特に、ドル/円は5/7に付けた105.99を下抜けて一段の下げとなった。しかし、終値では106円台まで戻していることから、本日の動きが注目される。106円台を維持して底固い動きとなるのか、106円台で上値の重い動きとなり、先週末の安値である105.68を下抜ける展開となるのか注目される。
米国市場では、耐久財受注の発表が予定されており、前回の大幅上昇から上昇幅が縮小するものの、依然として大きな上昇となると予想されているが、マーケットの反応は限定的と見られている。むしろ、米中対立に関する報道や、新型コロナウイルス感染拡大の勢いが収まっていないことが引き続きドルの圧迫材料になる可能性も考えられる。
7/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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7.0% | 15.7% |
前回は市場予想を下回ったものの、2014年7月以来の大幅な上昇となった。経済活動の再開が進んだことから、製品や設備の需要が回復した。今回は、上昇幅の縮小が予想されているものの、引き続き大きな上昇幅が予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、下値のサポートと見られていた105.99を下抜けて、105.68まで下落しました。そこから一旦106円台まで値を戻しましたが、ここからの動きが注目されています。
下値のポイントは、直近安値の105.682、ここを下抜ける場合には一段の下げとなる可能性も考えられます。その場合の下値目標の計算値は105.443と計算できます。さらに、6/23の安値である106.075を下抜けたことによる下値目標の計算値は104.385となります。
上値のポイントは、106.000(前週末終値)、106.075(直近の下値サポー)近辺と考えられ、ここを上抜ければ一段の戻りも考えられます。