前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて底固い動きとなり、ドル/円は海外市場でつけた高値107.98を上抜けて、108.16まで上昇した。しかし、108円台では輸入企業のドル売りに加え、利益確定売りも観測され、107円台まで押し戻された。その後、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じ、下げ幅を拡大して終了したことや、欧州主要株価指数、米株価先物が軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。序盤に発表されたADP雇用統計やISM製造業景況指数が良好な結果となったことから、ドルは底固い動きとなった。さらに、米医薬品大手が新型コロナウイルスのワクチン臨床試験で良好な結果が得られたと発表したことが好感され、主要株価指数が上昇するなど投資家のリスク選好の動きが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、ドルはユーロやポンドなど主要通貨に対して下落したことから、対円でも上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が上昇して始まり、一時前日比206ドル高まで上昇した。その後はマイナス圏まで下落する動きとなり、77ドル安(-0.30%)で終了し、3営業日ぶりの反落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは95ポイント高(+0.95%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。その後、米10年債利回りが0.656%から0.682%まで上昇し、ドル買い・円売りとなったこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は一時108.16まで上昇し、3週間ぶりに108円台乗せのとなった。
(2)108円台では実需のドル売りが観測されたこともあり、仲値公示にかけて失速した。さらに、上昇して始まった日経平均株価がマイナス圏に下落する動きとなり、午後には下げ幅を拡大して一時前日比で248円安まで下落したことや、米株価先物が軟調な動きとなったことも加わり、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。
(3)欧州市場では、欧州主要株価指数が序盤から軟調な動きとなり、下げ幅を拡大したことや、米株価先物の下落が続いたことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米国場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は軟調な展開で始まった。ドル/円は、序盤にこの日の安値となる107.36まで下落した。
(4)序盤に発表されたADP雇用統計が市場予想を下回ったものの、前回結果がプラスに大幅上方修正され、その後に発表されたISM製造業景況指数が2019年4月以来1年2ヵ月ぶりの高水準となり、製造業の景気拡大・縮小の判断基準となる50も4ヵ月ぶりに上回ったこともあり、ドルは底固い動きとなった。さらに、米医薬品大手がドイツ企業と開発した新型コロナウイルスのワクチン臨床試験で良好な結果が得られたと発表したことが好感され、主要株価指数が上昇するなど、投資家のリスク選好の動きが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、安全通貨の需要が後退したことから、ドルはユーロやポンドなどの欧州通貨や資源国通貨に対して下落し、対円でも上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
今週土曜日(7/4)が米国の独立記念日となり、金曜日(7/3)が振替休日になることから、今回の米雇用統計は前倒しで本日発表される予定。加えて、新規失業保険申請件数や貿易収支も同時刻に発表される予定であることから、重要指標の発表を控えて様子見ムードが強まる可能性もあり、発表まではやや限定的な動きが続く可能性も考えられる。
米雇用統計では、失業率の改善や非農業部門雇用者数増加が続くのか注目されており、米国で新型コロナウイルスの感染者数が再び増加している中で、改善となった場合のマーケットの反応が注目される。ただ、経済指標の発表後は、米国市場の3連休を控えて市場参加者も少なくなり、積極的な売買が手控えられる可能性も考えられる。
7/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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309.0万人 | 250.9万人 |
前回は市場予想に反して増加となり、4月の歴史的マイナスから回復しつつあることが示された。今回も雇用の増加が予想されており、消失した分の改善が進んでいることが示されると見られている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/27までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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133.6万件 | 148.0万件 |
前回は市場予想を上回る結果となり、12週連続の減少となったものの、雇用の回復ペースが鈍化していることが示された。今回は、さらに減少が予想されているものの、一部で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることから、改善ペースの鈍化傾向は続くのか注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-530億USD | -494億USD |
前回は市場予想と一致し、2ヵ月連続で赤字額が拡大となり、2019年8月以来の大きさとなった。新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、輸出入額が約10年ぶりの低水準に落ち込んだことが影響した。今回も赤字額の拡大が予想されており、予想通りの結果なら、2018年12月以来の大幅な赤字額となる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/円は高値から下落していますが、114.403から124.427までの上昇に対する半値押し(119.415)近辺で下げ止まり、やや持ち直しています。現状の動きを下げ途中の小休止の持ち合いパターンと見れば、現在5波動目の下げ途中と見ることもできます。5波動目で119.311からの下限ラインを下抜ける場合には、小休止が終了して、再び下げが加速する可能性も考えられます。そのため、下限ラインの下抜け、次いで119.311の下抜けには注目です。
上値のポイントは121.47となり、ここを上抜けて一目均衡表の基準線を上抜ける展開となるようなら、一段の上昇も考えられます。
気まぐれ投資コラム
米雇用統計、非農業部門雇用者数の消失分の穴埋めは進むか?
7/4の米国の独立記念日が土曜日に当たることから、7/3が振替休日となっており、そのため今回の米雇用統計は1日前倒しで発表される予定となっています。
チャートは、過去15年間の年間ベースの累計の非農業部門雇用者数の推移を表しています。リーマンショックの影響で2008年から2009年の2年間で-860.4万人の雇用が消失しましたが、消失分を回復するのに緑色の点線で囲まれた2010年から2014年5月までの約4年半の時間を要しています。
今回は、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停止となった影響で、米国の非農業部門雇用者数は4月に-2068.7万人と過去最大の減少幅を記録しました(1月からの累計は-2159.5万人)。今回の大幅なマイナスにより、赤色の点線で囲まれた2011年から2019年にかけて増加した雇用者数がほぼ帳消しになったことになり、リーマンショック時と比較すると、今回の労働市場への影響がいかに大きかったのかがよくわかります。
その後、5月には非農業部門雇用者数が+250.9万人と増加したことで、マイナス分を穴埋めしており、今年5月までの累計は-2159.5万人から-1908.6万人まで減少幅が縮小しています。今回の6月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数は+300万人が予想されており、予想通りの結果なら1608.6万人まで縮小します。
リーマンショックの状況と、今回の状況では違いがあることから、一概に単純比較はできませんが、年末にかけてどこまで雇用者数の消失分が改善されるのか注目されています。改善まで時間がかかる場合には、今後の米経済の改善にも影響する可能性も考えられます。
出所:データを基にSBILMが作成