前営業日トピックス
アジア市場では、前日の米国市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ただ、日本市場が休場で新規材料に乏しいことから、やや下値は限定的だった。その中で、ECBが新たに導入した総額7500億ユーロの緊急購入プログラムに関して、ドイツ憲法裁判所が違憲と判断したことが引き続き影響して、ユーロはドルや円に対して軟調な動きが続いた。
米国市場では、欧州市場の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。しかし、ADP雇用統計で雇用者数の伸びが過去最悪の大幅な減少幅となったことで、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は、一時106円台割れまで下落して3/17以来の安値となった。一方、ユーロ圏の経済指標が悪化したことが影響し、ユーロはドルや円に対して下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が上昇して始まり、一時前日比171ドル高まで上昇した。しかし、その後は軟調な動きとなり、終盤には221ドル安まで下落する場面もあり、218ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、45ポイント高で続伸となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の軟調な動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。米経済指標の悪化に加え、ECBの総額7500億ユーロ規模の緊急購入プログラム(PEPP)について、ドイツ憲法裁判所が「違憲」と判断したことが嫌気されたことが引き続き影響し、ユーロは序盤から軟調な動きが続いた。
(2)日本市場が休場となり新規材料に乏しい中、その後は小動きの展開が続いた。その中で、ユーロ圏の小売売上高が過去最悪の減少となったことや、英建設業PMIが1997年の統計開始以来最低となったことから、ユーロとポンドはドルや円に対して軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。しかし、序盤に発表されたADP雇用統計では、雇用者数の伸びが過去最悪の大幅な減少幅となったことで、新型コロナウイルスの米経済への悪影響に対する懸念が高まり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は上値の重い動きが続き、一時106円台割れまで下落して3/17以来の安値となった。ただ、106円台割れは一時的となり、その後は底固い動きが続いた。一方、ユーロはドルや円に対して軟調な動きが続き、一時対ドルで4/24以来、対円では2016年11月以来の安値水準まで下落した。
本日のトピックス
昨晩発表されたADP雇用統計では、過去最悪の減少幅となり、週末の米雇用統計でも大幅な悪化になることが予想されている。ただ、発表を受けたマーケットの反応はやや限定的となっており、米経済指標の悪化によるドル売り、経済への影響拡大に対するリスク回避のドル買いなどが影響しているとも見られている。
ただ、ドルは下げ幅こそ大きくないものの、徐々に下値を切り下げていることから、今後の値動きには注意したい。その中で、本日は米新規失業保険申請件数の発表が予定されており、週末の雇用統計とともに今最も注目されている経済指標であることから、結果に注目したい。
ドル/円は、前日の海外市場で約1ヵ月半ぶりに106円台割れとなったが、106円台割れは一時的となり底固い動きとなっている。引き続き底固い動きが続くのか、再び106円台割れとなり目先の安値を更新する動きとなるのか注目される。さらに、ECBの緊急購入プログラム(PEPP)に関して、ドイツ憲法裁判所が違憲と判断したことで、ユーロもドルや円に対して軟調な動きが続いており、こちらの動きにも注目したい。
5/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(5/2までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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300.0万件 | 383.9万件 |
前回は市場予想を上回る結果となったが、4週連続の減少となった。ただ、依然として高水準が続いており、ここまで5週間の累計が3030万件に達している。今回は、さらに減少が予想されており、予想通りの結果となるようなら、ピークが過ぎたとの見方が強まる可能性も考えられる。 |