前営業日トピックス
前日の海外市場の軟調な動きを引き継ぎ、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなった。一方、ユーロ/円やポンド/円などクロス円は、海外市場の流れを引き継ぎ序盤から堅調な動きとなった。その後、日経平均株価が上昇して始まり、午後に入り上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、米雇用統計の結果発表を控えてやや限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された4月の米雇用統計が予想程悪化しなかったことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は発表直前の106.31から106.72まで上昇した。しかし、上昇一服後は米2年債利回りが過去最低を付けるなど米国債利回りの低下もあり、ドル/円は106.39まで下落した。ただ、終盤にかけて米主要株価指数が軒並み上げ幅を拡大したことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は終盤に106.74まで上昇した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比474ドル高まで上昇した。その後も高値圏を維持し、455ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは141ポイント高で終了し、2ヵ月ぶりの高値となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の流れを受けて、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなった。ただ、日経平均株価が上昇して始まったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなり、ドル/円は106.46まで上昇した。しかし、その後は大幅な悪化が予想されている米雇用統計の発表を控えて、ポジション調整の動きなどからドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円では米国債利回りの低下も加わり、106.22まで下落した。
(2)午後に入り、一旦上げ幅を縮小していた日経平均株価が再び上昇に転じ、前日比500円超の上昇となったこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、ドル/円は米雇用統計を控えて様子見ムードも強く、狭いレンジ内の動きとなった。なお、米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相が電話協議を実施し、両国が経済と公衆衛生に関する協力強化で一致したとの報道があったが、目立った反応はなかった。
(3)米国市場では、序盤に発表された4月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数(結果-2050万人、予想-2200.0万人)や失業率(結果14.7%、予想16.0%)が過去最悪の結果となったものの、予想ほど悪化しなかったことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りが上昇したこともあり、ドル/円は発表直前の106.31から106.72まで上昇した。
(4)上昇一服後は米国債利回りが下落に転じ、2年債利回りが0.1032%と過去最低を付けたこともあり、ドル/円は106.39まで下落した。ただ、米国各地で経済活動の制限が緩和され始めていることなども好感され、終盤にかけて米主要株価指数が軒並み上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、NY市場中盤から終盤にかけてFRBが資金調達市場の安定に伴い国債購入ペースを減速する計画を発表したほか、急遽13日にパウエルFRB議長の会見が予定されたことでマイナス金利を否定するとの観測から過去最低まで低下した米2年債利回りが0.168%まで上昇するなど、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は106.74まで上昇した。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計では、大幅な悪化が予想されていたことから、マーケットではある程度織り込み済みだったものの、予想ほど悪化しなかったことが好感され、ドルは堅調な動きとなる場面もあった。ここまで経済指標の悪化が続いているものの、米株式市場では底固い動きが続いており、ダウ平均株価は2月の高値から3/23安値までの下落に対して半値戻しとなっており、ナスダックは70%以上値を戻している。
経済の改善が見られないことから、一部では株価の戻りは行き過ぎとの見方も出ている。その意味では、今週発表される米経済指標の結果が注目されるだろう。改善が見られれば、株価の上昇は正当化されるが、さらに悪化するようなら、株価の戻りは行き過ぎとの見方が広がる可能性もあり、結果が注目されるだろう。
FRBが年内にマイナス金利政策を導入するとの思惑もあり、政策金利の動向に敏感な米2年国債利回りが過去最低水準の0.1032%まで低下したが、NY市場中盤から終盤にかけてFRBが資金調達市場の安定に伴い国債購入ペースを減速する計画を発表したほか、急遽13日にパウエルFRB議長の会見が予定されたことでマイナス金利を否定するとの観測から、その後は0.1608%まで反発するなど、ドル相場の動きにも影響している。欧米で経済活動再開へ向けた期待感の高まりを背景に、リスク選好の動きも広がりつつあるが、一部では米中対立の激化を懸念する見方もあり、対立の激化などでリスク回避のムードが強まる可能性にも警戒する動きもある。
本日は、欧米の主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが予想されるが、注目度が高まっている米2年債利回りや、米株式市場の動きによっては、引き続き為替相場が左右される可能性がある。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル円は、一時一目均衡表の雲を下抜けましたが、再び雲の中に入り込む動きとなっています。ここから堅調な動きが続くのか、再び雲を下抜ける軟調な動きとなるのか注目されています。
雲下限ラインに加え、109.380からのトレンドラインを上抜けていることもあり、目先の底固い動きも見込まれています。さらに、オシレーターのMACDでは、両線のクロス間近となっていることから、クロスとなり目先の上昇を示唆する形状となることから、両線の形状にも注目です。
相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、低下傾向(横ばい含む)が続いており、ここまでの3日間は107.685で横ばいとなっています。ただ、明日から週末まで低下が続き、週末には107.287まで低下することから、このタイミングで基準線を上抜けることができるのか、基準線の低下に沿って軟調な動きとなるのか注目されます。